2015年12月25日金曜日

湯川潮音『灰色とわたし』

湯川潮音
灰色とわたし


作詞、作曲:湯川潮音
編曲:クマ原田
01、風よ吹かないで

作詞、作曲:湯川潮音
編曲:クマ原田
02、見つめてごらん

作詞、作曲:湯川潮音
編曲:クマ原田
03、秘密

作詞:湯川潮音、オオヤユウスケ  
作曲:オオヤユウスケ
編曲:クマ原田
04、しずくのカーテン

作詞:湯川潮音  
作曲:黒沢健一
編曲:クマ原田
05、シェルブールの雨

作詞、作曲:湯川潮音
編曲:クマ原田
06、明日になれば

作詞、作曲:Donovan Phillips Leitch
編曲:クマ原田
07、恋は月をめざして(Voyage of the Moon)

作詞、作曲:湯川潮音
編曲:クマ原田
08、朝が終わる前の花

作詞、作曲:湯川潮音
編曲:クマ原田
09、巻き貝とわたし

作詞:湯川潮音  
作曲:湯川潮音、クマ原田
編曲:クマ原田
10、キャロル



演奏
湯川潮音(ヴォーカル、ハンドクラップ)
クマ原田(ダブルベース、アコースティックギター、ハンドクラップ、パーカッション)
Graham Henderson(アコースティックギター、ドブロ、キーボード、マンドリン、ホイッスル)
Jake Walker(ヴァイオリン、ビオラ)


プロデュース:クマ原田


演奏
39:53


録音
Ten 21Studio, Kent, England and The Bunker, Hertfordshire, England


EMI Music Japan / Capitol Records  TOCT-26518
2008年07月02日

灰色の空の下、よみがえる幸せな感情。心の奥底に秘められた、本当に大切なもの。
『湯川潮音』(2006)に続く、メジャー後2作目のアルバム。


独特な詩的世界と優しく素朴な味わいの歌声が魅力的な湯川潮音 氏。
この作品『灰色とわたし』。タイトルからして明るくはない。” 灰色 ” と云う言葉の持つマイナスのイメージはかなり大きい。色と感情。” 灰色 ” と付くだけで、味気なく喜びのない憂うつな気分。
でもなぜか、聴いていると、身も心も軽くなって、安らぎに支配されるから不思議。

すべてを覆い尽くす灰色の空。愛の記憶は幻のように隠されてゆく。
いまは、心の奥に、薄れる感情のカケラだけが残る。

こんなにも、美しい歌声は、かつて聴いたことがなかった気がする。天使の歌声。
その飾り気のない無垢の響きは、瞬く間に魂を虜にする。神秘の輝き。
あたたかな、人の心と心で繋がる歌に、すっかり魅了されてしまう。

幻想的な物語として綴られた愛の歌世界。けっして悲しくなんかない。甘美な記憶をたどる旅のおはなし。ただ自分を信じ、新たな光を探し求めて。





2015年12月23日水曜日

遊佐未森『カリヨン・ダンス』


番外編 レビュー


遊佐未森
カリヨン・ダンス


作詞、作曲:遊佐未森
編曲:遊佐未森、Watusi
01、カリヨン・ダンス
(NHKみんなのうた ’15年12月~ ’16年1月O.A. 予定)

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:鹿島達也
02、クロ
(NHK みんなのうた ’05年12月~ ’06年1月 O.A. )

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:渡辺等
03、I’m here with you
(NHKみんなのうた ’09年6月~7月 O.A. )

04、カリヨン・ダンス(オリジナル・カラオケ)




演奏
「カリヨン・ダンス」
楠 均(ドラム、パーカッション、ヴォイス)
Watusi(プログラミング、ベース)
西海 孝(アコースティックギター、エレクトリックギター、ヴォイス)
遊佐未森(ヴォックス、バッキングヴォーカル、ピアノ)


「クロ」
楠 均(ドラム)
鹿島達也(エレクトリックベース、パーカッション)
上田 禎(エレクトリックギター、アコースティックギター)
西海 孝(バンジョー)
阿部尚徳(オリジナルビート)
遊佐未森(ヴォックス、バッキングヴォーカル、ピアノ)


「 I’m here with you 」
楠 均(ドラム)
渡辺 等(アコースティックベース、ブズーキ、マンドリン、プサルタリー、プログラミング)
西海 孝(アコースティックギター)
高田 漣(ペダルスティールギター)
藤原道山(尺八)
寺田創一(プログラミング)
遊佐未森(ヴォックス、バッキングヴォーカル)


演奏時間
18:56


Yamaha Music  YCCW-30047
2015年12月09日

すべてを包み、空高く鳴り響く、カリヨンの福音。
NHK『みんなのうた』のために書かれた「カリヨン・ダンス」を中心に、過去の作品も収録したシングル盤。


忘れられた音楽の山の中から、ふと手にした遊佐未森氏の一枚のCD。これがきっかけとなって、この一年間、過去の作品から最新作まで聴いてきた。音楽にも奇跡的な出会いがあるのかもしれない。
とは云っても、新たに購入したのは『淡雪』(2012)と数本の映像作品のみ。感謝の気持ちを込めて、シングル盤『カリヨン・ダンス』を購入してみた。


NHK『みんなのうた』のために書かれた3曲が収められる。
『みんなのうた』と云えば、幼稚な感じなんて思うかもしれない。たしかに正しい。分かりやすさは、幼稚に映る。みんな、気取った言葉で強がって、本心なんて覆い隠して生活しているんだから。
嬉しかったり、楽しかったり、時には悲しかったりする、素直な気持ちの歌。飾り立てた言葉なんかじゃあなくて、心にぬくもりを伝えるシンプルな言葉。そんな歌が、新鮮で魅力的に感じられる。


時を告げる鐘の音が鳴り響き、優しい調べが街全体を包み込む、「 カリヨン・ダンス 」。ひとたび耳にすれば、すっかり幸せな気分。 喜びに溢れた軽快な音楽が、とにかく心地いい。「 街角 」や「 ブルッキーのひつじ 」みたいな雰囲気。

この、民族チックで不思議な舞踊曲。いつのまにか、訳もわからず心が弾み、楽しくなってゆく。チラッと間奏に現れたりするコーラスの甘美な響きが、心に潤いを取り戻す。

好みじゃあないと思っていたけれど、贅沢なひとときのプレゼント。もうすっかり、満たされた気分。


「 クロ 」、「 I’m here with you 」の2曲。
改めて聴いてみると、やっぱり、グッとくる、いい曲。

独特な美しい世界観を持つ歌が、豊かな感情を与えてくれた気がする。





以前購入した、『 Rondo Piccolo ~ロンド・ピッコロ~scene from Language of Flowers  』(1992年)。再発DVD版 MHBL-109(2008年)

~雲と風とダンス〜
遊佐未森氏の心象風景を描いたドキュメンタリー作品。
美しい波の音とともに、静かに心の声が聞こえてくる印象的なシーンから始まる。
アルバム『モザイク』に収録された組曲「Language of Flowers」を映像で表現したものなんだけど、なんとも不思議で幸福感に満ちた世界が展開してゆく。


突き抜けた甘美な表現。豊かな創造力。
もしかしたら、「カリヨン・ダンス」の世界と、根っこでは繋がっているのかもしれない。

2015年12月13日日曜日

Sabine Devieilhe『Mozart: The Weber Sisters』

Sabine Devieilhe 
サビーヌ・ドゥヴィエル
Mozart: The Weber Sisters
モーツァルト・アリア集~ウェーバー三姉妹



Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト


I  Prologue : La confidence naïve,  ou  l'attente
  プロローグ:純情なる打明け話、または期待

Les petits riens, K. 299b
「レ・プティ・リアン」
01、Overture
    序曲
02、Ah, vous dirais-je maman, K. 265
     ああ、お母さん聞いて
03、Dans un bois solitaire, K. 308
    人里離れた森の中で
Pantomime Pantalon and Columbine, K. 446
パントマイム劇「パンタロンとコロンビーネ」
04、Adagio
   アダージョ


 II  Aloysa,  mia carissima amica
 アロイジア 我が親愛なる友

05、Alcandro, lo confesso... Non so d'onde viene, K. 294
 アルカンドロよ、私は告白しよう、どこより訪れるのか私は分からぬ
06、Vorrei spiegarvi, oh Dio, K. 418
   ああ、できるならあなた様にお教えしたいものです
07、Popoli di Tessaglia... Io non chiedo, eterni dei, K. 316
   テッサリアの民よ!私は求めはいたしません、不滅の神々よ
08、Nehmt meinen Dank, K. 383
   わが感謝をうけたまえ、やさしき保護者よ


III  Josepha,  ou l’entrée dans la Lumière
 ヨゼーファ、または光の中に入って

09、Adagio  K. 410, en fa majeur
  2つのバセット・ホルンとファゴットのためのアダージョ ヘ長調
10、Schon lacht der holde Frühling, K. 580
   すでにやさしき春はほほえみ
Die Zauberflöte, K. 620
  歌劇「魔笛」
11、Der Hölle Rache (Königin der Nacht)
  復讐の炎は地獄のように我が心に燃え <夜の女王のアリア>
Thamos, König in Aegypten, K. 345
 英雄劇「エジプトの王ターモス」
12、n° 5  Allegro vivace assai
 第5番 間奏曲 アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ


 IV  Per mia cara Constanze
 私の愛しいコンスタンツェのために

Die Zauberflöte, K. 620
  歌劇「魔笛」
13、March of the Priests
    神官の行進
14、Solfeggio, K. 393 n° 2 en fa Majeur
   ソルフェッジョ K.393 No.2 ヘ長調
Mass in C minor, K. 427
  ミサ曲 ハ短調
15、Et incarnatus est
   肉体をとりたまいし者




演奏
Sabine Devieilhe (ソプラノ)
サビーヌ・ドゥヴィエル
Arnaud De Pasquale (フォルテピアノ、オルガン)
アルノー・ディ・パスカル
Raphaël Pichon (指揮)
ラファエル・ピション
Pygmalion Baroque Ensemble (古楽器オーケストラ)
アンサンブル・ピグマリオン


演奏時間
01:12:16


録音
パリ、ノートルダム・デュ・リバン教会
2015年1月


Erato  2564601625
2015年11月06日

モーツァルトの複雑に絡み合う愛の関係と、その音楽に影響を与えるフリーメイソンの存在。謎を紐解くかのように構成された、ウェーバー三姉妹のための歌曲集。


新譜が出ると気になって買ってしまう、モーツァルトの歌曲集。
はじめて、『 Rita Streich singt Opern-Arien 』に収録された「夜の女王のアリア」を聴いたときの衝撃が忘れられなくて、買い続けている。演奏が巧いなとか、歌声が美しいなとか思うのだけど、いつもどこか満たされない。でも、そろそろ、良い頃かもしれない。

フランスのソプラノ歌手、サビーヌ・ドゥヴィエル 氏の甘美な歌声は、新世代の幕開けを宣言するかのように、高らかに響き渡る。

リタ・ シュトライヒ 氏の歌唱とは違うけれど、心に迫る美しさがある。その、魔力とも云える音楽の精神性は、もはや、比べるものなど存在しない。内面から溢れ出す巧みな表現は、まやかしではなく、人間の魂を感じさせてゆく。

魅力をうまく引き出しているのが、アンサンブル・ピグマリオンを率いる、フランスの若手指揮者、ラファエル・ピション 氏。
モーツァルトの旋律の美しさや情感の躍動。長い眠りから覚め、本来の輝きを取り戻したかのような、新鮮な音楽を届けてくれる。

モーツァルトとウェーバー三姉妹の物語。映画なんかもあった気がするけれど、実際はどうだったのか ? この歌曲集は、そんな興味を抱かせる。そして、フリーメイソンとの関係にも。すべて謎。

隠された謎。突如聞こえてくる " Leck mich im Arsch 〜 " 。こちらは、なぜかうれしいけれど。

Raphaël Pichon & Sabine Devieilhe

Pygmalion Baroque Ensemble




2015年12月9日水曜日

Meredith Hall『My Love is Like a Red, Red Rose』

Meredith Hall / La Nef
メレディス・ホール/ラ・ヌフ
My Love is Like a Red, Red Rose
恋人は赤いバラのよう
〜ロバート・バーンズの詩によるシャンソン集




01、Craigieburn Wood
 クレイギーバーンの木

02、Charlie, he's my darling
  私の最愛のチャーリー
  
03、Comin Thro' the Rye (Air : Miller's Wedding)
    ライ麦畑で出逢ったら

作曲:John Playford(1623-1686)
04、Grimstock/ The Old Mole/ Cuckolds All a Row  (from  Dancing Master, 1651)

05、When O'er the Hill the E'ening Star (Air : The Lea-Rig/ My Ain Kind Dearie, O)

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
06、Hugh O'Donnell
  ヒュー・オドネル

07、Simmer's a Pleasant Time (Air : Ay Waukin' O)

08、What Can a Young Lassie (Air : What Shall I Do with an Auld Man)

09、My Tocher's the Jewel (Air : The Mucking of Geordie's Byre)

10、She's Fair and Fause (Air : The Lads of Leith)

11、Gloomy Night Is Gath'ring Fast (Air : Roslin Castle)
   
作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
12、Carolan's Dream
      カロランの夢

13、My Love Is Like a Red, Red Rose (Air : Low Down in the Broom)
    恋人は赤いバラのよう

14、Last May, A Braw Wooer (Air : The Lothian Lassie)

Traditional / Welsh Traditional
15、Welsh Dance "pwt-Ar-Y-Bys"

16、My Love Was Born in Aberdeen (Air : The White Cockade)

17、O Let Me In This Ae Night (Air : Will You Lend Me Your Loom, Lass)

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
18、Lament for Owen Roe O'Neill
   オウェン・ロー・オニールへの悲歌

19、John Anderson, My Jo
   ジョン・アンダーソン、我がジョー

20、Ye Banks and Braes(Air :  Caledonian Hunt's Delight)
   美しいドゥーン川の岸辺

21、Now Nature hangs her mantle green (Air : Mary Queen of Scots, Lament)
  
作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
22、Sheebeg and Sheemore (Sí Beag is Sí Mór)
      シーベグとシーモア

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
23、Bumper Squire Jones
  バンパー・スクワイア・ジョーンズ

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
24、Carolan's Favorite Jig
  カロランのお気に入りのジグ

25、Should auld acquaintance be forgot (Air : Auld Lang Syne)
             古き友は忘れられて







演奏
Meredith Hall(ソプラノ)
メレディス・ホール

La Nef(古楽アンサンブル)
ラ・ヌフ
Sylvain Bergeron (バロックギター、テオルボ、指揮)
Claire Gignac (リコーダー)
Elise Guay (リコーダー、バグパイプ)
Betsy MacMillan (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
Robin Grenon (ケルティック・ハープ)
Patrick Graham (パーカッション)




演奏時間
01:11:18




ATMA Classique  ACD22336
2004 年08月12日

歌に込められた郷愁に満ちた人々の想い。スコットランドの詩人ロバート・バーンズの詩による歌曲集。
日本で唱歌として親しまれる、大和田 建樹 氏(1857-1910)が日本語の詞を付けた「 故郷の空 」の原曲「 Comin' Thro' the Rye 」、稲垣千頴 氏(1845 - 1913) 作詞の「 蛍の光 」の原曲「 Auld Lang Syne 」収録。



スコットランドの伝承歌に手を加え、蘇らせた詩人ロバート・バーンズ(1759-1796)。370ほどあると云われる中から、15のバーンズの歌が選ばれている。
おもに、いろいろな愛の歌が展開されてゆく。幸せであったり、悲しみであったり、簡単であったり、複雑であったり、男であったり、女であったり。
2つの政治的な内容の歌「Charlie, he's my darling」、「Now Nature hangs her mantle green」が含まれるのも興味深い。


知らないはずの異国のメロディが、なぜか心地いい。郷愁に満ちた響き。

美しい音楽に、ただ身をまかせれば、それでいいと思う。
たくさん出てくるスコットランド方言。言葉がわからなくても気にする必要はない。幼い頃に教わり歌った、日本語の童謡や唱歌でも、わからない ” 古い言葉 " が使われているんだから、同じじゃあないかと、勝手に納得したりする。音楽は言葉を超えることだってある。

好みの問題だけど、ロバート・バーンズ の歌曲集の中で、このCDが一番お気に入り。
ケルティック・ハープの優しい音色に誘われ、とてもリラックスした雰囲気で進んでゆく。歌の合間に収録される、Welsh Dance「 pwt-Ar-Y-Bys 」や ターロック・オキャロラン (1670-1738) 作曲の「 Hugh O'Donnell 」、「 Carolan's Favorite Jig 」なんかの演奏が、これまた楽しい。

カナダ出身のソプラノ歌手、メレディス・ホール氏と古楽アンサンブル、ラ・ヌフによって紡がれる澄みきった音楽は、忘れがたい心の安らぎを与えてくれる。

Meredith Hall

La Nef

2015年12月5日土曜日

ALEXANDER GRYCHTOLIK『 J.S.Bach: Köthener Trauermusik BWV 244a 』

ALEXANDER GRYCHTOLIK
アレクサンダー・グリヒトリーク
J.S.Bach: Köthener Trauermusik  BWV 244a
バッハ:レオポルト侯のための葬送音楽



Johann Sebastian Bach (1685-1750)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
台本:Christian Friedrich Henrici < Picander > (1700 – 1764)
クリスティアン・フリードリヒ・ヘンリーツィ <ピカンダー>
Köthener Trauermusik  BWV 244a
『 レオポルト侯のための葬送音楽 』
(アレクサンダー・グリヒトリークによる復元版)


Erste Abteilung・Part One
01、Chorus:  Klagt, Kinder, klagt es aller Welt
02、Recitativo:  Oh Land! Bestürztes Land
03、Aria:  Weh und Ach
04、Recitativo:  Wie wenn der Blitze Grausamkeit
05、Aria:  Zage nur, du treues Land
06、Recitativo:  Ah ja! Wenn Tränen oder Blut
07、Chorus:  Komm wieder, teurer Fürsten-Geist

Zweite Abteilung・Part Two
08、Chorus:  Wir haben einen Gott, der da hilft
09、Recitativo:  Betrübter Anblick voll Erschrecken
10、Aria:  Erhalte mich
11、Recitativo:  Jedoch der schwache Mensch erzittert nur
12、Aria:  Mit Freuden sei die Welt verlassen
13、Recitativo:  Wohl also dir
14、Repetatur dictum (Wiederholung Chorus Nr.8/repeat of no.8)

Dritte Abteilung・Part Three
15、Chorus: Aria:  Laß, Leopold, dich nicht begraben
16、Aria:  Wie könnt es möglich sein
17、Aria:  Wird auch gleich nach tausend Zähren
18、Recitativo:  Und, Herr, das ist die Spezerei
19、Aria:  Geh, Leopold, zu deiner Ruhe

Vierte Abteilung・Part Four
20、Aria:  Bleibet nur in eurer Ruh
21、Recitativo:  Und du, betrübtes Fürstenhaus
22、Aria:  Hemme dein gequältes Kränken
23、Recitativo:  Nun scheiden wir
24、Chorus:  Die Augen sehn nach deiner Leiche




演奏
Gudrun Sidonie Otto(ソプラノ)
グズルン・シドニー・オットー
David Erler(アルト)
ダーフィト・エーラー
Hans Jorg Mammel(テノール)
ハンス・イェルク・マンメル
Daniel Ochoa(バス)
ダニエル・オチョア

Deutsche Hofmusik Chor
ドイツ・ホーフムジーク合唱団
Deutsche Hofmusik(ピリオド楽器オーケストラ)
ドイツ・ホーフムジーク

Alexander Grychtolik(チェンバロ、オルガン、指揮)
アレクサンダー・グリヒトリーク


演奏時間
01:13:28


録音
ケーテン、聖ヤコプ教会
2014年9月


DHM Deutsche Harmonia Mundi 88875164222
2015年12月04日

独自のアプローチを加えたバッハのカンタータ復元、演奏で知られる、ドイツのチェンバロ奏者、音楽学者のアレクサンダー・グリヒトリーク氏による、『 Köthener Trauermusik  BWV 244a 〜レオポルト侯のための葬送音楽 』の復元版。


こういったCD、一曲目がイマイチだと聴く気が起こらないけれど、これはいい。
もう一気に、合唱「Klagt, Kinder, klagt es aller Welt 〜嘆け、子らよ、全世界に向って嘆け」から、心震わせる音楽に引き込まれる。
” Klagt, Kinder, klagt es aller Welt "と歌われるたびに、鳥肌が立つような感動を覚える。言葉では表しにくいけれど、なにか不思議な力の宿る、素晴らしい音楽が展開されてゆく。

バッハが慕い、最大の理解者であった、領主アンハルト=ケーテン侯レオポルトに捧げた葬送音楽。楽譜が消失しているこの作品。『 Matthäus-Passion BWV244 〜マタイ受難曲 』から転用した音楽で復元されたと云うことだ。

大雑把に云うと、”国民の哀悼”、”魂の救い”、”輝かしき功績”、”永遠の休息と別れ” みたいな流れで進んでゆく。
葬送音楽だから悲しい音楽だとは思うけれど、光に満ちた心地よい安らぎが溢れ、その透明な響きは甘く美しい。曲が同じ、マタイ受難曲とは違って神聖な感じはないけれど、それがかえっていい。

もしかすると、アレクサンダー・グリヒトリーク氏が率いる、優しくて、心地よさを感じる、みずみずしい演奏は、このCDの一番の 魅力かもしれない。


Leopold von Anhalt-Köthen (1694-1728)


Gudrun Sidonie Otto

David Erler

Hans Jorg Mammel

Daniel Ochoa

Alexander Grychtolik