2015年11月22日日曜日

Stefan Temmingh, Dorothee Mields『Birds』

Stefan Temmingh, Dorothee Mields
シュテファン・テミング、ドロテー・ミールズ
Birds
~バロック時代の鳥の標題音楽


Jean-Philippe Rameau (1683-1764)
ジャン=フィリップ・ラモー
Nouvelles Suites De Pieces De Clavecin
新クラヴサン組曲集第2番
01、V. La Poule
    雌鶏

George Frideric Handel (1685-1759)
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
Rinaldo, Hwv 7
歌劇『リナルド』
02、Augelletti Che Cantate (Adagio)
    さえずる小鳥達よ

作者不詳
03、This Merry Peasant Spring

Pietro Torri (CA. 1650-1737)
ピエトロ・トッリ
Ismene
歌劇『イスメーネ』
04、Son Rosignolo
  息子ナイチンゲールよ

Giuseppe Fedeli (CA. 1680-1733)
ジュセッペ・フェデリ
The Temple Of Love: Warbling The Birds Enjoying
  愛の寺院~楽しむ鳥のさえずり
05、Largo -Adagio -Largo -Allegro -
     Vivace -Adagio -Allegro -Slow

Thomas Augustine Arne (1710 – 1778)
トマス・オーガスティン・アーン
As You Like It
喜劇『お気に召すまま』
06、The Cuckoo (When daisies pied)
    カッコウ (まだらのヒナギクが)

Alessandro Poglietti (Early17th-1683)
アレッサンドロ・ポリエッティ
Rossignolo
イル・ロシニョーロ
07、Imitatione Del Medesimo Uccello
   夜鳴きうぐいす~鳥の模倣

Antonio Vivaldi (1678-1741)
アントニオ・ヴィヴァルディ
Flute Concerto In D Major, Op. 10 No. 3,"Il Gardellino"  Rv 428
フルート協奏曲 ニ長調 Op.10 - 『ごしきひわ』
08、I. Allegro
09、II. Cantabile
10、III. Allegro
   
作者不詳
Melismata
メリスマータ
11、The Three Ravens
    3羽のカラス

Michel Pignolet de Monteclair (1667-1737)
ミシェル・ピニョレ・ド・モンテクレール
Concerts Pour La Flute Traversiere Avec La Basse Chiffree: Les Tourterelles
   フリュート・トラヴェルシエールと通奏低音のためのコンセール
12、Tendrement

Reinhard Keiser (1674-1739)
ラインハルト・カイザー
Ulysses
ユリシーズ
13、Du Angenehme Nachtigall
    快いナイチンゲール

Francois Couperin (1668-1733)
フランソワ・クープラン
 Pieces De Clavecin II
クラヴサン曲集第2巻
14、Le Gazoüillement
     さえずり

MR.Quignard  (18th Century)
キニャール
Printemps
  春
15、tendrement
   恋するうぐいす

Louis-Claude Daquin (1694-1772)
ルイ=クロード・ダカン
Premier livre de pieces de clavecin, Suite No. 1
クラヴサン曲集 第1巻
16、Le Coucou  -rondeau
    かっこう

George Frideric Handel (1685-1759)
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
L’Allegro, Il Penseroso Ed Il Moderato, Hwv 55
オラトリオ『快活の人、沈思の人、温和の人』
Sweet Bird
甘き鳥
17、andante
    
John Bartlett (16th & 17th Century)
ジョン・バートレット
A Book Of Ayres (1606)
Sweet Birdes Deprive Us Never
優しい鳥達よ、奪わないで欲しい
18、PartI
19、PartII
20、PartIII



演奏
Stefan Temmingh (リコーダー)
シュテファン・テミング
Dorothee Mields (ソプラノ)
ドロテー・ミールズ


The Gentleman's Band(古楽合奏団)
ザ・ジェントルマンズ・バンド

Saskia Fikentscher(リコーダー)
サスキア・フィケンチャー
Wiebke Weidanz(ハープシコード、リコーダー)
ヴィプケ・ヴァイダンツ
Elisabeth Seitz(プサルタリー)
エリーザベト・ザイツ
Johanna Seitz(ハープ)
ヨハンナ・ザイツ
Axel Wolf (リュート、テオルボ)
アクセル・ヴォルフ
Domen Marincič (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ドーメン・マリンチッチ


La Folia Baroque Orchestra(古楽合奏団)
ラ・フォリア・バロックオーケストラ


演奏時間
72:30


録音
Himmelfahrtskirche, Munchen-Sendling, Germany
昇天教会 、ミュンヘン=ゼンドリング (ドイツ)
2015年2月24 -27日


DHM Deutsche Harmonia Mundi   88875141202
2015年11月13日

バロック時代の鳥の標題音楽集。
世界的に注目されるリコーダー奏者シュテファン・テミング氏と、ソプラノ歌手ドロテー・ミールズ氏の共演。


鳥の声を音楽で表現した作品を集めたもの。ナイチンゲールとかカッコウの鳴き声なんかをモチーフにして、美しい愛や春の訪れと裏切りなんかを象徴してゆく。
リコーダーを中心とした楽器や歌声で模倣された、甘美な響きが心地いい。

 ” これは違うな、すごいな  " と感じたのは、シュテファン・テミング氏の演奏するリコーダーの踊る音色。聴いていると本当に楽しくなってくる。もちろん、技術の優劣のことだけじゃあない。聴き手を高揚させる気持ちのこもった演奏ということ。ツマラナイから ” 先送りして次の曲へ " なんてことは、けっしてない。

ドロテー・ミールズ氏の歌唱がこれまたいい。その歌声は透き通るように美しいし、時には、茶目っ気たっぷりに歌う。絶妙なリコーダーとのかけ合いなんかも素晴らしい。

特に、楽しげな言葉遊びで皮肉を隠した、トマス・オーガスティン・アーン作「 The Cuckoo ( When daisies pied )〜カッコウ(まだらのヒナギクが)」なんかがそうだけど、堅苦しいクラシック音楽じゃあなくて、創造力に富んだ、きれいで愉快な曲たちを収めた音楽集なのが気に入った。聴いていると、思わず、心がほのぼのとしてくる。


Cara Dillon『Hill of Thieves』

Cara Dillon
カーラ・ディロン
Hill of Thieves


作詞、作曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
01、The Hill of Thieves

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
02、Johnny, Lovely Johnny

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
03、The Parting Glass

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
04、Spencer the Rover

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
05、False, False

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
06、Jimmy Mó Mhíle Stór

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
07、She Moved Through the Fair

作詞、作曲:Traditional、Cara Dillon 、Sam Lakeman
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
08、P Stands for Paddy (Lament for Johnny)

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
09、The Verdant Braes of Skreen

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
10、The Lass of Glenshee

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
11、Fil, Fil a Run Ó




演奏
Cara Dillon(ヴォーカル、ホイッスル)
カーラ・ディロン
Sam Lakeman (ギター、ピアノ、バウロン、パーカッション)
サム・レイクマン
James O'Grady (イーリアン・パイプス、ロー・ホイッスル)
ジェームス・オグラディ
Ben Nicholls (ダブルベース)
ベン・ニコルズ
Zoe Conway(フィドル)
ゾーイ・コンウェイ
Eamon Murray (バウロン)
イーモン・マレー
Brian Finnegan (ホイッスル)
ブライアン・フィネガン
Seth Lakeman (ヴォーカル、テナーギター、フィドル)
セス・レイクマン 
John Smith (ギター、マンドラ)
ジョン・スミス
Sean Lakeman (ギター)
シーン・レイクマン
James Fagan (ブズーキ、ギター)
ジェームス・ファーガン
Ed Boyd (ギター)
エド・ボイド


プロデューサー:Sam Lakeman
        サム・レイクマン



演奏時間
45:06


録音
AT HOME IN SOMERSET
サマセットの自宅 (イングランド)


Charcoal Records ‎  CHARCD002
2009年1月26日

心に浮かぶ、緑に包まれたアイルランドの牧歌的風景。音楽の美しさを純粋に極めた、北アイルランド出身のフォーク歌手カーラ・ディロン氏の4作目。


『 Cara Dillon 』(2001年)、『 Sweet Liberty 』(2003年)しか持っていないので、海外のファンがオススメのアルバム『 Hill of Thieves 』を聴いてみることにした。
デジタル時代だけど、直接、イギリスのお店から購入しようと云うことで、注文から2週間ほどで到着。


まず、このCD。ジャケットがいい。この写真、一緒に音楽活動をする相棒であり旦那さんでもあるサム・レイクマン氏の手によるもの。ほのぼのとした愛情溢れる雰囲気。もうそれだけで十分満足。

カーラ・ディロン氏の故郷、北アイルランドのダンギブン(Dungiven)周辺に広がる、さまざまな物語が古くから伝わるベンブラダ山(Benbradagh mountain)のことを歌うオリジナル曲、「 Hill of Thieves」から始まる。

この曲、シンプルで力強いメロディーが、とにかく美しい。買って良かったと心底思える。
” この土地にかえっておいで ” みたいに語りかける歌は、どこか懐かしく心に響く。ベンブラダ山なんて行ったことがないけれど、目の前に、鮮やかな景色が浮かんでくる。透明感溢れる故郷の歌は、疲れを心地よく癒してゆく。

アレンジされた伝承曲も、素晴らしく楽しい。
ホイッスルやイーリアンパイプスと云った楽器で奏でる、アイルランド丸出しのイキイキとした音楽は、心から晴れ晴れとした気分にしてくれる。

安らぎに満ちた歌声。人なつっこい表情をたたえた上質な演奏。広がる音楽の喜び。その素朴で美しい響きは、人種なんて関係なく、甘く魅了し続けるのかもしれない。




2015年11月10日火曜日

湯川潮音『湯川潮音』

湯川潮音
湯川潮音


作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
01、渡り鳥の3つのトラッド

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
02、鏡の中の絵描き

作詞:湯川潮音
作曲:岸田繁
編曲:鈴木惣一朗
03、裸の王様 (Album mix)

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
04、HARLEM

作詞:湯川潮音
作曲:ジェームス・イハ、湯川潮音
編曲:ジェームス・イハ
05、蝋燭を灯して (Album mix)

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
06、聖堂の隅で

作詞:湯川潮音
作曲:永積タカシ
編曲:鈴木惣一朗
07、緑のアーチ (Album mix)

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
08、海の上のパイロット

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:ジェームス・イハ
09、エデンの園 (Album mix)

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗、橋本和昌
10、キルト




演奏
湯川潮音(ヴォーカル、クラシックギター)
鈴木惣一朗(ドラム、パーカッション)
青梅拓次(クラシックギター、マンドリン)
James Iha(ギター、キーボード)
ジェームス・イハ
Kevin March(ドラム)
ケビン・マーチ
Adam Schlesinger(ベース、キーボード)
アダム・シュレシンジャー
伊賀 航(ウッドベース)
影山敏彦(クラシック&エレクトリックギター)
吉野友加(アイリッシュハープ、チェレスタ)
藤原マヒト(ウーリッツァー、ピアノ、チェレスタ、アコーディオン、オルガン)
ヤマカミヒトミ(フルート)
田村玄一(スティールパン)
中島久美(ヴァイオリン、ヴィオラ)
末永千湖(ヴァイオリン)
山本哲也(ストリングスアレンジ)


Produced by 鈴木惣一朗 
Mixed by Kazuyuki Matsumura a.k.a.ZAK
  

演奏時間
47:39


録音
aLIVE RECORDING STUDIO 、AVACO CREATIVE STUDIO、rad 2000 studio、
STRATOSPHERE SOUND, NYC、HeartBeat.RECORDING STUDIO


TOSHIBA EMI / Capitol Rocords   TOCT-25889 (初回限定 : 紙ジャケット仕様)
2006年01月25日

どこまでも美しく、独創的な牧歌世界を展開する湯川潮音氏のメジャー1作目。


カーラ・ディロン氏のアイリッシュ・フォークがあんまり心地よいもんだから、こんどは日本のフォークが聴きたくなってきた。
秋から冬へと季節が向かっているこの時期、心にあたたかなぬくもりを伝えてくれる音楽、湯川潮音氏のメジャー・デビュー作『湯川潮音』(2006年)を持ち出した。


聴き始めてすぐに、もうすっかり、不思議な安心感に包まれる歌声に魅了される。ソプラノの美声とか云った感じじゃあなくても、甘く優しい響きは間違いなく美しい。
もしかしたら、どこかで聴いた懐かしい天使の歌声。片田舎の。

独特な詞の表現は、ちょっとした混乱を生むかもしれないけれど、秘めた熱情が溢れ始める。ゆったりとした時の流れの中で、迷いなく、心のひだが言葉を紡いでゆく。

この、おとぎ話のような牧歌世界。次第に姿をあらわす、人のあたたかみに満ちた理想郷。
気がつくと、まるで魔法にかけられたように音楽に身をまかせている。

目には見えないけれど、" 想い " は確かにここにある。そんな世界を豊かに表現する湯川潮音氏の歌が素晴らしく魅力的に感じられた。


骨太なサウンドがカッコよかったりして、どの曲も存在感がある。そんな中で気に入ったのはアイリッシュハープの響きが美しい『 鏡の中の絵描き 』。遊佐未森氏の『淡雪』(2012年)にも参加している吉野友加氏が奏でるハープの旋律が、歌に鮮やかな色彩を与え、聴いていると新鮮な気持ちになってゆく。



2015年11月1日日曜日

遊佐未森『 Bougainvillea 』

遊佐未森
Bougainvillea
ブーゲンビリア


作曲:遊佐未森、外間隆史
編曲:外間隆史、阿部尚徳
01、箱根

作詞:遊佐未森
作曲:高木正勝
編曲:外間隆史、阿部尚徳
02、light song

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
03、ブーゲンビリア

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
04、流線

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
05、blue heaven

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
06、桃色の雲は

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
07、花林糖

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
08、Daisy / Daisy

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
09、ユングフラウ (Schwarze Katze Version)

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
10、彼方




演奏
遊佐未森(ヴォックス、バッキングヴォーカル、アコースティックピアノ、マウンテンダルシマー)
外間隆史(キーボード)
小松茂(ドラム)
西海孝( クロマティックハープ、バンジョー、ドブロ マンドリン、フラットマンドリン、エレクトリックギター)
楠均(ドラム、パーカッション)
鹿島達也(ウッドベース)
松岡モトキ(エレクトリックギター)
小山晃一(エレクトリックベース)
小野塚晃(アコースティックピアノ)
阿部浩二(アコースティックギター)
Koo(フリューゲルホルン)
松田文(アコースティック&エレクトリックギター)



プロデュース:遊佐未森
コ・プロデュース:外間隆史


演奏時間
50:07


録音
Studio WALK, Landmark Studio, Victor Studio, Studio TERRA



東芝EMI   TOCT-25093
2003年08月20日
もうあなたしか見えない 〜いとしさの陰は幻。牧歌的な愛の歌紀行。
遊佐未森氏の15枚目のアルバム。


本でも映画でも、そして音楽でも、私小説っぽい作品のほうが、グッとくる。やっぱり、見ちゃあいけないものを見ている感覚が、面白いのかもしれない。あたたかな人間味を感じさせる。

日記みたいに綴られた、膨らみ続ける恋心。
どこに行っても、何を見ても、心に浮かんでくる、” あなた ”への想い。

きわめて牧歌的な歌世界に浸る。静かな幻想、美しい寂しさ。純粋すぎず、甘すぎない。いとしさの行方。

いつのまにか、恋する気持ちに、共感していたりする。

この作品『 ブーゲンビリア 』。ささやかな物語たち。

なかでも、遊佐未森 氏流のシューゲイザーとも云える「桃色の雲は」。妙に、ほのぼのした耽美な抒情。透き通る甘美な歌声。ひろがる写実的描写。これがとても心地いい。

夕日に染まる、桃色の雲。恋の不安も、未来への憧憬と変わる。

あるいは悲恋かもしれない、ありがちな恋の物語。あなたの闇にも光は必ず届くはず。その淡い夢の歌は、ゆっくりと心に響いてゆく。


L'Arpeggiata『Cavalli : L’amore innamorato』

L'Arpeggiata, Christina Pluhar
プルハール&ラルぺッジャータ
Cavalli : L’amore innamorato 
カヴァッリ歌劇『恋に恋して』





Francesco Cavalli (1602-1676)
フランチェスコ・カヴァッリ
L'Amore Innamorato , 1642
歌劇『恋に恋して』(プルハールによる再構築版)



from ‘L’Ormindo’ ,  初演 Teatro San Cassiano 1644 
歌劇『オルミンド』から
01、L'Armonia (Prologo)

extract of ‘Il Giasone’ ,  初演 Teatro San Cassiano, 1649
歌劇『ジャゾーネ』の再編曲
02、Sinfonia

from ‘La Calisto’ ,  初演 Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
03、Act 1: " Piante ombrose "

from ‘La Calisto’ ,  初演 Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
04、Act 3: " Restino imbalsamate "

from ‘La Rosinda’ , 初演  Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『ロジンダ』から
05、Act 3: " Vieni, vieni in questo seno "

from ‘La Calisto’ , 初演  Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
06、Act 1: " Verginella io morir vo '"

from ‘La Calisto’ , 初演  Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
07、Act 1: " Ninfa bella "

from ‘La Calisto’ ,  初演 Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
08、Act 1: "Non è maggior piacere"

from ‘L’Artemisia’ ,  初演 Teatro San Giovanni e San Paolo, 1657
歌劇『アルテミジア』から
09、Act 3: " Dammi morte "

extract of ‘L’Eliogabalo’,  作曲 1667
歌劇『エリオガバロ』の再編曲
10、Sinfonia

from ‘L’Artemisia’ ,  初演 Teatro San Giovanni e San Paolo, 1657
歌劇『アルテミジア』から
11、Act 2: " Affliggetemi, guai dolent i"

from ‘L’Ormindo’ ,  初演 Teatro San Cassiano 1644 
歌劇『オルミンド』から
12、Act 2: "Che città"

Giovanni Girolamo Kapsberger (1580-1651)
ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー
Libro Quarto d'Intavolatura di Chitarrone, 刊行 Roma 1640
キタローネのためのタブラチュア曲集 第4巻 より
13、Toccata prima

from ‘La Didone’,  初演 Teatro San Cassiano, 1641
歌劇『ディドーネ』から
14、Act 1: " Alle ruine del mio regno "

from ‘La Didone’, 初演 Teatro San Cassiano, 1641
歌劇『ディドーネ』から
15、Act 1: "L'alma fiacca svanì"

Andrea Falconieri (1585 -1656)
アンドレア・ファルコニエーリ
Il primo libro di canzone, sinfonie, fantasie, capricci, brandi, correnti, gagliarde, alemane, volte: ,刊行 Napoli 1650
カンツォーナ、シンフォニア、ファンタジア、カプリッチョ、ブランド、コレント、ガリアルド、アルメイン、ヴォルテ集 第1巻 より
16、sinfonie: " La suave melodia "








演奏
Hana Blažíková(ソプラノ)
ハナ・ブラシコヴァ
Nuria Rial(ソプラノ)
ヌリア・リアル

L'Arpeggiata (古楽合奏団)
ラルぺッジャータ
Christina Pluhar ( テオルボ, バロックハープ)
Doron David Sherwin (コルネット)
Veronika Skuplik(バロックバイオリン)
Judith Steenbrink(バロックバイオリン)
Eero Palviainen (アーキリュート, バロックギター)
Marcello Vitale(バロックギター)
Sarah Ridy (バロックハープ)
Margit Übellacker (プサルタリー)
Elisabeth Seitz (プサルタリー)
Lixsania Fernandes (ヴィオラ ダ ガンバ)
Rodney Prada (ヴィオラ ダ ガンバ)
Paulina van Laarhoven (リローネ)
Josetxu Obregon (バロックチェロ)
Rüdiger Kurz (ヴィオローネ)
Boris Schmidt (ダブルベース)
Haru Kitamika (ハープシコード, オルガン)
Francesco Turrisi (ハープシコード, オルガン)
David Mayoral (パーカッション)

Christina Pluhar (指揮)
クリスティーナ・プルハール



演奏時間
01:06:45

録音
Institut Culturel Roumain, Salle Byzantine (パリ)
2015年1月



WARNER ERATO  2564616643  (DVD付き限定デラックス・エディション)
2015年10月23日

17世紀のヴェネチアにおいて、新しいオペラの世界を創り出したカヴァッリ。多くの作品が公共のオペラ劇場で上演された記録が残る。全てが現代に伝わっているわけではなく、忘れ去られ、幾つかの作品は不完全なものとなっている。
音楽が失われてしまった歌劇『恋に恋して』を、古楽合奏団ラルぺッジャータを率いる クリスティーナ・プルハール氏が再構築。



なんの知識もなく聴き始めたら、どこかで耳にした旋律が流れてきた。
それもそのはず、歌劇『恋に恋して』を再現するために、他の作曲家の作品やカヴァッリの他の歌劇の曲などが、使われているんだから当然。のちのパスティッチョ・オペラみたいなもの。

なぁんだ、と少しばかりがっかりしたけれど、瑞々しい躍動感の溢れる音楽が楽しいもんだから、そんなことはすぐに忘れてしまう。
かつてのヴェネチアの響きを蘇らせる甘い旋律と、ラルぺッジャータ流に、少しばかり現代的に崩された演奏が、心地いい。

ここで展開される音楽は、退屈なものじゃあないのは確か。
伝統を引き継ぎつつ、ドラマチックな美しさが際立つものとなっているから、刺激的で飽きさせない。 どこか新しい音楽の響きがする。

二人のソプラノ、チェコ出身の ハナ・ブラシコヴァ氏と、カタルーニャ出身の ヌリア・リアル氏の、歌唱の素晴らしさも魅力の一つ。

特に、ハナ・ブラシコヴァ氏の、しなやかな歌声の神々しい美しさと、優しく彩りをちりばめた装飾歌唱が素晴らしい。こんなに、細やかな情感を込めた歌い方する歌手だとは思っていなかったので、驚いた。
もちろん、ヌリア・リアル氏の、力強く清澄な響きに満ちた歌唱は、古楽の楽しみを伝えてくれ、なんだかウキウキしてくる。

歌劇がどうのこうのより、何を置いても、この甘美な競演を大いに味わうべきかもしれない。



限定デラックス・エディションに付属されたDVD。たかがおまけだと思っていたら大間違い。
古楽合奏団ラルぺッジャータのいままでの音楽を巡るもので、フランスのカウンターテナー歌手 フィリップ・ジャルスキー氏も登場したりする。収録時間は2時間近く。

本作の収録風景も含まれる。近所にでも買い物へ行くような格好をして可愛らしいヌリア・リアル氏。あまりにも歌唱に迫力があるもんだから、その、ちょっとしたギャップが新鮮に感じられたりして面白い。