2016年3月4日金曜日

Miriam Feuersinger『Christoph Graupner:Himmlische Stunden, selige Zeiten』

Miriam Feuersinger
ミリアム・ファウアージンガー
Graupner :  Himmlische Stunden, Selige Zeiten
グラウプナー:天国の時間、至福のとき 〜カンタータ集



Christoph Graupner (1683-1760)
クリストフ・グラウプナー


Kantate:Angst und Jammer, GWV 1145/11
カンタータ:恐れと嘆き
Text: Georg Christian Lehms (1684-1717)
ゲオルク・クリスティアン・レームス
01、Arie: Angst und Jammer
02、Rezitativ: Barmherzigkeit, Barmherzigkeit
03、Arie: Mein Elend druckt mich fast zu Boden
04、Rezitativ: Doch, blinde Grausamkeit
05、Arie: Himmlische Stunden

Ouvertüre in c-Moll
für Streicher & B.c. GWV 413 (Auszug)
序曲 ハ短調 (抜粋)
06、IV. Tombeau
第4楽章 トンボー

Kantate:Furcht und Zagen, GWV 1102/11b
カンタータ:憂いと不安
Text: Georg Christian Lehms (1684-1717)
ゲオルク・クリスティアン・レームス
07、Arie: Furcht und Zagen
08、Rezitativ: Die Zeit ist dat - Arioso: Ach, bereue deine Sunden - Rezitativ: Durch Reu' und Glauben
09、Arie da capo: Furcht und Zagen
10、Rezitativ: Ich will mich auch deswegen
11、Choral: O Jesu, hifl zur selben Zeit - Rezitativ: Ich hoff' es wird geschehn
12、Arie: Verstosse doch dein Erbteil nicht

Kantate:Ich bleibe Gott getreu, GWV 1106/19
カンタータ:私は神に忠実であり続ける
Text: Johann Conrad Lichtenberg (1689-1751)
ヨハン・コンラッド・リッテンバーグ
13、Arie: Ich bleibe Gott getreu
14、Rezitativ: Es geht so in der Welt
15、Arie: Tobt, ihr Feinde, immer fort
16、Rezitativ: So kann der Geist der Frommen siegen
17、Arie: Martersteine, die allhier
18、Rezitativ: Mein Herz, so freue dich
19、Arie: Muss ich gleich um Jesu leiden

Kantate:Ach Gott und Herr, GWV 1144/11
カンタータ:ああ、神と主よ
Text: Georg Christian Lehms (1684-1717)
ゲオルク・クリスティアン・レームス
20、Choral: Ach Gott und Herr
21、Rezitativ: O Gott, was hab ich doch getan
22、Arie: Seufzt und weint, ihr matten Augen
23、Rezitativ: Ich fuhle Pein bei meinen Sundenflammen
24、Arie da capo: Seufzt und weint, ihr matten Augen
25、Rezitativ: Doch Seele, geh zurucke
26、Arie: Stelle dich zufrieden, angefochtne Seele



演奏
Miriam Feuersinger (ソプラノ)
ミリアム・ファウアージンガー

Capricornus Consort Basel
カプリコルヌス・コンソート・バーゼル
Peter Barczi(バロック・ヴァイオリン)
Eva Borhi(バロック・ヴァイオリン)
Matthias Jäggi (バロック・ビオール)
Daniel Rosin (バロック・チェロ)
Michael Bürgin (ヴィオローネ)
David Blunden (オルガン、チェンバロ)
Julian Behr (テオルボ)

ゲスト
Xenia Löffler(バロック・オーボエ)


Peter Barczi (指揮、ヴァイオリン)
ペーテル・バルシ


演奏時間
1:15:53

録音
Heilig Kreuz Kirche (Basel,Switzerland)
ハイリッヒ・クロイツ教会(バーゼル、スイス)
2013年



Christophorus  CHR77381
2014年04月04日

天国の調べ、至福の歌声。
かつて、テレマンやヘンデルと並び称されながら、忘れ去られた作曲家の音楽。
三位一体後の日曜礼拝のための声楽曲を中心とした、知られざるドイツの作曲家クリストフ・グラウプナー (1683-1760) の宗教カンタータ集。

クリストフ・グラウプナーは、ヘッセン=ダルムシュタット方伯(在位:1678年 〜1739年)の宮廷楽団に職を得てから、その人生の大部分、ダルムシュタットで過ごし、宮廷のために音楽を作曲したと云うこと。散逸しなかった多くの作品が、演奏されるようになってきた。これは、とっても幸せなこと。

収録される、「 Angst und Jammer, GWV 1145/11 」、「 Furcht und Zagen, GWV 1102/11b 」、「 Ich bleibe Gott getreu, GWV 1106/19 」の3つのカンタータは、世界初録音。

宗教音楽と云えば、厳格で神聖なものをイメージするけれど、ここで展開される音楽は、きらびやかで、感情の高まりはドラマ仕立て。
天上へと続く、優しく絡み合う旋律。ゆったりとした刻の流れが、とにかく心地いい。

このCDで歌う、オーストリア、ブレゲンツ出身のソプラノ歌手ミリアム・ファウアージンガー氏が、これまた素晴らしい。

明るくとも暗くとも、濁りのない清色。小気味好い、甘く優雅な躍動。大きく、美しく響かせる歌声は、心を至福で満たしてゆく。

官能的なクリストフ・グラウプナーの音楽。他の作曲家の作品に、劣ることなく、美しい。
ドイツ・バロック音楽の奥深さ。底が知れない。

Capricornus Consort Basel



Peter Barczi

David Blunden

Matthias Jäggi, Daniel Rosin

Julian Behr

Xenia Löffler

 Miriam Feuersinger

2016年2月21日日曜日

rimacona 『Tasogare To Piano』

rimacona 
リマコナ
Tasogare To Piano
黄昏とピアノ


作詞:scott_ranzea
作曲:Natsuko Yanagimoto、Marihiko Hara
01、metronome

作詞:scott_ranzea
作曲:Marihiko Hara、Natsuko Yanagimoto
02、tell me

作詞;Marihiko Hara
作曲:Marihiko Hara
03、après-midi

作曲:Marihiko Hara
04、tu trouves quoi?

作詞:scott_ranzea
作曲:Marihiko Hara
05、tasogare to piano

作詞:Natsuko Yanagimoto、scott_ranzea
作曲:Marihiko Hara、Natsuko Yanagimoto
06、Gray sky

作曲:Marihiko Hara
07、In a twinkle

作詞:Natsuko Yanagimoto、scott_ranzea
作曲:Marihiko Hara、Natsuko Yanagimoto
08、small night

作詞:scott_ranzea、Natsuko Yanagimoto
作曲:Marihiko Hara
09、a bed in the sea

作詞:Natsuko Yanagimoto
作曲:Natsuko Yanagimoto、Marihiko Hara
10、fish

作詞:scott_ranzea
作曲:Marihiko Hara、Natsuko Yanagimoto
11、at eventide




演奏
rimacona
リマコナ
Natsuko Yanagimoto (ボーカル)
柳本奈都子
Marihiko Hara (ピアノ)
原摩利彦

Muranaka Masumi a.k.a polar M(ギター)



演奏時間
43:19


Parade  PARADE03
2010年10月10日

寂しげな現実と優しげな空想。黄昏に染まる夢の音物語。
柳本奈都子 氏と 原摩利彦 氏による、京都の二人組エレクトロニカ・ポップユニット rimacona(リマコナ)のファーストアルバム。


夢の中の音楽。説明のつかない幻想物語。
不確かな甘い記憶を綴る、静かな時の流れが、とにかく心地いい。

エレクトロニカと云っても、音響的なだけじゃあない。血が通う、力強く情感豊かな響き。内省的すぎない、ポップな歌心。

これは、おとなの子守唄。メトロノームの催眠術。溢れだすあたたかな優しさは、しだいに、心を虜にしてゆく。

柳本奈都子 氏の飾らない歌は魅力的。寂しげながらも美しい夢を見せてくれる。
どの曲でも、日本語でも英語でも、その印象は変わらない。

このアルバムは、最後まで通して聴いたほうがいい。繰り返して。
最初は、ぼんやりとしていても、ふと、忘れていた感情が蘇ってくるはず。心に残る、黄昏に染まった、いくつかの物語と記憶たちが。




2016年2月7日日曜日

Vashti Bunyan『Just Another Diamond Day』

Vashti Bunyan
ヴァシュティ・バニヤン
Just Another Diamond Day
ジャスト・アナザー・ダイアモンド・デイ 



作詞、作曲:Vashti Bunyan
01、Diamond Day
  ダイアモンド・デイ

作詞、作曲:Vashti Bunyan
02、Glow Worms
  土ボタル

作詞、作曲:Vashti Bunyan
03、Lily Pond
  スイレンの咲く池

作詞、作曲:Vashti Bunyan
04、Timothy Grub
  地虫のティモシー

作詞:John James
作曲:Vashti Bunyan
05、Where I Like to Stand
  私の佇みたい場所

作詞、作曲:Vashti Bunyan
06、Swallow Song
  ツバメの歌

作詞:Robert Lewis
作曲:Vashti Bunyan
07、Window Over the Bay
  入り江の窓

作詞、作曲:Vashti Bunyan
08、Rose Hip November
  薔薇の実の11月

作詞、作曲:Vashti Bunyan
09、Come Wind Come Rain
  風が吹こうと雨が降ろうと

作詞:Robert Lewis
作曲:Vashti Bunyan
10、Hebridean Sun
  ヘブリティーズ諸島の太陽

作詞、作曲:Vashti Bunyan
11、Rainbow River
  虹の川

作詞:Robert Lewis
作曲:Vashti Bunyan
12、Trawlerman's Song
  トロール漁師の歌

作詞、作曲:Vashti Bunyan
13、Jog Along Bess
  ベスとの旅路

作詞:Iris McFarlane
作曲:Wally Dix
14、Iris's Song for Us
  アイリスの書いた私たちの歌



Extra Tracks

作詞、作曲:Vashti Bunyan
15、Love Song
  ラヴ・ソング
   B-side of “Train Song“ single(1966)

作詞、作曲:Vashti Bunyan
16、I’d Like to Walk Around in Your Mind
  あなたの心を散歩できたなら
   Unreleased acetate(1967)

作詞、作曲:Vashti Bunyan
17、Winter Is Blue
  冬は青色
   Unreleased acetate(1966)

作詞;Iris McFarlane
作曲:Vashti Bunyan
18、Iris's Song for Us [Version Two]
  アイリスの書いた私たちの歌(ヴァージョン2)
   John Bunyan’s tape(1969)





演奏
Vashti Bunyan(ヴォーカル、ギター)
ヴァシュティ・バニヤン
Christopher Sykes(ピアノ、オルガン)
クリストファー・サイクス
John James(ダルシトーン)
ジョン・ジェイムス
Robin Williamson(フィドル、ホイッスル, アイリッシュハープ)
ロビン・ウィリアムソン
Dave Swarbrick (フィドル、マンドリン)
デイブ・スワーブリック
Simon Nicol(バンジョー)
サイモン・ニコル
Mike Crowther(ギター)
マイク・クロウサー



プロデュース:Joe Boyd
      ジョー・ボイド


演奏時間
39:52




Dicristina Stair  STEP04CD
2004年10月12日(再発)<オリジナル:1970年12月>

ダイアモンド・デイ。きらめく、ありふれた大切な1日
再評価された、英国のシンガーソングライター、ヴァシュティ・バニヤン氏の1970年作。

〜これは旅の歌。
ヴァシュティとボーイフレンドのロバート、そして、馬のベスと犬のブルーとが、古い緑色の馬車でゆく、ロンドンからスコットランド西岸のアウター・ヘブリディーズへの旅。その1年半ほどにわたる、情景の記憶。


すべてに、やさしくなれる気がした。

遊牧民みたいな旅から生まれた歌世界は、あまりにも純粋。
自然の、光と風に抱かれた、きらめく幸せな日々。あたたかな素朴さは、とても心地いい。

わかりやすい言葉で綴られる歌は、現代人には恐ろしい、丸裸の心。
ありふれた幻想の物語に思えてしまったら、不幸なことかもしれない。

洗練された技量なんかは、すっかりと無価値にして、ヴァシュティ・バニヤン氏の歌声は、心に響いてゆく。

お気に入りは、伝承歌風メロディにのって、のどかな旅の情景が展開する「 Jog Along Bess〜ベスとの旅路 」。テーマ曲とも云える、この歌。軽快なリズムに誘われて、すっかり幸せな気分。

生きるための、ささやかな1日。与えるための、ささやかな愛。
この無垢な歌が、現実の物語となったなら、すべての人が、もっと、やさしくなれるに違いない。

ダイアモンド・デイ。きらめく大切な1日が始まる。


Vashti Bunyan








2016年2月2日火曜日

Stereolab『Dots And Loops』

Stereolab
ステレオラブ
Dots And Loops
ドッツ・アンド・ループス



作詞、作曲:Tim Gane & Laetitia Sadie
01、Brakhage
  ブレーキヘッジ

作詞、作曲:Tim Gane & Laetitia Sadie
02、Miss Modular
  ミス・モジュール

作詞、作曲:Tim Gane & Laetitia Sadie
03、Flower Called Nowhere
  フラワー・コールド・ノーホエア

作詞、作曲:Tim Gane & Laetitia Sadie
04、Diagonals
  ダイアゴナルズ

作詞、作曲:Tim Gane & Laetitia Sadie
05、Prisoner of Mars
  プリズナー・オブ・マーズ

作詞、作曲:Tim Gane & Laetitia Sadie
06、Rainbo Conversation
  レインボウ・カンバセーション

作詞、作曲:Tim Gane, Andrew Ramsay, Laetitia Sadier
07、Refractions in the Plastic Pulse
  リフレクションズ・イン・ザ・プラスチック・パルス

作詞、作曲:Tim Gane & Laetitia Sadie
08、Parsec
  パーセック

作詞、作曲:Tim Gane & Laetitia Sadie
09、Ticker-Tape of the Unconscious
  ティッカー・テープ・オブ・ザ・アンカンシェス

作詞、作曲:Tim Gane & Laetitia Sadie
10、Contronatura
    コントロナテュラ

Bonus Track
11、Off-On
    オフ―オン




演奏
Tim Gane(ギター、ムーグ、ファルフィッサ・オルガン)
ティム・ゲイン
Mary Hansen(ギター、キーボード、バッキング ボーカル)
メアリー・ハンセン
Richard Harrison(ベース)
リチャード・ハリソン
Morgane Lhote(キーボード)
モーガン・ロート
Laetitia Sadier(ヴォーカル、ギター、キーボード)
レティシア・サディエール
Andy Ramsay(ドラム)
アンディー・ラムセイ

Instruments Played:
ヴォーカル、ファルフィッサ・オルガン、エレクトリックギター、ベース、アナログシンセサイザー&エレクトリック機器、フェンダー・ローズ・ピアノ、クラヴィネット、アコースティックギター、エレクトリック・パーカッション


Additional Instrumentation:

Chicago
Sean O'Hagan – piano, Fender Rhodes piano, Farfisa organ
John McEntire – analogue synthesizers and other electric devices,
        percussion, vibraphone, marimba
Douglas McCombs – acoustic bass

Düsseldorf
Andi Toma – electronics,electronic percussion
Jan St. Werner – special electronics, insect horns
Xavier "Fischfinger" Fischer – piano


Brass
Paul Mertens, Dave Max Crawford, Jeb Bishop,
Ross Reed

Brass Arrangements
Sean O'Hagan and Marcus Holdaway

Strings
Rebecca McFaul, Shelley Weiss, Poppy Branders,
Maureen Loughnane

Strings Arrangements
Sean O'Hagan and Marcus Holdaway



Produced:John McEntire, Andi Toma & Stereolab



Warner Music   WPCR75438
2008年8月

繰り返される虚ろな日々は、豊かな物語となって花開く。出会いで育つ状況劇場。そこは夢見るユートピア。
シカゴの音響派、トータスとドイツのエレクトロニカ・ユニット、マウス・オン・マーズも参加する、1997年9月にリリースされた5作目のアルバム。


テクノロジーを使いながらも、レトロな響き。ポップな60年代。ハッピーな実験性。極めて甘い歌の響きは、英国のメランコリーさえ、容易に消し去り、美しい夢物語と変える。

ステレオラブというグループ。1993年作『 TRANSIENT RANDOM - NOISE BURSTS WITH ANNOUNCEMENTS 〜騒音的美学の終焉 』を聴いてからお気に入り。不思議な歌とコーラスが特徴的な、なんだかよく分からない音楽。ありきたりなような、新鮮なような、つかみどころのない、ギター中心のバンドサウンド。

『 Dots And Loops 』での音世界は、さらに深化していて、もう別物なくらいポップでおしゃれ。またこれも、心地いいのは確か。
テーマとなる要素を繰り返し、有機的に曲を綴ってゆく様は見事。変幻自在、摩訶不思議。退屈なんて無縁。

イギリスのステレオラブ、そして シカゴ と デュッセルドルフ との幸せな出会い。この理想郷の音楽に、ただ魅了されるばかり。


2016年1月24日日曜日

SATSUKI SHIBANO『 Songe creux - Erik Satie piano collection 』

SATSUKI SHIBANO
柴野さつき
"Songe creux - Erik Satie piano collection"
「うつろな空想」~エリック・サティ・ピアノ・コレクション



Éric Alfred Leslie Satie(1866–1925)
エリック・アルフレッド・レスリ・サティ


01、1ère Gnossienne
   グノシエンヌ第1番

02、Rêverie du pauvre
    貧しき者の夢

03、Quadrille (Le piège de Méduse)
  カドリール舞曲(メデューサの罠)

04、Désespoir agréable
   快い絶望

05、2ème Gnossienne
   グノシエンヌ第2番

06、Avant-dernières pensées
   最後から2番目の思想
   ーIdylle
    牧歌           
        ーAubade
    朝の歌
    ーMéditation
    瞑想
   
07、3ème Gnossienne
   グノシエンヌ第3番

08、Prélude du 1er Acte =La Vocation (Trois préludes du Fils des étoiles)
   第1幕への前奏曲=使命(星たちの息子への3つの前奏曲)

09、1ère Gymnopedie
   ジムノペディ第1番

10、Son binocle (Les Trois Valses Distinguées du Précieux Dégoûté)
   彼の鼻眼鏡(嫌らしい気取り屋の3つの高雅なワルツ)

11、4ème Gnossienne
  グノシエンヌ第4番

12、Songe Creux
   うつろな空想

13、Facheux Exemple
   困った前例

14、Caresse
   愛撫

15、d'Edriophthalma (Embryons desséchés)
   甲殻類の胎児(ひからびた胎児)

16、Seul à la maison (Véritables préludes flasques (pour un chien))
   家でひとり(<犬のための>ぶよぶよした本当の前奏曲) 

17、5ème Gnossiene
   グノシエンヌ第5番

18、4ème Nocturne
   ノクターン第4番

19、Exercices
   練習

20、6ème Gnossienne
   グノシエンヌ第6番




演奏
柴野さつき (フランス製プレイエル・ピアノ< 1870年製、シリアルナンバー:51476 >)



Produced by Yoshio Ojima
Co-produced by Satsuki Shibano



演奏時間
56:00



録音
"Oizumi-cho Bunka-Mura" Hall (Gunma,Japan)
大泉町文化むらホール(群馬、日本)
1994年03月



This album is dedicated to Jean-Joël Barbier
このアルバムを ジャン=ジョエル・バルビエ氏(1920 - 1994)に捧ぐ



MEDIA RINGS   MGCC-1009
1995年02月25日
覆い尽くす、透明な感情。ただ、そこにある、たしかな夢の響き。
サティ演奏と研究の第一人者、故ジャン=ジョエル・バルビエ氏に師事した、仙台出身のピアニスト、柴野さつき氏によるエリック・サティ作品集。


型にはまった、癒しの音楽なんて、もうウンザリ。

好きになるのは一瞬。出会いはYouTube。
偶然目にした、ありふれた小規模な演奏会の模様。展開してゆく、サティの透明な世界。この美しく浮き上がる、内なる響きに惹かれるのは、もはや運命。

柴野さつき氏の演奏するサティは、ちっぽけな感情なんて無縁。哀しみや歓びなんてものは、はなから、存在しないみたい。夢の中の輝きだけが残る。

押し付けがましい超絶技巧や感情も、心の音楽の前では、すべて無意味。漂うサティの遊び心。その夢想的な美意識に、新たな発見があるのかもしれない。

ピアニスト、柴野さつき氏という存在と音に宿る生命。
安っぽい癒しの音楽に仕立てられたりする、エリック・サティの作品。そんなものとは、まったく違ったものであることは確か。

プレイエル・ピアノで奏でる魔法の音楽。そこにある、揺れ動き、空気のように漂う、柔らかな甘さは貴重。


2016年1月16日土曜日

The Bird and the Bee『 the bird and the bee 』

The Bird and the Bee
ザ・バード・アンド・ザ・ビー
the bird and the bee
ザ・バード・アンド・ザ・ビー



作詞、作曲:Inara George、Greg Kurstin
01、Again & Again
  アゲイン & アゲイン

作詞、作曲:Inara George、Greg Kurstin
02、Birds And The Bees
   バーズ・アンド・ザ・ビーズ

作詞、作曲:Inara George、Greg Kurstin
03、F*cking Boyfriend
  イケないボーイフレンド

作詞、作曲:Inara George、Greg Kurstin
04、I’m A Broken Heart
   アイム・ア・ブロークン・ハート

作詞、作曲:Inara George、Greg Kurstin
05、La La La
  ラ・ラ・ラ

作詞、作曲:Inara George、Greg Kurstin
06、My Fair Lady
  マイ・フェア・レディ

作詞、作曲:Inara George、Greg Kurstin
07、I Hate Camera
   アイ・ヘイト・カメラ

作詞、作曲:Inara George、Greg Kurstin
08、Because
   ビコーズ

作詞、作曲:Inara George、Greg Kurstin
09、Preparedness
   プリペアドネス

作詞、作曲:Inara George、Greg Kurstin
10、Spark
  スパーク



bonus track for japan:

作詞、作曲:Inara George、Greg Kurstin
11、F*cking Boyfriend (Ralphi Rosario & Db Radio Edit)
  イケないボーイフレンド

作詞、作曲:Inara George、Greg Kurstin
12、F*cking Boyfriend (Peaches Remix)
   イケないボーイフレンド




演奏
Inara George (ヴォーカル、ファズベース)
イナラ・ジョージ
Greg Kurstin(ファズベースとホルン以外の器楽演奏)
グレッグ・カースティン

David Ralicke(ホルン)
デイビット・ラリッケ


プロデュース:Greg Kurstin  for SKI Productions
       グレッグ・カースティン



演奏時間
00:44:41



録音
Echo Studio, Los Angeles, CA



EMIミュージック・ジャパン   TOCP-70192
2007年03月07日
現実は不思議でいっぱい。トリさんとハチさんの教育的音物語。
多くの著名アーティストの作品を手がける、ロサンゼルス在住の音楽プロデューサー、グレッグ・カースティン氏と、シンガーソングライター、イナラ・ジョージ氏のエレクトロ・ポップ・ユニット ” ザ・バード・アンド・ザ・ビー " のファーストアルバム。


聴かないほうがいい。しばらく耳から離れなくなってしまうから。

このグループ。名前からして ” The Bird and the Bee “ なんて付けて、音楽もふざけているかと思ったら大間違い。至極まっとうなポップス。
一曲目「 Again & Again 」から、すでにお手上げ。爽快なメロディは、くるくる駆け回り、頭の中を独り占め。歌は幸せの呪文のように繰り返す。
” あれ、なんか変だぞ “ と気付いたときには、もう手遅れ。すっかり、愉快な音楽の虜。

最初は、アップテンポな曲に惹かれるのだけれど、ゆったりとしたテンポの曲もいい。
切ない恋心を綴った「 I’m A Broken Heart 〜アイム・ア・ブロークン・ハート」や、悲しみに立ち止まらず、生きてゆこうと誓う「 Spark 〜スパーク」なんかが気になってくる。
言葉をこえた歌の力。ミュージカルの一場面みたいに盛り上げる、ハーモニーの甘い響き。夢心地。すべてが美しい。

レトロな60年代風メロディを纏った、キュートなエレクトロ・ポップ。展開される私小説的な歌世界。なんだかクセになる。繰り返す、幸せな気分。




2016年1月10日日曜日

Chick Corea & Gary Burton『Native Sense』

Chick Corea & Gary Burton 
チック・コリア & ゲイリー・バートン
Native Sense
ネイティヴ・センス



作曲:Chick Corea
01、Native Sense
    ネイティヴ・センス

作曲:Chick Corea
02、Love Castle
    ラヴ・キャッスル

作曲:Chick Corea
03、Duende
    デュエンデ

作曲:Chick Corea
04、No Mystery
    ノー・ミステリー

作曲:Chick Corea
05、Armando's Rhumba
    アーマンドズ・ルンバ

作曲:Béla Bartók (1881 - 1945)
06、Bagatelle, No. 6
     バガテル #6  

作曲:Chick Corea
07、Postscript
    ポスト・スクリプト

作曲:Béla Bartók (1881 - 1945)
08、Bagatelle, No. 2
    バガテル #2

作曲:Chick Corea
09、Tango '92
    タンゴ′92

作曲:Chick Corea
10、Rhumbata
       ルンバタ

作曲:Thelonious Monk (1917 - 1982)
11、Four in One
    フォー・イン・ワン

作曲:George Gershwin (1898 - 1937)
12、I Loves You Porgy
    アイ・ラヴズ・ユー・ポーギー




演奏
Chick Corea(ピアノ)
チック・コリア
Gary Burton(ヴィブラフォン、マリンバ)
ゲイリー・バートン



演奏時間
1:09:55


録音
Mad Hatter Studios (Studio A), Los Angels, CA
1997年


Universal Victor  MVCL-24003
1997年09月27日
浮世に煌めく、内なる音との対話。甘い旋律は重なり、熱き心は音楽に宿る。
『クリスタル・サイレンス』(1973年)以来となる、チック・コリア氏とゲイリー・バートン氏の共演作品。


前回のデュエット作『クリスタル・サイレンス』は、ジャケットの写真が気に入って、大きなレコードを買ったくらい、とても大好きな作品。静かに消えゆく幻想的な音世界が、心地いい。

この『ネイティブ・センス』。かつてのECMレコードの作品のような、魅力溢れるジャケットではないけれど、また別の側面を描いた続編なのかもしれない。

確信に満ちた力強い音世界は、洗練された美しいハーモニーを聴かせてくれる。内省的な幻想なんてものは、ここにはない。

ときに、不協する音も、瞬く間に、見事な甘い響きへと変わってゆく。緻密な空気。溢れだす情熱のきらめき。
二人のダイナミックな饗宴が、とにかく楽しい。ジャズの素晴らしさ。

冷ややかな幽玄の夢ではなく、現実に自分の中にある美の世界。この、血の通った音楽も、またお気に入り。

あとこれもいい。日本盤にのみ収録された、ガーシュウィン作「 I Loves You Porgy 〜愛するポーギー 」。切ない響きに、心惹かれ涙するに違いない。