2015年12月25日金曜日

湯川潮音『灰色とわたし』

湯川潮音
灰色とわたし


作詞、作曲:湯川潮音
編曲:クマ原田
01、風よ吹かないで

作詞、作曲:湯川潮音
編曲:クマ原田
02、見つめてごらん

作詞、作曲:湯川潮音
編曲:クマ原田
03、秘密

作詞:湯川潮音、オオヤユウスケ  
作曲:オオヤユウスケ
編曲:クマ原田
04、しずくのカーテン

作詞:湯川潮音  
作曲:黒沢健一
編曲:クマ原田
05、シェルブールの雨

作詞、作曲:湯川潮音
編曲:クマ原田
06、明日になれば

作詞、作曲:Donovan Phillips Leitch
編曲:クマ原田
07、恋は月をめざして(Voyage of the Moon)

作詞、作曲:湯川潮音
編曲:クマ原田
08、朝が終わる前の花

作詞、作曲:湯川潮音
編曲:クマ原田
09、巻き貝とわたし

作詞:湯川潮音  
作曲:湯川潮音、クマ原田
編曲:クマ原田
10、キャロル



演奏
湯川潮音(ヴォーカル、ハンドクラップ)
クマ原田(ダブルベース、アコースティックギター、ハンドクラップ、パーカッション)
Graham Henderson(アコースティックギター、ドブロ、キーボード、マンドリン、ホイッスル)
Jake Walker(ヴァイオリン、ビオラ)


プロデュース:クマ原田


演奏
39:53


録音
Ten 21Studio, Kent, England and The Bunker, Hertfordshire, England


EMI Music Japan / Capitol Records  TOCT-26518
2008年07月02日

灰色の空の下、よみがえる幸せな感情。心の奥底に秘められた、本当に大切なもの。
『湯川潮音』(2006)に続く、メジャー後2作目のアルバム。


独特な詩的世界と優しく素朴な味わいの歌声が魅力的な湯川潮音 氏。
この作品『灰色とわたし』。タイトルからして明るくはない。” 灰色 ” と云う言葉の持つマイナスのイメージはかなり大きい。色と感情。” 灰色 ” と付くだけで、味気なく喜びのない憂うつな気分。
でもなぜか、聴いていると、身も心も軽くなって、安らぎに支配されるから不思議。

すべてを覆い尽くす灰色の空。愛の記憶は幻のように隠されてゆく。
いまは、心の奥に、薄れる感情のカケラだけが残る。

こんなにも、美しい歌声は、かつて聴いたことがなかった気がする。天使の歌声。
その飾り気のない無垢の響きは、瞬く間に魂を虜にする。神秘の輝き。
あたたかな、人の心と心で繋がる歌に、すっかり魅了されてしまう。

幻想的な物語として綴られた愛の歌世界。けっして悲しくなんかない。甘美な記憶をたどる旅のおはなし。ただ自分を信じ、新たな光を探し求めて。





2015年12月23日水曜日

遊佐未森『カリヨン・ダンス』


番外編 レビュー


遊佐未森
カリヨン・ダンス


作詞、作曲:遊佐未森
編曲:遊佐未森、Watusi
01、カリヨン・ダンス
(NHKみんなのうた ’15年12月~ ’16年1月O.A. 予定)

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:鹿島達也
02、クロ
(NHK みんなのうた ’05年12月~ ’06年1月 O.A. )

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:渡辺等
03、I’m here with you
(NHKみんなのうた ’09年6月~7月 O.A. )

04、カリヨン・ダンス(オリジナル・カラオケ)




演奏
「カリヨン・ダンス」
楠 均(ドラム、パーカッション、ヴォイス)
Watusi(プログラミング、ベース)
西海 孝(アコースティックギター、エレクトリックギター、ヴォイス)
遊佐未森(ヴォックス、バッキングヴォーカル、ピアノ)


「クロ」
楠 均(ドラム)
鹿島達也(エレクトリックベース、パーカッション)
上田 禎(エレクトリックギター、アコースティックギター)
西海 孝(バンジョー)
阿部尚徳(オリジナルビート)
遊佐未森(ヴォックス、バッキングヴォーカル、ピアノ)


「 I’m here with you 」
楠 均(ドラム)
渡辺 等(アコースティックベース、ブズーキ、マンドリン、プサルタリー、プログラミング)
西海 孝(アコースティックギター)
高田 漣(ペダルスティールギター)
藤原道山(尺八)
寺田創一(プログラミング)
遊佐未森(ヴォックス、バッキングヴォーカル)


演奏時間
18:56


Yamaha Music  YCCW-30047
2015年12月09日

すべてを包み、空高く鳴り響く、カリヨンの福音。
NHK『みんなのうた』のために書かれた「カリヨン・ダンス」を中心に、過去の作品も収録したシングル盤。


忘れられた音楽の山の中から、ふと手にした遊佐未森氏の一枚のCD。これがきっかけとなって、この一年間、過去の作品から最新作まで聴いてきた。音楽にも奇跡的な出会いがあるのかもしれない。
とは云っても、新たに購入したのは『淡雪』(2012)と数本の映像作品のみ。感謝の気持ちを込めて、シングル盤『カリヨン・ダンス』を購入してみた。


NHK『みんなのうた』のために書かれた3曲が収められる。
『みんなのうた』と云えば、幼稚な感じなんて思うかもしれない。たしかに正しい。分かりやすさは、幼稚に映る。みんな、気取った言葉で強がって、本心なんて覆い隠して生活しているんだから。
嬉しかったり、楽しかったり、時には悲しかったりする、素直な気持ちの歌。飾り立てた言葉なんかじゃあなくて、心にぬくもりを伝えるシンプルな言葉。そんな歌が、新鮮で魅力的に感じられる。


時を告げる鐘の音が鳴り響き、優しい調べが街全体を包み込む、「 カリヨン・ダンス 」。ひとたび耳にすれば、すっかり幸せな気分。 喜びに溢れた軽快な音楽が、とにかく心地いい。「 街角 」や「 ブルッキーのひつじ 」みたいな雰囲気。

この、民族チックで不思議な舞踊曲。いつのまにか、訳もわからず心が弾み、楽しくなってゆく。チラッと間奏に現れたりするコーラスの甘美な響きが、心に潤いを取り戻す。

好みじゃあないと思っていたけれど、贅沢なひとときのプレゼント。もうすっかり、満たされた気分。


「 クロ 」、「 I’m here with you 」の2曲。
改めて聴いてみると、やっぱり、グッとくる、いい曲。

独特な美しい世界観を持つ歌が、豊かな感情を与えてくれた気がする。





以前購入した、『 Rondo Piccolo ~ロンド・ピッコロ~scene from Language of Flowers  』(1992年)。再発DVD版 MHBL-109(2008年)

~雲と風とダンス〜
遊佐未森氏の心象風景を描いたドキュメンタリー作品。
美しい波の音とともに、静かに心の声が聞こえてくる印象的なシーンから始まる。
アルバム『モザイク』に収録された組曲「Language of Flowers」を映像で表現したものなんだけど、なんとも不思議で幸福感に満ちた世界が展開してゆく。


突き抜けた甘美な表現。豊かな創造力。
もしかしたら、「カリヨン・ダンス」の世界と、根っこでは繋がっているのかもしれない。

2015年12月13日日曜日

Sabine Devieilhe『Mozart: The Weber Sisters』

Sabine Devieilhe 
サビーヌ・ドゥヴィエル
Mozart: The Weber Sisters
モーツァルト・アリア集~ウェーバー三姉妹



Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト


I  Prologue : La confidence naïve,  ou  l'attente
  プロローグ:純情なる打明け話、または期待

Les petits riens, K. 299b
「レ・プティ・リアン」
01、Overture
    序曲
02、Ah, vous dirais-je maman, K. 265
     ああ、お母さん聞いて
03、Dans un bois solitaire, K. 308
    人里離れた森の中で
Pantomime Pantalon and Columbine, K. 446
パントマイム劇「パンタロンとコロンビーネ」
04、Adagio
   アダージョ


 II  Aloysa,  mia carissima amica
 アロイジア 我が親愛なる友

05、Alcandro, lo confesso... Non so d'onde viene, K. 294
 アルカンドロよ、私は告白しよう、どこより訪れるのか私は分からぬ
06、Vorrei spiegarvi, oh Dio, K. 418
   ああ、できるならあなた様にお教えしたいものです
07、Popoli di Tessaglia... Io non chiedo, eterni dei, K. 316
   テッサリアの民よ!私は求めはいたしません、不滅の神々よ
08、Nehmt meinen Dank, K. 383
   わが感謝をうけたまえ、やさしき保護者よ


III  Josepha,  ou l’entrée dans la Lumière
 ヨゼーファ、または光の中に入って

09、Adagio  K. 410, en fa majeur
  2つのバセット・ホルンとファゴットのためのアダージョ ヘ長調
10、Schon lacht der holde Frühling, K. 580
   すでにやさしき春はほほえみ
Die Zauberflöte, K. 620
  歌劇「魔笛」
11、Der Hölle Rache (Königin der Nacht)
  復讐の炎は地獄のように我が心に燃え <夜の女王のアリア>
Thamos, König in Aegypten, K. 345
 英雄劇「エジプトの王ターモス」
12、n° 5  Allegro vivace assai
 第5番 間奏曲 アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ


 IV  Per mia cara Constanze
 私の愛しいコンスタンツェのために

Die Zauberflöte, K. 620
  歌劇「魔笛」
13、March of the Priests
    神官の行進
14、Solfeggio, K. 393 n° 2 en fa Majeur
   ソルフェッジョ K.393 No.2 ヘ長調
Mass in C minor, K. 427
  ミサ曲 ハ短調
15、Et incarnatus est
   肉体をとりたまいし者




演奏
Sabine Devieilhe (ソプラノ)
サビーヌ・ドゥヴィエル
Arnaud De Pasquale (フォルテピアノ、オルガン)
アルノー・ディ・パスカル
Raphaël Pichon (指揮)
ラファエル・ピション
Pygmalion Baroque Ensemble (古楽器オーケストラ)
アンサンブル・ピグマリオン


演奏時間
01:12:16


録音
パリ、ノートルダム・デュ・リバン教会
2015年1月


Erato  2564601625
2015年11月06日

モーツァルトの複雑に絡み合う愛の関係と、その音楽に影響を与えるフリーメイソンの存在。謎を紐解くかのように構成された、ウェーバー三姉妹のための歌曲集。


新譜が出ると気になって買ってしまう、モーツァルトの歌曲集。
はじめて、『 Rita Streich singt Opern-Arien 』に収録された「夜の女王のアリア」を聴いたときの衝撃が忘れられなくて、買い続けている。演奏が巧いなとか、歌声が美しいなとか思うのだけど、いつもどこか満たされない。でも、そろそろ、良い頃かもしれない。

フランスのソプラノ歌手、サビーヌ・ドゥヴィエル 氏の甘美な歌声は、新世代の幕開けを宣言するかのように、高らかに響き渡る。

リタ・ シュトライヒ 氏の歌唱とは違うけれど、心に迫る美しさがある。その、魔力とも云える音楽の精神性は、もはや、比べるものなど存在しない。内面から溢れ出す巧みな表現は、まやかしではなく、人間の魂を感じさせてゆく。

魅力をうまく引き出しているのが、アンサンブル・ピグマリオンを率いる、フランスの若手指揮者、ラファエル・ピション 氏。
モーツァルトの旋律の美しさや情感の躍動。長い眠りから覚め、本来の輝きを取り戻したかのような、新鮮な音楽を届けてくれる。

モーツァルトとウェーバー三姉妹の物語。映画なんかもあった気がするけれど、実際はどうだったのか ? この歌曲集は、そんな興味を抱かせる。そして、フリーメイソンとの関係にも。すべて謎。

隠された謎。突如聞こえてくる " Leck mich im Arsch 〜 " 。こちらは、なぜかうれしいけれど。

Raphaël Pichon & Sabine Devieilhe

Pygmalion Baroque Ensemble




2015年12月9日水曜日

Meredith Hall『My Love is Like a Red, Red Rose』

Meredith Hall / La Nef
メレディス・ホール/ラ・ヌフ
My Love is Like a Red, Red Rose
恋人は赤いバラのよう
〜ロバート・バーンズの詩によるシャンソン集




01、Craigieburn Wood
 クレイギーバーンの木

02、Charlie, he's my darling
  私の最愛のチャーリー
  
03、Comin Thro' the Rye (Air : Miller's Wedding)
    ライ麦畑で出逢ったら

作曲:John Playford(1623-1686)
04、Grimstock/ The Old Mole/ Cuckolds All a Row  (from  Dancing Master, 1651)

05、When O'er the Hill the E'ening Star (Air : The Lea-Rig/ My Ain Kind Dearie, O)

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
06、Hugh O'Donnell
  ヒュー・オドネル

07、Simmer's a Pleasant Time (Air : Ay Waukin' O)

08、What Can a Young Lassie (Air : What Shall I Do with an Auld Man)

09、My Tocher's the Jewel (Air : The Mucking of Geordie's Byre)

10、She's Fair and Fause (Air : The Lads of Leith)

11、Gloomy Night Is Gath'ring Fast (Air : Roslin Castle)
   
作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
12、Carolan's Dream
      カロランの夢

13、My Love Is Like a Red, Red Rose (Air : Low Down in the Broom)
    恋人は赤いバラのよう

14、Last May, A Braw Wooer (Air : The Lothian Lassie)

Traditional / Welsh Traditional
15、Welsh Dance "pwt-Ar-Y-Bys"

16、My Love Was Born in Aberdeen (Air : The White Cockade)

17、O Let Me In This Ae Night (Air : Will You Lend Me Your Loom, Lass)

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
18、Lament for Owen Roe O'Neill
   オウェン・ロー・オニールへの悲歌

19、John Anderson, My Jo
   ジョン・アンダーソン、我がジョー

20、Ye Banks and Braes(Air :  Caledonian Hunt's Delight)
   美しいドゥーン川の岸辺

21、Now Nature hangs her mantle green (Air : Mary Queen of Scots, Lament)
  
作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
22、Sheebeg and Sheemore (Sí Beag is Sí Mór)
      シーベグとシーモア

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
23、Bumper Squire Jones
  バンパー・スクワイア・ジョーンズ

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
24、Carolan's Favorite Jig
  カロランのお気に入りのジグ

25、Should auld acquaintance be forgot (Air : Auld Lang Syne)
             古き友は忘れられて







演奏
Meredith Hall(ソプラノ)
メレディス・ホール

La Nef(古楽アンサンブル)
ラ・ヌフ
Sylvain Bergeron (バロックギター、テオルボ、指揮)
Claire Gignac (リコーダー)
Elise Guay (リコーダー、バグパイプ)
Betsy MacMillan (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
Robin Grenon (ケルティック・ハープ)
Patrick Graham (パーカッション)




演奏時間
01:11:18




ATMA Classique  ACD22336
2004 年08月12日

歌に込められた郷愁に満ちた人々の想い。スコットランドの詩人ロバート・バーンズの詩による歌曲集。
日本で唱歌として親しまれる、大和田 建樹 氏(1857-1910)が日本語の詞を付けた「 故郷の空 」の原曲「 Comin' Thro' the Rye 」、稲垣千頴 氏(1845 - 1913) 作詞の「 蛍の光 」の原曲「 Auld Lang Syne 」収録。



スコットランドの伝承歌に手を加え、蘇らせた詩人ロバート・バーンズ(1759-1796)。370ほどあると云われる中から、15のバーンズの歌が選ばれている。
おもに、いろいろな愛の歌が展開されてゆく。幸せであったり、悲しみであったり、簡単であったり、複雑であったり、男であったり、女であったり。
2つの政治的な内容の歌「Charlie, he's my darling」、「Now Nature hangs her mantle green」が含まれるのも興味深い。


知らないはずの異国のメロディが、なぜか心地いい。郷愁に満ちた響き。

美しい音楽に、ただ身をまかせれば、それでいいと思う。
たくさん出てくるスコットランド方言。言葉がわからなくても気にする必要はない。幼い頃に教わり歌った、日本語の童謡や唱歌でも、わからない ” 古い言葉 " が使われているんだから、同じじゃあないかと、勝手に納得したりする。音楽は言葉を超えることだってある。

好みの問題だけど、ロバート・バーンズ の歌曲集の中で、このCDが一番お気に入り。
ケルティック・ハープの優しい音色に誘われ、とてもリラックスした雰囲気で進んでゆく。歌の合間に収録される、Welsh Dance「 pwt-Ar-Y-Bys 」や ターロック・オキャロラン (1670-1738) 作曲の「 Hugh O'Donnell 」、「 Carolan's Favorite Jig 」なんかの演奏が、これまた楽しい。

カナダ出身のソプラノ歌手、メレディス・ホール氏と古楽アンサンブル、ラ・ヌフによって紡がれる澄みきった音楽は、忘れがたい心の安らぎを与えてくれる。

Meredith Hall

La Nef

2015年12月5日土曜日

ALEXANDER GRYCHTOLIK『 J.S.Bach: Köthener Trauermusik BWV 244a 』

ALEXANDER GRYCHTOLIK
アレクサンダー・グリヒトリーク
J.S.Bach: Köthener Trauermusik  BWV 244a
バッハ:レオポルト侯のための葬送音楽



Johann Sebastian Bach (1685-1750)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
台本:Christian Friedrich Henrici < Picander > (1700 – 1764)
クリスティアン・フリードリヒ・ヘンリーツィ <ピカンダー>
Köthener Trauermusik  BWV 244a
『 レオポルト侯のための葬送音楽 』
(アレクサンダー・グリヒトリークによる復元版)


Erste Abteilung・Part One
01、Chorus:  Klagt, Kinder, klagt es aller Welt
02、Recitativo:  Oh Land! Bestürztes Land
03、Aria:  Weh und Ach
04、Recitativo:  Wie wenn der Blitze Grausamkeit
05、Aria:  Zage nur, du treues Land
06、Recitativo:  Ah ja! Wenn Tränen oder Blut
07、Chorus:  Komm wieder, teurer Fürsten-Geist

Zweite Abteilung・Part Two
08、Chorus:  Wir haben einen Gott, der da hilft
09、Recitativo:  Betrübter Anblick voll Erschrecken
10、Aria:  Erhalte mich
11、Recitativo:  Jedoch der schwache Mensch erzittert nur
12、Aria:  Mit Freuden sei die Welt verlassen
13、Recitativo:  Wohl also dir
14、Repetatur dictum (Wiederholung Chorus Nr.8/repeat of no.8)

Dritte Abteilung・Part Three
15、Chorus: Aria:  Laß, Leopold, dich nicht begraben
16、Aria:  Wie könnt es möglich sein
17、Aria:  Wird auch gleich nach tausend Zähren
18、Recitativo:  Und, Herr, das ist die Spezerei
19、Aria:  Geh, Leopold, zu deiner Ruhe

Vierte Abteilung・Part Four
20、Aria:  Bleibet nur in eurer Ruh
21、Recitativo:  Und du, betrübtes Fürstenhaus
22、Aria:  Hemme dein gequältes Kränken
23、Recitativo:  Nun scheiden wir
24、Chorus:  Die Augen sehn nach deiner Leiche




演奏
Gudrun Sidonie Otto(ソプラノ)
グズルン・シドニー・オットー
David Erler(アルト)
ダーフィト・エーラー
Hans Jorg Mammel(テノール)
ハンス・イェルク・マンメル
Daniel Ochoa(バス)
ダニエル・オチョア

Deutsche Hofmusik Chor
ドイツ・ホーフムジーク合唱団
Deutsche Hofmusik(ピリオド楽器オーケストラ)
ドイツ・ホーフムジーク

Alexander Grychtolik(チェンバロ、オルガン、指揮)
アレクサンダー・グリヒトリーク


演奏時間
01:13:28


録音
ケーテン、聖ヤコプ教会
2014年9月


DHM Deutsche Harmonia Mundi 88875164222
2015年12月04日

独自のアプローチを加えたバッハのカンタータ復元、演奏で知られる、ドイツのチェンバロ奏者、音楽学者のアレクサンダー・グリヒトリーク氏による、『 Köthener Trauermusik  BWV 244a 〜レオポルト侯のための葬送音楽 』の復元版。


こういったCD、一曲目がイマイチだと聴く気が起こらないけれど、これはいい。
もう一気に、合唱「Klagt, Kinder, klagt es aller Welt 〜嘆け、子らよ、全世界に向って嘆け」から、心震わせる音楽に引き込まれる。
” Klagt, Kinder, klagt es aller Welt "と歌われるたびに、鳥肌が立つような感動を覚える。言葉では表しにくいけれど、なにか不思議な力の宿る、素晴らしい音楽が展開されてゆく。

バッハが慕い、最大の理解者であった、領主アンハルト=ケーテン侯レオポルトに捧げた葬送音楽。楽譜が消失しているこの作品。『 Matthäus-Passion BWV244 〜マタイ受難曲 』から転用した音楽で復元されたと云うことだ。

大雑把に云うと、”国民の哀悼”、”魂の救い”、”輝かしき功績”、”永遠の休息と別れ” みたいな流れで進んでゆく。
葬送音楽だから悲しい音楽だとは思うけれど、光に満ちた心地よい安らぎが溢れ、その透明な響きは甘く美しい。曲が同じ、マタイ受難曲とは違って神聖な感じはないけれど、それがかえっていい。

もしかすると、アレクサンダー・グリヒトリーク氏が率いる、優しくて、心地よさを感じる、みずみずしい演奏は、このCDの一番の 魅力かもしれない。


Leopold von Anhalt-Köthen (1694-1728)


Gudrun Sidonie Otto

David Erler

Hans Jorg Mammel

Daniel Ochoa

Alexander Grychtolik


2015年11月22日日曜日

Stefan Temmingh, Dorothee Mields『Birds』

Stefan Temmingh, Dorothee Mields
シュテファン・テミング、ドロテー・ミールズ
Birds
~バロック時代の鳥の標題音楽


Jean-Philippe Rameau (1683-1764)
ジャン=フィリップ・ラモー
Nouvelles Suites De Pieces De Clavecin
新クラヴサン組曲集第2番
01、V. La Poule
    雌鶏

George Frideric Handel (1685-1759)
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
Rinaldo, Hwv 7
歌劇『リナルド』
02、Augelletti Che Cantate (Adagio)
    さえずる小鳥達よ

作者不詳
03、This Merry Peasant Spring

Pietro Torri (CA. 1650-1737)
ピエトロ・トッリ
Ismene
歌劇『イスメーネ』
04、Son Rosignolo
  息子ナイチンゲールよ

Giuseppe Fedeli (CA. 1680-1733)
ジュセッペ・フェデリ
The Temple Of Love: Warbling The Birds Enjoying
  愛の寺院~楽しむ鳥のさえずり
05、Largo -Adagio -Largo -Allegro -
     Vivace -Adagio -Allegro -Slow

Thomas Augustine Arne (1710 – 1778)
トマス・オーガスティン・アーン
As You Like It
喜劇『お気に召すまま』
06、The Cuckoo (When daisies pied)
    カッコウ (まだらのヒナギクが)

Alessandro Poglietti (Early17th-1683)
アレッサンドロ・ポリエッティ
Rossignolo
イル・ロシニョーロ
07、Imitatione Del Medesimo Uccello
   夜鳴きうぐいす~鳥の模倣

Antonio Vivaldi (1678-1741)
アントニオ・ヴィヴァルディ
Flute Concerto In D Major, Op. 10 No. 3,"Il Gardellino"  Rv 428
フルート協奏曲 ニ長調 Op.10 - 『ごしきひわ』
08、I. Allegro
09、II. Cantabile
10、III. Allegro
   
作者不詳
Melismata
メリスマータ
11、The Three Ravens
    3羽のカラス

Michel Pignolet de Monteclair (1667-1737)
ミシェル・ピニョレ・ド・モンテクレール
Concerts Pour La Flute Traversiere Avec La Basse Chiffree: Les Tourterelles
   フリュート・トラヴェルシエールと通奏低音のためのコンセール
12、Tendrement

Reinhard Keiser (1674-1739)
ラインハルト・カイザー
Ulysses
ユリシーズ
13、Du Angenehme Nachtigall
    快いナイチンゲール

Francois Couperin (1668-1733)
フランソワ・クープラン
 Pieces De Clavecin II
クラヴサン曲集第2巻
14、Le Gazoüillement
     さえずり

MR.Quignard  (18th Century)
キニャール
Printemps
  春
15、tendrement
   恋するうぐいす

Louis-Claude Daquin (1694-1772)
ルイ=クロード・ダカン
Premier livre de pieces de clavecin, Suite No. 1
クラヴサン曲集 第1巻
16、Le Coucou  -rondeau
    かっこう

George Frideric Handel (1685-1759)
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
L’Allegro, Il Penseroso Ed Il Moderato, Hwv 55
オラトリオ『快活の人、沈思の人、温和の人』
Sweet Bird
甘き鳥
17、andante
    
John Bartlett (16th & 17th Century)
ジョン・バートレット
A Book Of Ayres (1606)
Sweet Birdes Deprive Us Never
優しい鳥達よ、奪わないで欲しい
18、PartI
19、PartII
20、PartIII



演奏
Stefan Temmingh (リコーダー)
シュテファン・テミング
Dorothee Mields (ソプラノ)
ドロテー・ミールズ


The Gentleman's Band(古楽合奏団)
ザ・ジェントルマンズ・バンド

Saskia Fikentscher(リコーダー)
サスキア・フィケンチャー
Wiebke Weidanz(ハープシコード、リコーダー)
ヴィプケ・ヴァイダンツ
Elisabeth Seitz(プサルタリー)
エリーザベト・ザイツ
Johanna Seitz(ハープ)
ヨハンナ・ザイツ
Axel Wolf (リュート、テオルボ)
アクセル・ヴォルフ
Domen Marincič (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ドーメン・マリンチッチ


La Folia Baroque Orchestra(古楽合奏団)
ラ・フォリア・バロックオーケストラ


演奏時間
72:30


録音
Himmelfahrtskirche, Munchen-Sendling, Germany
昇天教会 、ミュンヘン=ゼンドリング (ドイツ)
2015年2月24 -27日


DHM Deutsche Harmonia Mundi   88875141202
2015年11月13日

バロック時代の鳥の標題音楽集。
世界的に注目されるリコーダー奏者シュテファン・テミング氏と、ソプラノ歌手ドロテー・ミールズ氏の共演。


鳥の声を音楽で表現した作品を集めたもの。ナイチンゲールとかカッコウの鳴き声なんかをモチーフにして、美しい愛や春の訪れと裏切りなんかを象徴してゆく。
リコーダーを中心とした楽器や歌声で模倣された、甘美な響きが心地いい。

 ” これは違うな、すごいな  " と感じたのは、シュテファン・テミング氏の演奏するリコーダーの踊る音色。聴いていると本当に楽しくなってくる。もちろん、技術の優劣のことだけじゃあない。聴き手を高揚させる気持ちのこもった演奏ということ。ツマラナイから ” 先送りして次の曲へ " なんてことは、けっしてない。

ドロテー・ミールズ氏の歌唱がこれまたいい。その歌声は透き通るように美しいし、時には、茶目っ気たっぷりに歌う。絶妙なリコーダーとのかけ合いなんかも素晴らしい。

特に、楽しげな言葉遊びで皮肉を隠した、トマス・オーガスティン・アーン作「 The Cuckoo ( When daisies pied )〜カッコウ(まだらのヒナギクが)」なんかがそうだけど、堅苦しいクラシック音楽じゃあなくて、創造力に富んだ、きれいで愉快な曲たちを収めた音楽集なのが気に入った。聴いていると、思わず、心がほのぼのとしてくる。


Cara Dillon『Hill of Thieves』

Cara Dillon
カーラ・ディロン
Hill of Thieves


作詞、作曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
01、The Hill of Thieves

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
02、Johnny, Lovely Johnny

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
03、The Parting Glass

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
04、Spencer the Rover

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
05、False, False

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
06、Jimmy Mó Mhíle Stór

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
07、She Moved Through the Fair

作詞、作曲:Traditional、Cara Dillon 、Sam Lakeman
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
08、P Stands for Paddy (Lament for Johnny)

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
09、The Verdant Braes of Skreen

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
10、The Lass of Glenshee

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
11、Fil, Fil a Run Ó




演奏
Cara Dillon(ヴォーカル、ホイッスル)
カーラ・ディロン
Sam Lakeman (ギター、ピアノ、バウロン、パーカッション)
サム・レイクマン
James O'Grady (イーリアン・パイプス、ロー・ホイッスル)
ジェームス・オグラディ
Ben Nicholls (ダブルベース)
ベン・ニコルズ
Zoe Conway(フィドル)
ゾーイ・コンウェイ
Eamon Murray (バウロン)
イーモン・マレー
Brian Finnegan (ホイッスル)
ブライアン・フィネガン
Seth Lakeman (ヴォーカル、テナーギター、フィドル)
セス・レイクマン 
John Smith (ギター、マンドラ)
ジョン・スミス
Sean Lakeman (ギター)
シーン・レイクマン
James Fagan (ブズーキ、ギター)
ジェームス・ファーガン
Ed Boyd (ギター)
エド・ボイド


プロデューサー:Sam Lakeman
        サム・レイクマン



演奏時間
45:06


録音
AT HOME IN SOMERSET
サマセットの自宅 (イングランド)


Charcoal Records ‎  CHARCD002
2009年1月26日

心に浮かぶ、緑に包まれたアイルランドの牧歌的風景。音楽の美しさを純粋に極めた、北アイルランド出身のフォーク歌手カーラ・ディロン氏の4作目。


『 Cara Dillon 』(2001年)、『 Sweet Liberty 』(2003年)しか持っていないので、海外のファンがオススメのアルバム『 Hill of Thieves 』を聴いてみることにした。
デジタル時代だけど、直接、イギリスのお店から購入しようと云うことで、注文から2週間ほどで到着。


まず、このCD。ジャケットがいい。この写真、一緒に音楽活動をする相棒であり旦那さんでもあるサム・レイクマン氏の手によるもの。ほのぼのとした愛情溢れる雰囲気。もうそれだけで十分満足。

カーラ・ディロン氏の故郷、北アイルランドのダンギブン(Dungiven)周辺に広がる、さまざまな物語が古くから伝わるベンブラダ山(Benbradagh mountain)のことを歌うオリジナル曲、「 Hill of Thieves」から始まる。

この曲、シンプルで力強いメロディーが、とにかく美しい。買って良かったと心底思える。
” この土地にかえっておいで ” みたいに語りかける歌は、どこか懐かしく心に響く。ベンブラダ山なんて行ったことがないけれど、目の前に、鮮やかな景色が浮かんでくる。透明感溢れる故郷の歌は、疲れを心地よく癒してゆく。

アレンジされた伝承曲も、素晴らしく楽しい。
ホイッスルやイーリアンパイプスと云った楽器で奏でる、アイルランド丸出しのイキイキとした音楽は、心から晴れ晴れとした気分にしてくれる。

安らぎに満ちた歌声。人なつっこい表情をたたえた上質な演奏。広がる音楽の喜び。その素朴で美しい響きは、人種なんて関係なく、甘く魅了し続けるのかもしれない。




2015年11月10日火曜日

湯川潮音『湯川潮音』

湯川潮音
湯川潮音


作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
01、渡り鳥の3つのトラッド

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
02、鏡の中の絵描き

作詞:湯川潮音
作曲:岸田繁
編曲:鈴木惣一朗
03、裸の王様 (Album mix)

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
04、HARLEM

作詞:湯川潮音
作曲:ジェームス・イハ、湯川潮音
編曲:ジェームス・イハ
05、蝋燭を灯して (Album mix)

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
06、聖堂の隅で

作詞:湯川潮音
作曲:永積タカシ
編曲:鈴木惣一朗
07、緑のアーチ (Album mix)

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
08、海の上のパイロット

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:ジェームス・イハ
09、エデンの園 (Album mix)

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗、橋本和昌
10、キルト




演奏
湯川潮音(ヴォーカル、クラシックギター)
鈴木惣一朗(ドラム、パーカッション)
青梅拓次(クラシックギター、マンドリン)
James Iha(ギター、キーボード)
ジェームス・イハ
Kevin March(ドラム)
ケビン・マーチ
Adam Schlesinger(ベース、キーボード)
アダム・シュレシンジャー
伊賀 航(ウッドベース)
影山敏彦(クラシック&エレクトリックギター)
吉野友加(アイリッシュハープ、チェレスタ)
藤原マヒト(ウーリッツァー、ピアノ、チェレスタ、アコーディオン、オルガン)
ヤマカミヒトミ(フルート)
田村玄一(スティールパン)
中島久美(ヴァイオリン、ヴィオラ)
末永千湖(ヴァイオリン)
山本哲也(ストリングスアレンジ)


Produced by 鈴木惣一朗 
Mixed by Kazuyuki Matsumura a.k.a.ZAK
  

演奏時間
47:39


録音
aLIVE RECORDING STUDIO 、AVACO CREATIVE STUDIO、rad 2000 studio、
STRATOSPHERE SOUND, NYC、HeartBeat.RECORDING STUDIO


TOSHIBA EMI / Capitol Rocords   TOCT-25889 (初回限定 : 紙ジャケット仕様)
2006年01月25日

どこまでも美しく、独創的な牧歌世界を展開する湯川潮音氏のメジャー1作目。


カーラ・ディロン氏のアイリッシュ・フォークがあんまり心地よいもんだから、こんどは日本のフォークが聴きたくなってきた。
秋から冬へと季節が向かっているこの時期、心にあたたかなぬくもりを伝えてくれる音楽、湯川潮音氏のメジャー・デビュー作『湯川潮音』(2006年)を持ち出した。


聴き始めてすぐに、もうすっかり、不思議な安心感に包まれる歌声に魅了される。ソプラノの美声とか云った感じじゃあなくても、甘く優しい響きは間違いなく美しい。
もしかしたら、どこかで聴いた懐かしい天使の歌声。片田舎の。

独特な詞の表現は、ちょっとした混乱を生むかもしれないけれど、秘めた熱情が溢れ始める。ゆったりとした時の流れの中で、迷いなく、心のひだが言葉を紡いでゆく。

この、おとぎ話のような牧歌世界。次第に姿をあらわす、人のあたたかみに満ちた理想郷。
気がつくと、まるで魔法にかけられたように音楽に身をまかせている。

目には見えないけれど、" 想い " は確かにここにある。そんな世界を豊かに表現する湯川潮音氏の歌が素晴らしく魅力的に感じられた。


骨太なサウンドがカッコよかったりして、どの曲も存在感がある。そんな中で気に入ったのはアイリッシュハープの響きが美しい『 鏡の中の絵描き 』。遊佐未森氏の『淡雪』(2012年)にも参加している吉野友加氏が奏でるハープの旋律が、歌に鮮やかな色彩を与え、聴いていると新鮮な気持ちになってゆく。



2015年11月1日日曜日

遊佐未森『 Bougainvillea 』

遊佐未森
Bougainvillea
ブーゲンビリア


作曲:遊佐未森、外間隆史
編曲:外間隆史、阿部尚徳
01、箱根

作詞:遊佐未森
作曲:高木正勝
編曲:外間隆史、阿部尚徳
02、light song

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
03、ブーゲンビリア

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
04、流線

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
05、blue heaven

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
06、桃色の雲は

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
07、花林糖

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
08、Daisy / Daisy

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
09、ユングフラウ (Schwarze Katze Version)

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、阿部尚徳
10、彼方




演奏
遊佐未森(ヴォックス、バッキングヴォーカル、アコースティックピアノ、マウンテンダルシマー)
外間隆史(キーボード)
小松茂(ドラム)
西海孝( クロマティックハープ、バンジョー、ドブロ マンドリン、フラットマンドリン、エレクトリックギター)
楠均(ドラム、パーカッション)
鹿島達也(ウッドベース)
松岡モトキ(エレクトリックギター)
小山晃一(エレクトリックベース)
小野塚晃(アコースティックピアノ)
阿部浩二(アコースティックギター)
Koo(フリューゲルホルン)
松田文(アコースティック&エレクトリックギター)



プロデュース:遊佐未森
コ・プロデュース:外間隆史


演奏時間
50:07


録音
Studio WALK, Landmark Studio, Victor Studio, Studio TERRA



東芝EMI   TOCT-25093
2003年08月20日
もうあなたしか見えない 〜いとしさの陰は幻。牧歌的な愛の歌紀行。
遊佐未森氏の15枚目のアルバム。


本でも映画でも、そして音楽でも、私小説っぽい作品のほうが、グッとくる。やっぱり、見ちゃあいけないものを見ている感覚が、面白いのかもしれない。あたたかな人間味を感じさせる。

日記みたいに綴られた、膨らみ続ける恋心。
どこに行っても、何を見ても、心に浮かんでくる、” あなた ”への想い。

きわめて牧歌的な歌世界に浸る。静かな幻想、美しい寂しさ。純粋すぎず、甘すぎない。いとしさの行方。

いつのまにか、恋する気持ちに、共感していたりする。

この作品『 ブーゲンビリア 』。ささやかな物語たち。

なかでも、遊佐未森 氏流のシューゲイザーとも云える「桃色の雲は」。妙に、ほのぼのした耽美な抒情。透き通る甘美な歌声。ひろがる写実的描写。これがとても心地いい。

夕日に染まる、桃色の雲。恋の不安も、未来への憧憬と変わる。

あるいは悲恋かもしれない、ありがちな恋の物語。あなたの闇にも光は必ず届くはず。その淡い夢の歌は、ゆっくりと心に響いてゆく。


L'Arpeggiata『Cavalli : L’amore innamorato』

L'Arpeggiata, Christina Pluhar
プルハール&ラルぺッジャータ
Cavalli : L’amore innamorato 
カヴァッリ歌劇『恋に恋して』





Francesco Cavalli (1602-1676)
フランチェスコ・カヴァッリ
L'Amore Innamorato , 1642
歌劇『恋に恋して』(プルハールによる再構築版)



from ‘L’Ormindo’ ,  初演 Teatro San Cassiano 1644 
歌劇『オルミンド』から
01、L'Armonia (Prologo)

extract of ‘Il Giasone’ ,  初演 Teatro San Cassiano, 1649
歌劇『ジャゾーネ』の再編曲
02、Sinfonia

from ‘La Calisto’ ,  初演 Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
03、Act 1: " Piante ombrose "

from ‘La Calisto’ ,  初演 Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
04、Act 3: " Restino imbalsamate "

from ‘La Rosinda’ , 初演  Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『ロジンダ』から
05、Act 3: " Vieni, vieni in questo seno "

from ‘La Calisto’ , 初演  Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
06、Act 1: " Verginella io morir vo '"

from ‘La Calisto’ , 初演  Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
07、Act 1: " Ninfa bella "

from ‘La Calisto’ ,  初演 Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
08、Act 1: "Non è maggior piacere"

from ‘L’Artemisia’ ,  初演 Teatro San Giovanni e San Paolo, 1657
歌劇『アルテミジア』から
09、Act 3: " Dammi morte "

extract of ‘L’Eliogabalo’,  作曲 1667
歌劇『エリオガバロ』の再編曲
10、Sinfonia

from ‘L’Artemisia’ ,  初演 Teatro San Giovanni e San Paolo, 1657
歌劇『アルテミジア』から
11、Act 2: " Affliggetemi, guai dolent i"

from ‘L’Ormindo’ ,  初演 Teatro San Cassiano 1644 
歌劇『オルミンド』から
12、Act 2: "Che città"

Giovanni Girolamo Kapsberger (1580-1651)
ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー
Libro Quarto d'Intavolatura di Chitarrone, 刊行 Roma 1640
キタローネのためのタブラチュア曲集 第4巻 より
13、Toccata prima

from ‘La Didone’,  初演 Teatro San Cassiano, 1641
歌劇『ディドーネ』から
14、Act 1: " Alle ruine del mio regno "

from ‘La Didone’, 初演 Teatro San Cassiano, 1641
歌劇『ディドーネ』から
15、Act 1: "L'alma fiacca svanì"

Andrea Falconieri (1585 -1656)
アンドレア・ファルコニエーリ
Il primo libro di canzone, sinfonie, fantasie, capricci, brandi, correnti, gagliarde, alemane, volte: ,刊行 Napoli 1650
カンツォーナ、シンフォニア、ファンタジア、カプリッチョ、ブランド、コレント、ガリアルド、アルメイン、ヴォルテ集 第1巻 より
16、sinfonie: " La suave melodia "








演奏
Hana Blažíková(ソプラノ)
ハナ・ブラシコヴァ
Nuria Rial(ソプラノ)
ヌリア・リアル

L'Arpeggiata (古楽合奏団)
ラルぺッジャータ
Christina Pluhar ( テオルボ, バロックハープ)
Doron David Sherwin (コルネット)
Veronika Skuplik(バロックバイオリン)
Judith Steenbrink(バロックバイオリン)
Eero Palviainen (アーキリュート, バロックギター)
Marcello Vitale(バロックギター)
Sarah Ridy (バロックハープ)
Margit Übellacker (プサルタリー)
Elisabeth Seitz (プサルタリー)
Lixsania Fernandes (ヴィオラ ダ ガンバ)
Rodney Prada (ヴィオラ ダ ガンバ)
Paulina van Laarhoven (リローネ)
Josetxu Obregon (バロックチェロ)
Rüdiger Kurz (ヴィオローネ)
Boris Schmidt (ダブルベース)
Haru Kitamika (ハープシコード, オルガン)
Francesco Turrisi (ハープシコード, オルガン)
David Mayoral (パーカッション)

Christina Pluhar (指揮)
クリスティーナ・プルハール



演奏時間
01:06:45

録音
Institut Culturel Roumain, Salle Byzantine (パリ)
2015年1月



WARNER ERATO  2564616643  (DVD付き限定デラックス・エディション)
2015年10月23日

17世紀のヴェネチアにおいて、新しいオペラの世界を創り出したカヴァッリ。多くの作品が公共のオペラ劇場で上演された記録が残る。全てが現代に伝わっているわけではなく、忘れ去られ、幾つかの作品は不完全なものとなっている。
音楽が失われてしまった歌劇『恋に恋して』を、古楽合奏団ラルぺッジャータを率いる クリスティーナ・プルハール氏が再構築。



なんの知識もなく聴き始めたら、どこかで耳にした旋律が流れてきた。
それもそのはず、歌劇『恋に恋して』を再現するために、他の作曲家の作品やカヴァッリの他の歌劇の曲などが、使われているんだから当然。のちのパスティッチョ・オペラみたいなもの。

なぁんだ、と少しばかりがっかりしたけれど、瑞々しい躍動感の溢れる音楽が楽しいもんだから、そんなことはすぐに忘れてしまう。
かつてのヴェネチアの響きを蘇らせる甘い旋律と、ラルぺッジャータ流に、少しばかり現代的に崩された演奏が、心地いい。

ここで展開される音楽は、退屈なものじゃあないのは確か。
伝統を引き継ぎつつ、ドラマチックな美しさが際立つものとなっているから、刺激的で飽きさせない。 どこか新しい音楽の響きがする。

二人のソプラノ、チェコ出身の ハナ・ブラシコヴァ氏と、カタルーニャ出身の ヌリア・リアル氏の、歌唱の素晴らしさも魅力の一つ。

特に、ハナ・ブラシコヴァ氏の、しなやかな歌声の神々しい美しさと、優しく彩りをちりばめた装飾歌唱が素晴らしい。こんなに、細やかな情感を込めた歌い方する歌手だとは思っていなかったので、驚いた。
もちろん、ヌリア・リアル氏の、力強く清澄な響きに満ちた歌唱は、古楽の楽しみを伝えてくれ、なんだかウキウキしてくる。

歌劇がどうのこうのより、何を置いても、この甘美な競演を大いに味わうべきかもしれない。



限定デラックス・エディションに付属されたDVD。たかがおまけだと思っていたら大間違い。
古楽合奏団ラルぺッジャータのいままでの音楽を巡るもので、フランスのカウンターテナー歌手 フィリップ・ジャルスキー氏も登場したりする。収録時間は2時間近く。

本作の収録風景も含まれる。近所にでも買い物へ行くような格好をして可愛らしいヌリア・リアル氏。あまりにも歌唱に迫力があるもんだから、その、ちょっとしたギャップが新鮮に感じられたりして面白い。







2015年10月25日日曜日

Cara Dillon『Cara Dillon』

Cara Dillon
カーラ・ディロン
Cara Dillon



作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
01、Black Is The Colour


作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
02、Donald Of Glencoe


作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
03、Craigie Hill


作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
04、Green Grows The Laurel


作詞:Sir Samuel Ferguson
作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
05、Lark In The Clear Air


作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
06、The Lonesome Scenes Of Winter


作詞、作曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
編曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
07、Blue Mountain River


作詞、作曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
編曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
08、I Wish I Was


作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
09、The Maid Of Culmore


作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
10、She's Like The Swallow


作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon, Sam Lakeman
11、I Am A Youth That's Inclined To Ramble




演奏
Cara Dillon (ヴォーカル)
カーラ・ディロン
Sam Lakeman (ピアノ,ハーモニウム ,オルガン)
サム・レイクマン
Mary Dillon (バッキングヴォーカル)
メアリー・ディロン
Seth Lakeman (ヴァイオリン ,ヴィオラ ,テナーギター ,マンドリン ,バッキングヴォーカル)
セス・レイクマン     
Ben Nicholls (アコースティック&アップライトベース)
ベン・ニコルズ
Roy Dodds (ドラム ,パーカッション)
ロイ・ダッズ
Sean Lakeman (アコースティックギター)
シーン・レイクマン
Luke Daniels (ボタンアコーディオン)
ルーク・ダニエルズ
Dan Goddard (アコースティックギター)
ダン・ゴダード
John Reynolds (ドラム)
ジョン・レイノルズ



プロデューサー:Sam Lakeman
        サム・レイクマン


演奏時間
45:30


録音
"The Firs" Devon. and "Rath na lochan" Co.Donegal.
2001



Rough Trade Records    RTRADECD 019
2001年7月16日

歌い継がれてきたシンプルで力強いメロディーの甘く懐かしい響き。
北アイルランド出身のフォーク歌手 カーラ・ディロン氏のファーストアルバム。


ひとつの音楽との出逢いから脇道へとそれてしまって、次から次へと聴きたい音楽があらわれたりする。道草は楽しいものだ。

遊佐未森氏の作品を巡っていたら、アイルランド音楽が聴きたくなってきた。
伝承歌なんかをポップにアレンジした、アイリッシュフォークがいい。
と云うことで、アイルランドのフォーク歌手 カーラ・ディロン氏のアルバム 『 Cara Dillon 』( 2001年) を持ち出した。

このアルバム、楽曲のアレンジがうまい。自己満足の為だけじゃあなくて、みんなに届けるポップな楽しさ。
美しい旋律に彩られた心地よい音楽が展開され、うれしくなる。

伝承歌の詞は、哀しいものなんだけれど、そこに寒々しい悲劇はなく、先人達の確かな存在と残された心のあたたかみに溢れる。

カーラ・ディロン氏は独特なアイリッシュの節回しで歌っているから、時々歌詞が聞き取れなかったりもする。出てくる地名どころか、歴史的な背景もほとんど知らないくらいだから、歌の本当の意味なんか分かっていないはず。それでも、全てを包み込むように、不思議と懐かしい感覚に満たされてゆく。

柔らかく晴れやかな歌声と説得力のある豊かな歌心がそうさせるのかもしれない。

いつまでも聴いていたい大切な音楽の一つ。



2015年10月10日土曜日

遊佐未森『淡雪』

遊佐未森
淡雪


作詞、作曲:遊佐未森
編曲:渡辺 等
01、欅 ~光りの射す道で~

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:渡辺 等
02、Snow Rose

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:渡辺 等
03、花と夢

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:渡辺 等
04、poetry days

作詞:遊佐未森
作曲:鴨宮 諒
編曲:渡辺 等
05、カラフル!

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:渡辺 等
06、銀河に恋するプラネタリウム

作詞:佐伯孝夫(1902 - 1981)
作曲:吉田 正(1921 - 1998)
編曲:渡辺 等
07、いつでも夢を

作曲:遊佐未森
編曲:渡辺 等
08、アアルトの曲線

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:渡辺 等
09、桜、 君思う

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:遊佐未森、渡辺シュンスケ
10、Lily of the Valley

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:渡辺 等
11、風の自転車




演奏
遊佐未森(ヴォックス、ピアノ、ベル)
佐野康夫(ドラムス)
渡辺 等(チェロ、ウクレレ、ギター、ベース、パーカッション、プログラミング)
今堀恒雄(ギター)
渡辺シュンスケ(キーボード)
楠 均(ドラムス、パーカッション)
西海 孝(ギター)
近藤研二(ギター)
影山敏彦(ギター)
吉野友加(アイリッシュハープ)

ゲスト
壇れい(ヴォーカル)


ミックス、マスタリング:Carl Malcolm
            カール・マルコム


演奏時間
48:05


プロデュース:遊佐未森
サウンドプロデュース:渡辺 等


ヤマハミュージックコミュニケーションズ  YCCW-10167
2012年01月18日

恐れに満ちた闇の中に輝く、夢と希望の光溢れる音世界。
遊佐未森氏のオリジナルとしては18枚目のアルバム。


古楽声楽曲の蒐集はやめられない。車内で聴こうとCDは用意してある。
でも、ふと、マイブームとも云える遊佐未森氏の音楽、その最新 (2015現在) のアルバムを聴いてみようと思い立った。
発売から3年ほど経って、この『 淡雪 』を手に入れたわけだ。
アルバムの紹介文に、3.11 云々とあるもんだから避けてしまったのかも知れない。


まず、飾らない言葉で憶いが綴られる『 欅(ケヤキ) ~光りの射す道で~ 』から始まる。

遊佐未森氏の、ある種の決意とも云える気持ちを表した歌に、思わず感動してしまう。
詞は語り調に進んでゆくのだけれど、そのあたたかい世界は広がりをみせ、次々と押し寄せる甘い旋律に涙が出そうにもなる。

彼女が自身のことをハッキリと歌った曲は、今までなかった気がする。こんなのを聴かされれば、心に響かないはずがない。もう1曲目で十分に満足。
ちょっとばかり悲しげでも、希望の光に満ちた音世界。その余韻は、『 Snow Rose 』、『 花と夢 』まで続く。

聴き進むと、少し雰囲気が変わって、ほのぼのした日常を切り取った、私小説的な夢想世界が展開してゆく。とぼけた味わいの愛らしい曲、疾走感溢れるポップな曲なんかもある。
幸福を感じる音楽。これがなかなか心地よい。


もうすっかり、『 桜、 君思う 』なんかは、ロマンチックな歌曲である。意識を超え広がる詞の世界と力強い旋律が織り成す、自然のやさしさに包まれた輪廻の歌は、悲しみを乗り越え美しく永遠に響く。

伸びやかな音楽が展開される、終曲『 風の自転車 』がこれまたいい。あたたかな陽射しの喜びを感じさせる歌声に、いつのまにか癒され涙していた。

” なぁんだ、もっとはやく買えばよかった。このアルバム、今までで一番好きかも " なんて思ったりもする。




ついでに、『Forest Notes-concert with tree-』(1990年)も購入。
再発DVD版 MHBL-107(2008年)

<内容>
森の中で開かれる遊佐未森&ソラミミ楽団の演奏会。
自然に抱かれ、神秘的な雰囲気漂う音楽が美しく響き渡る。
確かに聞こえるメロディーに誘われ、夢と現実が絡み合う不思議な世界に迷い込んでゆく。

それぞれのメンバーがなりきって演じている姿が、ほのぼのしていて癒される。楽器「ハルモニオデオン」も登場したりして、楽しく想像力豊かな映像作品。

衣装のイメージから幼稚に思えてしまうのなら、音楽劇みたいなものとして観ればいいかもしれない。いろんな見方ができるほどに完成度が高くて、すっかり魅了されてしまう。

2015年10月4日日曜日

遊佐未森『空耳の丘』

遊佐未森
MIMORI YUSA
空耳の丘
SORAMIMI ON THE HILL


作曲・外間隆史
編曲:外間隆史、遠山淳
01、空耳の丘

作詞・作曲:外間隆史
編曲:外間隆史・遠山淳
02、窓を開けた時

作詞・作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、遠山淳
03、風の吹く丘

作詞・作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、遠山淳
04、旅人

作詞:工藤順子
作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、遠山淳
05、星屑の停留所(プラッツ)

作詞・作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、遠山淳
06、川

作詞:工藤順子
作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、遠山淳
07、地図をください

作詞:工藤順子
作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、遠山淳
08、日曜日

作詞:工藤順子
作曲・成田忍
編曲:外間隆史、遠山淳
09、ひまわり[Napraforgo]

作詞・作曲:太田裕美
編曲:外間隆史、遠山淳
10、夢のひと

作詞:工藤順子
作曲・遊佐未森
編曲:外間隆史、遠山淳
11、Run in the Rain

作曲・外間隆史
編曲:外間隆史・遠山淳
12、空耳の丘(Reprise)



演奏
遊佐未森 (ヴォーカル、コーラス、キーボード、マリンバ、リコーダー)
遠山淳 (コンピュータ、シンセサイザー・プログラミング)
青山純 (ドラム、パーカッション)
渡辺等 (ベース、マンドリン)
成田忍 (ギター)
古賀森男 (ギター)
沖山優司 (ベース)
鶴来正基 (ピアノ)
外間隆史 (シンセサイザー)
鈴木厚志 (ピアノ)
清水一登 (クラリネット)
橋本仁 (ケーナ)
斎藤ネコ (ストリングス)


演奏時間
48:07


録音
STUDIO FARM、一口坂STUDIO
Mixed at Westside Studios (London)

プロデュース:福岡知彦、外間隆史


EPIC/SONY RECORDS  32・8H-5079  (廃盤)
1989年04月07日 (Originally released in 1988年10月21日)

おとぎばなしの世界を音楽で表したような、夢溢れる精緻な音物語。
デビュー・アルバム『 瞳水晶』(1988年4月1日)から約半年後に発売された、2枚目の作品。

倉庫の整理を始めてから、遥か昔に忘れ、まったく聴かなくなってしまったCDの山の中から、その時々の気分で選び、楽しんでいる。


久しぶりに聴いてみると、意外と元気な曲が多いなとか、スローな曲『 川 』や『 夢のひと 』なんかは歌曲みたいだなとか、あれこれと思い浮かぶ。

遊佐未森氏が作詞、作曲を手掛ける『 川 』の素朴な味わいは貴重。こんな曲はもう書けないだろう。無垢の歌 。ウィリアム・ プレイクの詩みたいに、小さな幸福感に包まれる。

『 空耳の丘 』と云うタイトルのもと、10の歌がそれぞれの世界として広がり展開してゆく。

 ” 君 "と ” 僕 ” を中心とした、特別な何かを探し求める旅の物語となっているけれど、やっぱり、どこか夢想的。日常と非日常が曖昧に入り混じっているし、” 君 "と云う存在自体、時には” 僕 ” が創り出した幻のように希薄になったりもする。遠い少年の日の憧憬。

無駄に洗練されてカッコつけたファンタジーではなくて、優しくほのぼのした叙情に満ちている。これが、なかなか心地いい。

外間隆史氏の童話が付された初期の3作品、『 空耳の丘 』(1988)、『 ハルモニオデオン 』(1989)、『 HOPE 』(1990)には、時が流れても色褪せない力がある。
これは、楽曲やボーイソプラノのような遊佐未森氏の歌声の魅力は当然としても、ちょっとばかり風変わりな音世界を緻密に表現する、バックミュージシャンの技量が、圧倒的に高いからだろう。
なかでも、ドラマーの青山純氏(1957 - 2013)の迷いのない演奏は素晴らしい。



ソラミミ3部作と云われる、『 空耳の丘 』、『 ハルモニオデオン 』、『 HOPE 』。




なんだか、とても気になって映像作品を購入。『 mimo-real songs( 2014年06月25日発売)』+『 ササノハ オトノハ~七夕夢一夜~(2007年11月07日発売)』。
幸せに満ちた音楽に心温まる。
ずいぶんと大人の雰囲気になっているけれど、変わらない歌の魅力。

小編成の演奏をバックに歌い、リラックスした親密な雰囲気で進んでゆく『 ササノハ オトノハ~七夕夢一夜~ 』もいいけれど、入念に準備され、豪華なメンバーによる冴えた演奏と、遊佐未森氏の真摯な歌唱が展開される『 mimo-real songs 』はさらにいい。



2015年9月27日日曜日

遊佐未森 『 Hope 』

遊佐未森
MIMORI YUSA
Hope


作詞:工藤順子
作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
01、Forest Notes

作詞:工藤順子
作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
02、雨あがりの観覧車

作詞:井上妙
作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、中原信雄
03、いつの日も

作詞:工藤順子
作曲:中原信雄
編曲:外間隆史、中原信雄
04、雪溶けの前に

作曲:外間隆史、中原信雄、遊佐未森
編曲:外間隆史、中原信雄
05、Holiday Of Planet Earth

作詞:井上妙
作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
06、夢をみた

作詞:工藤順子
作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、中原信雄
07、午前10時午後3時

作詞:遊佐未森
作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、中原信雄
08、君のてのひらから

作詞:工藤順子
作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
09、夏草の線路

作詞:外間隆史、Philip Judd
作曲:Philip Judd
編曲:Philip Judd、外間隆史、中原信雄
10、Echo Of Hope

作詞:工藤順子
作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
11、野の花



演奏
遊佐未森 (ヴォックス、バッキングヴォーカル)
青山純 (ドラムス、パーカッション)
鶴来正基 (キーボード、ピアノ、オルガン)
佐橋佳幸 (ギター)
外間隆史 (シンセサイザ、シンセパーカッション、ヴォイス)
中原信雄 (ベース、キーボード、フラットマンドリン)
松岡基樹 (ギター )
松岡裕雅 (オーボエ)
高桑英世 (フルート、ピッコロ)
古賀森男 (ギター)
矢口博康 (サックス)
土岐幸男 (コンピューター&シンセサイザプログラミング)
梅崎俊春 (コンピューター&シンセサイザプログラミング)

Noel Crombie (ドラムス)
ノエル・クロンビー
Nigel Griggs (ベース)
ナイジェル・グリッグス
Philip Judd (ギター、バッキングヴォーカル)
フィリップ・ジャッド
Eddie Rayner (キーボード、シンセパーカッション)
エディ・レイナー
Tim Finn (バッキングヴォーカル)
ティム・フィン
Michael den Elzen (ギター)


演奏時間
57:23


録音
CBS/SONY 信濃町STUDIO、STUDIO FARM、AOI STUDIO、STUDIO PENINSULA、一口坂STUDIO、
PLATIUM STUDIOS(Melbourne)、METROPOLIS STUDIOS(Melbourne)


プロデュース:外間隆史、福岡知彦



EPIC/SONY RECORDS   ESCB-1093 (廃盤)
1990年9月21日
『 空耳の丘 』(1988)から始まった、時を超え存在する懐かしく甘美な音世界。ソラミミ三部作の最終作。遊佐未森氏の通算4枚目の作品。


久しぶりに聴いてみると、妙に気恥ずかしい気分。
あまりにも純粋すぎる歌が、強烈な郷愁を呼び覚ます。でも、だんだんと慣れてきて、気楽に楽しめるようになってゆく。

それにしても、一曲目『 Forest Notes 』から、高揚を誘うリズムと甘いメロディーが曲に浮遊感を与えていて、気分がいい。

サウンドには、どこか耽美ロックやプログレっぽい雰囲気もあるから、力強さも感じられる。そのバランスはおかしな塩梅でも、けっして軟弱なアイドル歌謡みたいじゃあない。

この『 Hope 』と云う作品。遊佐未森氏が歌う世界は、のんびりしていて夢想的なんだけど、少し大人びてきている。幼く感じられる歌唱にも、どこか表現者としての自信が見え隠れする。より自然となった優しい歌声は、澄み渡り、その響きは甘く美しい。

みずみずしく表現された詞のなかの ” 僕 ” は、埋もれていた幼い記憶に、明日への光を見つけてゆく。

 ソラミミの三作のうち、『 ハルモニオデオン 』が好きだけど、独特の研ぎ澄まされた旋律が魅力的な『 Hope 』が最高傑作かも知れない。終曲『 野の花 』まで飽きさせず、世情なんか忘れて、すっかり作品の世界に引き込まれてしまう。











せっかくなので、DVDを購入。
『 Hope 』の世界を映像で表現した作品『 Picture HOPE-Holiday Of Planet Earth 』(1991年2月21日発売)。  DVD版 MHBL-108 (2008年10月22日再発売)。

< あらすじ >
〜 ハーブをうえて ハープをかなで ホープをかたり ホームにかえる
地球のどこかに住む少年の平穏な休日と、牧歌的幻想溢れる歌の世界とが、平行世界に存在するかのように描かれる、小さな幸せ物語。
無意識にふたつの世界は交錯し合い、夢はカタチを変え現実となり、少年の心は新たな希望に満ちてゆく。

内容は、遊佐未森氏が演じる少年の物語に『 夢を見た 』、『 君のてのひらから 』、『 野の花 』のミュージックビデオ、そして『 Hikari 』のダンスパフォーマンスを挿入したものなんだけれど、これが短編映画のようによくできている。

29分間のほのぼのとした幸福感がうれしい。

2015年9月19日土曜日

All About Eve『 Scarlet And Other Stories 』

All About Eve
オール・アバウト・イヴ
Scarlet And Other Stories
スカーレット・アンド・アザー・ストーリーズ



作詞・作曲:Tim Bricheno、Andy Cousin、
Mark Price、Julianne Regan
01、Road to Your Soul
  ロード・トゥ・ユア・ソウル

作詞・作曲:Tim Bricheno、Andy Cousin、
Julianne Regan
02、Dream Now
  ドリーム・ナウ

作詞・作曲:Tim Bricheno、Andy Cousin、
Mark Price、Julianne Regan
03、Gold and Silver
  ゴールド・アンド・シルヴァー

作詞・作曲:Tim Bricheno 、Andy Cousin 、
Julianne Regan
04、Scarlet
  スカーレット

作詞・作曲:Tim Bricheno、Andy Cousin、
Mark Price、Julianne Regan
05、December
  ディセンバー

作詞・作曲:Tim Bricheno 、Andy Cousin、
Julianne Regan
06、Blind Lemon Sam
  ブラインド・レモン・サム

作詞・作曲:Tim Bricheno、Andy Cousin、
Mark Price、Julianne Regan
07、More Than the Blues
  モア・ザン・ザ・ブルース

作詞・作曲:Tim Bricheno、Andy Cousin、
Mark Price、Julianne Regan
08、Tuesday's Child
  チューズデイズ・チャイルド

作詞・作曲:Tim Bricheno 、Andy Cousin、
Julianne Regan
09、Pieces of Our Heart
  ピース・オブ・アワー・ハート

作詞・作曲:Tim Bricheno、Andy Cousin、
Mark Price、Julianne Regan
10、Hard Spaniard
  ハード・スパニアード

作詞・作曲:Tim Bricheno、Andy Cousin、
Mark Price、Julianne Regan
11、The Empty Dancehall
 エンプティ・ダンスホール

作詞・作曲:Tim Bricheno、Andy Cousin、
Mark Price、Julianne Regan
12、Only One Reason
  オンリー・ワン・リーズン

作詞・作曲:Tim Bricheno 、Andy Cousin 、
Julianne Regan
13、The Pearl Fisherman
  パール・フィッシャーメン




演奏
Julianne Regan(ヴォーカル、キーボード)
ジュリアン・リーガン
Tim Bricheno (エレクトリック&アコースティックギター、キーボード、バンジョー)
ティム・ブリチェノ
Andy Cousin(ベース)
アンディ・カズン
Mark Price(ドラム、パーカッション)
マーク・ピース


Paul Samwell-Smith(キーボード、バッキング・ヴォーカル)
ポール・サミュエル=スミス
Ric Sanders (ZETA エレキバイオリン)
リック・サンダース
Caroline Lavelle(チェロ)
キャロライン・ラヴェル



演奏時間
51:33


録音
チッピング・ノートン・レコーディング・スタジオ(イングランド)



Mercury   838 965-2 (廃盤)
1989年10月16日
英国独特の甘美な憂鬱。ときには寓話であるかのように牧歌的情景が綴られる、情感に満ちた耽美な音物語。
ヤードバーズのポール・サミュエル=スミスがプロデュースした、オール・アバウト・イヴの2ndアルバム。


聴き始めてみると、影のある甘い旋律に満たされる。この感傷的な雰囲気がなかなか心地よい。ヴォーカルである、ジュリアン・リーガンの憂いを秘めた歌声の響きも魅力的。

切ないメロディーが印象に残る叙情ロックなんだけれど、妙に芝居がかっていて、夢とほろ苦い現実を暗示する、大人の寓話とも思える幻想世界が展開してゆく。ある曲の詞は、ロバート・バーンズのように土着的な苦悩なんかを感じさせたりして面白い。

なんだか悲しく切ない雰囲気の音楽とも云えるけれど、心惹かれるものがある。スコットランド民謡やジョン・ダウランドの曲もそうなんだけれど、寂しげな曲ほど甘く美しかったりするのかもしれない。

サウンドに目新しさはない。でも、独特な言葉で綴られた情景の耽美な響きに、いつのまにか魅了されてしまう。