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2016年1月24日日曜日

SATSUKI SHIBANO『 Songe creux - Erik Satie piano collection 』

SATSUKI SHIBANO
柴野さつき
"Songe creux - Erik Satie piano collection"
「うつろな空想」~エリック・サティ・ピアノ・コレクション



Éric Alfred Leslie Satie(1866–1925)
エリック・アルフレッド・レスリ・サティ


01、1ère Gnossienne
   グノシエンヌ第1番

02、Rêverie du pauvre
    貧しき者の夢

03、Quadrille (Le piège de Méduse)
  カドリール舞曲(メデューサの罠)

04、Désespoir agréable
   快い絶望

05、2ème Gnossienne
   グノシエンヌ第2番

06、Avant-dernières pensées
   最後から2番目の思想
   ーIdylle
    牧歌           
        ーAubade
    朝の歌
    ーMéditation
    瞑想
   
07、3ème Gnossienne
   グノシエンヌ第3番

08、Prélude du 1er Acte =La Vocation (Trois préludes du Fils des étoiles)
   第1幕への前奏曲=使命(星たちの息子への3つの前奏曲)

09、1ère Gymnopedie
   ジムノペディ第1番

10、Son binocle (Les Trois Valses Distinguées du Précieux Dégoûté)
   彼の鼻眼鏡(嫌らしい気取り屋の3つの高雅なワルツ)

11、4ème Gnossienne
  グノシエンヌ第4番

12、Songe Creux
   うつろな空想

13、Facheux Exemple
   困った前例

14、Caresse
   愛撫

15、d'Edriophthalma (Embryons desséchés)
   甲殻類の胎児(ひからびた胎児)

16、Seul à la maison (Véritables préludes flasques (pour un chien))
   家でひとり(<犬のための>ぶよぶよした本当の前奏曲) 

17、5ème Gnossiene
   グノシエンヌ第5番

18、4ème Nocturne
   ノクターン第4番

19、Exercices
   練習

20、6ème Gnossienne
   グノシエンヌ第6番




演奏
柴野さつき (フランス製プレイエル・ピアノ< 1870年製、シリアルナンバー:51476 >)



Produced by Yoshio Ojima
Co-produced by Satsuki Shibano



演奏時間
56:00



録音
"Oizumi-cho Bunka-Mura" Hall (Gunma,Japan)
大泉町文化むらホール(群馬、日本)
1994年03月



This album is dedicated to Jean-Joël Barbier
このアルバムを ジャン=ジョエル・バルビエ氏(1920 - 1994)に捧ぐ



MEDIA RINGS   MGCC-1009
1995年02月25日
覆い尽くす、透明な感情。ただ、そこにある、たしかな夢の響き。
サティ演奏と研究の第一人者、故ジャン=ジョエル・バルビエ氏に師事した、仙台出身のピアニスト、柴野さつき氏によるエリック・サティ作品集。


型にはまった、癒しの音楽なんて、もうウンザリ。

好きになるのは一瞬。出会いはYouTube。
偶然目にした、ありふれた小規模な演奏会の模様。展開してゆく、サティの透明な世界。この美しく浮き上がる、内なる響きに惹かれるのは、もはや運命。

柴野さつき氏の演奏するサティは、ちっぽけな感情なんて無縁。哀しみや歓びなんてものは、はなから、存在しないみたい。夢の中の輝きだけが残る。

押し付けがましい超絶技巧や感情も、心の音楽の前では、すべて無意味。漂うサティの遊び心。その夢想的な美意識に、新たな発見があるのかもしれない。

ピアニスト、柴野さつき氏という存在と音に宿る生命。
安っぽい癒しの音楽に仕立てられたりする、エリック・サティの作品。そんなものとは、まったく違ったものであることは確か。

プレイエル・ピアノで奏でる魔法の音楽。そこにある、揺れ動き、空気のように漂う、柔らかな甘さは貴重。


2016年1月1日金曜日

Nuria Rial 『J.S.Bach: Arias』

Nuria Rial 
ヌリア・リアル
J.S.Bach: Arias
バッハ・アリア集
Chronik Der Anna Magdalena Bach
アンナ・マグダレーナ・バッハの年代記



Johann Sebastian Bach (1685-1750)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ


Was mir behagt  BWV 208
『狩りのカンタータ』
01、Schafe können sicher weiden(Arie)
   羊は安からに草を食み

Johann Philipp Krieger(1649 - 1725)((原曲))
 ヨハン・フィリップ・クリーガー
Die ausgesöhnte Eifersucht oder Cephalus und Procris:
 『 ケパロスとプロクリス』
02、Einsamkeit, du Qual des Hertzen(Arie)
      孤独

Durchlaucht'ster Leopold  BWV 173a
『いとも尊きレーオポルト閣下よ』
  アンハルト=ケーテン候レオポルト王子の誕生日祝賀の為の音楽
03、Güldner Sonnen frohe Stunden(Arie)
  黄金の太陽に照らされる幸せな時
                     
Jauchzet Gott in allen Landen  BWV 51
 カンタータ『もろびとよ歓呼して神を迎えよ』
04、Jauchzet Gott in allen Landen(Arie)
   もろびとよ歓呼して神を迎えよ

Violin Concerto in G Minor  BWV 1056
『ヴァイオリン協奏曲ト短調』
05、I. Ohne Satzbezeichnung  
06、II. Largo  
07、III. Presto  

Klagt, Kinder, klagt es aller Welt :Köthener Trauermusik  BWV 244a
 子らよ嘆け  :『葬送音楽』
 アンハルト=ケーテン候レオポルト王子の為の追悼音楽  
08、XI. Jedoch der schwache Mensch(Rezitativ)
09、XII. Mit Freuden sei die Welt verlassen(Arie)
10、XXI. Und du betrübtes Fürstenhaus(Rezitativ)
11、XXII. Hemme dein gequältes Kränken(Arie)

Concerto in C minor, for violin and oboe BWV 1060
『ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ハ短調』
12、I. Allegro  
13、II. Adagio  
14、III. Allegro  

Die Freude reget sich, BWV 36b  
 カンタータ『喜びがわき起こり』
 ライプツィヒ大学学長就任祝賀、誕生日祝賀の為の音楽
15、Mit zarten und vergnügten Trieben(Arie)

Ich habe genug BWV 82
 カンタータ『我は満ちたれり』
16、Ich habe genug... Schlummert ein, ihr matten Augen(Rezitativ & Arie)
   われは満ちたれり、いざ眠れ、疲れし眼よ

Gottfried Heinrich Stolzel(1690-1749)((原曲))
 ゴットフリート・ハインリヒ・シュテルツェル
17、Bist du bei mir BWV 508(Arie)
   御身が共にいるならば  

Lass Fürstin, lass noch ein Strahl  BWV 198
 カンタータ『候妃よ、さらに一条の光を』
 ザクセン選帝侯妃クリスティアーネ・エーバーハルディーネの為の哀悼頌歌
18、Verstummt, ihr holden Saiten(Arie)
    鳴るを止めよ、汝らやさしき琴糸よ




演奏
Nuria Rial(ソプラノ)
ヌリア・リアル
Julia Schröder(ヴァイオリン、指揮)
ユリア・シュレーダー
Benoît Laurent(オーボエ)
ブノワ・ローラン

Kammerorchester Basel
バーゼル室内管弦楽団


演奏時間
01:18:10


録音
スイス、ミュールハイム
2013年4月



DHM Deutsche Harmonia Mundi   88765482752
2013年12月17日

音楽で巡る、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの妻アンナ・マグダレーナ・バッハの年代記。
自由な作曲活動が許された、ケーテン時代に生まれた世俗音楽集。


ここに収録されたアリアの多くは、他の曲を転用して詞を変えたもの。だからといって、つまらない訳じゃあない。かえって、世俗的な詞を与えられたおかげで、厳かな雰囲気が薄まって、旋律の美しさが際立っているのかもしれない。その響きは、あたたかな一条の光が射し込み、どこか安らぎに満ちている。

音楽を豊かにする、スペイン・カタルーニャ出身のソプラノ歌手、ヌリア・リアル 氏の歌唱が素晴らしい。魂が込められた澄んだ歌声が、心に響いてくる。この甘い響きの優しさを、生涯忘れることはないだろう。

お気に入りは、バッハが妻アンナ・マグダレーナに贈ったとされる音楽帳に含まれる、「 Ich habe genug BWV 82~われは満ちたれり、いざ眠れ、疲れし眼よ 」、「 Bist du bei mir BWV 508~御身が共にいるならば 」。とりわけロマンチックで美しい。妻への愛する気持ちを込めたのかもしれない。

何と云っても一番は、舞い上がる旋律に、ただ身をまかせること。ふと気付けば、もうすっかり、俗世間の煩わしさから解放されている。




2015年12月13日日曜日

Sabine Devieilhe『Mozart: The Weber Sisters』

Sabine Devieilhe 
サビーヌ・ドゥヴィエル
Mozart: The Weber Sisters
モーツァルト・アリア集~ウェーバー三姉妹



Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト


I  Prologue : La confidence naïve,  ou  l'attente
  プロローグ:純情なる打明け話、または期待

Les petits riens, K. 299b
「レ・プティ・リアン」
01、Overture
    序曲
02、Ah, vous dirais-je maman, K. 265
     ああ、お母さん聞いて
03、Dans un bois solitaire, K. 308
    人里離れた森の中で
Pantomime Pantalon and Columbine, K. 446
パントマイム劇「パンタロンとコロンビーネ」
04、Adagio
   アダージョ


 II  Aloysa,  mia carissima amica
 アロイジア 我が親愛なる友

05、Alcandro, lo confesso... Non so d'onde viene, K. 294
 アルカンドロよ、私は告白しよう、どこより訪れるのか私は分からぬ
06、Vorrei spiegarvi, oh Dio, K. 418
   ああ、できるならあなた様にお教えしたいものです
07、Popoli di Tessaglia... Io non chiedo, eterni dei, K. 316
   テッサリアの民よ!私は求めはいたしません、不滅の神々よ
08、Nehmt meinen Dank, K. 383
   わが感謝をうけたまえ、やさしき保護者よ


III  Josepha,  ou l’entrée dans la Lumière
 ヨゼーファ、または光の中に入って

09、Adagio  K. 410, en fa majeur
  2つのバセット・ホルンとファゴットのためのアダージョ ヘ長調
10、Schon lacht der holde Frühling, K. 580
   すでにやさしき春はほほえみ
Die Zauberflöte, K. 620
  歌劇「魔笛」
11、Der Hölle Rache (Königin der Nacht)
  復讐の炎は地獄のように我が心に燃え <夜の女王のアリア>
Thamos, König in Aegypten, K. 345
 英雄劇「エジプトの王ターモス」
12、n° 5  Allegro vivace assai
 第5番 間奏曲 アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ


 IV  Per mia cara Constanze
 私の愛しいコンスタンツェのために

Die Zauberflöte, K. 620
  歌劇「魔笛」
13、March of the Priests
    神官の行進
14、Solfeggio, K. 393 n° 2 en fa Majeur
   ソルフェッジョ K.393 No.2 ヘ長調
Mass in C minor, K. 427
  ミサ曲 ハ短調
15、Et incarnatus est
   肉体をとりたまいし者




演奏
Sabine Devieilhe (ソプラノ)
サビーヌ・ドゥヴィエル
Arnaud De Pasquale (フォルテピアノ、オルガン)
アルノー・ディ・パスカル
Raphaël Pichon (指揮)
ラファエル・ピション
Pygmalion Baroque Ensemble (古楽器オーケストラ)
アンサンブル・ピグマリオン


演奏時間
01:12:16


録音
パリ、ノートルダム・デュ・リバン教会
2015年1月


Erato  2564601625
2015年11月06日

モーツァルトの複雑に絡み合う愛の関係と、その音楽に影響を与えるフリーメイソンの存在。謎を紐解くかのように構成された、ウェーバー三姉妹のための歌曲集。


新譜が出ると気になって買ってしまう、モーツァルトの歌曲集。
はじめて、『 Rita Streich singt Opern-Arien 』に収録された「夜の女王のアリア」を聴いたときの衝撃が忘れられなくて、買い続けている。演奏が巧いなとか、歌声が美しいなとか思うのだけど、いつもどこか満たされない。でも、そろそろ、良い頃かもしれない。

フランスのソプラノ歌手、サビーヌ・ドゥヴィエル 氏の甘美な歌声は、新世代の幕開けを宣言するかのように、高らかに響き渡る。

リタ・ シュトライヒ 氏の歌唱とは違うけれど、心に迫る美しさがある。その、魔力とも云える音楽の精神性は、もはや、比べるものなど存在しない。内面から溢れ出す巧みな表現は、まやかしではなく、人間の魂を感じさせてゆく。

魅力をうまく引き出しているのが、アンサンブル・ピグマリオンを率いる、フランスの若手指揮者、ラファエル・ピション 氏。
モーツァルトの旋律の美しさや情感の躍動。長い眠りから覚め、本来の輝きを取り戻したかのような、新鮮な音楽を届けてくれる。

モーツァルトとウェーバー三姉妹の物語。映画なんかもあった気がするけれど、実際はどうだったのか ? この歌曲集は、そんな興味を抱かせる。そして、フリーメイソンとの関係にも。すべて謎。

隠された謎。突如聞こえてくる " Leck mich im Arsch 〜 " 。こちらは、なぜかうれしいけれど。

Raphaël Pichon & Sabine Devieilhe

Pygmalion Baroque Ensemble




2015年12月9日水曜日

Meredith Hall『My Love is Like a Red, Red Rose』

Meredith Hall / La Nef
メレディス・ホール/ラ・ヌフ
My Love is Like a Red, Red Rose
恋人は赤いバラのよう
〜ロバート・バーンズの詩によるシャンソン集




01、Craigieburn Wood
 クレイギーバーンの木

02、Charlie, he's my darling
  私の最愛のチャーリー
  
03、Comin Thro' the Rye (Air : Miller's Wedding)
    ライ麦畑で出逢ったら

作曲:John Playford(1623-1686)
04、Grimstock/ The Old Mole/ Cuckolds All a Row  (from  Dancing Master, 1651)

05、When O'er the Hill the E'ening Star (Air : The Lea-Rig/ My Ain Kind Dearie, O)

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
06、Hugh O'Donnell
  ヒュー・オドネル

07、Simmer's a Pleasant Time (Air : Ay Waukin' O)

08、What Can a Young Lassie (Air : What Shall I Do with an Auld Man)

09、My Tocher's the Jewel (Air : The Mucking of Geordie's Byre)

10、She's Fair and Fause (Air : The Lads of Leith)

11、Gloomy Night Is Gath'ring Fast (Air : Roslin Castle)
   
作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
12、Carolan's Dream
      カロランの夢

13、My Love Is Like a Red, Red Rose (Air : Low Down in the Broom)
    恋人は赤いバラのよう

14、Last May, A Braw Wooer (Air : The Lothian Lassie)

Traditional / Welsh Traditional
15、Welsh Dance "pwt-Ar-Y-Bys"

16、My Love Was Born in Aberdeen (Air : The White Cockade)

17、O Let Me In This Ae Night (Air : Will You Lend Me Your Loom, Lass)

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
18、Lament for Owen Roe O'Neill
   オウェン・ロー・オニールへの悲歌

19、John Anderson, My Jo
   ジョン・アンダーソン、我がジョー

20、Ye Banks and Braes(Air :  Caledonian Hunt's Delight)
   美しいドゥーン川の岸辺

21、Now Nature hangs her mantle green (Air : Mary Queen of Scots, Lament)
  
作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
22、Sheebeg and Sheemore (Sí Beag is Sí Mór)
      シーベグとシーモア

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
23、Bumper Squire Jones
  バンパー・スクワイア・ジョーンズ

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
24、Carolan's Favorite Jig
  カロランのお気に入りのジグ

25、Should auld acquaintance be forgot (Air : Auld Lang Syne)
             古き友は忘れられて







演奏
Meredith Hall(ソプラノ)
メレディス・ホール

La Nef(古楽アンサンブル)
ラ・ヌフ
Sylvain Bergeron (バロックギター、テオルボ、指揮)
Claire Gignac (リコーダー)
Elise Guay (リコーダー、バグパイプ)
Betsy MacMillan (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
Robin Grenon (ケルティック・ハープ)
Patrick Graham (パーカッション)




演奏時間
01:11:18




ATMA Classique  ACD22336
2004 年08月12日

歌に込められた郷愁に満ちた人々の想い。スコットランドの詩人ロバート・バーンズの詩による歌曲集。
日本で唱歌として親しまれる、大和田 建樹 氏(1857-1910)が日本語の詞を付けた「 故郷の空 」の原曲「 Comin' Thro' the Rye 」、稲垣千頴 氏(1845 - 1913) 作詞の「 蛍の光 」の原曲「 Auld Lang Syne 」収録。



スコットランドの伝承歌に手を加え、蘇らせた詩人ロバート・バーンズ(1759-1796)。370ほどあると云われる中から、15のバーンズの歌が選ばれている。
おもに、いろいろな愛の歌が展開されてゆく。幸せであったり、悲しみであったり、簡単であったり、複雑であったり、男であったり、女であったり。
2つの政治的な内容の歌「Charlie, he's my darling」、「Now Nature hangs her mantle green」が含まれるのも興味深い。


知らないはずの異国のメロディが、なぜか心地いい。郷愁に満ちた響き。

美しい音楽に、ただ身をまかせれば、それでいいと思う。
たくさん出てくるスコットランド方言。言葉がわからなくても気にする必要はない。幼い頃に教わり歌った、日本語の童謡や唱歌でも、わからない ” 古い言葉 " が使われているんだから、同じじゃあないかと、勝手に納得したりする。音楽は言葉を超えることだってある。

好みの問題だけど、ロバート・バーンズ の歌曲集の中で、このCDが一番お気に入り。
ケルティック・ハープの優しい音色に誘われ、とてもリラックスした雰囲気で進んでゆく。歌の合間に収録される、Welsh Dance「 pwt-Ar-Y-Bys 」や ターロック・オキャロラン (1670-1738) 作曲の「 Hugh O'Donnell 」、「 Carolan's Favorite Jig 」なんかの演奏が、これまた楽しい。

カナダ出身のソプラノ歌手、メレディス・ホール氏と古楽アンサンブル、ラ・ヌフによって紡がれる澄みきった音楽は、忘れがたい心の安らぎを与えてくれる。

Meredith Hall

La Nef

2015年12月5日土曜日

ALEXANDER GRYCHTOLIK『 J.S.Bach: Köthener Trauermusik BWV 244a 』

ALEXANDER GRYCHTOLIK
アレクサンダー・グリヒトリーク
J.S.Bach: Köthener Trauermusik  BWV 244a
バッハ:レオポルト侯のための葬送音楽



Johann Sebastian Bach (1685-1750)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
台本:Christian Friedrich Henrici < Picander > (1700 – 1764)
クリスティアン・フリードリヒ・ヘンリーツィ <ピカンダー>
Köthener Trauermusik  BWV 244a
『 レオポルト侯のための葬送音楽 』
(アレクサンダー・グリヒトリークによる復元版)


Erste Abteilung・Part One
01、Chorus:  Klagt, Kinder, klagt es aller Welt
02、Recitativo:  Oh Land! Bestürztes Land
03、Aria:  Weh und Ach
04、Recitativo:  Wie wenn der Blitze Grausamkeit
05、Aria:  Zage nur, du treues Land
06、Recitativo:  Ah ja! Wenn Tränen oder Blut
07、Chorus:  Komm wieder, teurer Fürsten-Geist

Zweite Abteilung・Part Two
08、Chorus:  Wir haben einen Gott, der da hilft
09、Recitativo:  Betrübter Anblick voll Erschrecken
10、Aria:  Erhalte mich
11、Recitativo:  Jedoch der schwache Mensch erzittert nur
12、Aria:  Mit Freuden sei die Welt verlassen
13、Recitativo:  Wohl also dir
14、Repetatur dictum (Wiederholung Chorus Nr.8/repeat of no.8)

Dritte Abteilung・Part Three
15、Chorus: Aria:  Laß, Leopold, dich nicht begraben
16、Aria:  Wie könnt es möglich sein
17、Aria:  Wird auch gleich nach tausend Zähren
18、Recitativo:  Und, Herr, das ist die Spezerei
19、Aria:  Geh, Leopold, zu deiner Ruhe

Vierte Abteilung・Part Four
20、Aria:  Bleibet nur in eurer Ruh
21、Recitativo:  Und du, betrübtes Fürstenhaus
22、Aria:  Hemme dein gequältes Kränken
23、Recitativo:  Nun scheiden wir
24、Chorus:  Die Augen sehn nach deiner Leiche




演奏
Gudrun Sidonie Otto(ソプラノ)
グズルン・シドニー・オットー
David Erler(アルト)
ダーフィト・エーラー
Hans Jorg Mammel(テノール)
ハンス・イェルク・マンメル
Daniel Ochoa(バス)
ダニエル・オチョア

Deutsche Hofmusik Chor
ドイツ・ホーフムジーク合唱団
Deutsche Hofmusik(ピリオド楽器オーケストラ)
ドイツ・ホーフムジーク

Alexander Grychtolik(チェンバロ、オルガン、指揮)
アレクサンダー・グリヒトリーク


演奏時間
01:13:28


録音
ケーテン、聖ヤコプ教会
2014年9月


DHM Deutsche Harmonia Mundi 88875164222
2015年12月04日

独自のアプローチを加えたバッハのカンタータ復元、演奏で知られる、ドイツのチェンバロ奏者、音楽学者のアレクサンダー・グリヒトリーク氏による、『 Köthener Trauermusik  BWV 244a 〜レオポルト侯のための葬送音楽 』の復元版。


こういったCD、一曲目がイマイチだと聴く気が起こらないけれど、これはいい。
もう一気に、合唱「Klagt, Kinder, klagt es aller Welt 〜嘆け、子らよ、全世界に向って嘆け」から、心震わせる音楽に引き込まれる。
” Klagt, Kinder, klagt es aller Welt "と歌われるたびに、鳥肌が立つような感動を覚える。言葉では表しにくいけれど、なにか不思議な力の宿る、素晴らしい音楽が展開されてゆく。

バッハが慕い、最大の理解者であった、領主アンハルト=ケーテン侯レオポルトに捧げた葬送音楽。楽譜が消失しているこの作品。『 Matthäus-Passion BWV244 〜マタイ受難曲 』から転用した音楽で復元されたと云うことだ。

大雑把に云うと、”国民の哀悼”、”魂の救い”、”輝かしき功績”、”永遠の休息と別れ” みたいな流れで進んでゆく。
葬送音楽だから悲しい音楽だとは思うけれど、光に満ちた心地よい安らぎが溢れ、その透明な響きは甘く美しい。曲が同じ、マタイ受難曲とは違って神聖な感じはないけれど、それがかえっていい。

もしかすると、アレクサンダー・グリヒトリーク氏が率いる、優しくて、心地よさを感じる、みずみずしい演奏は、このCDの一番の 魅力かもしれない。


Leopold von Anhalt-Köthen (1694-1728)


Gudrun Sidonie Otto

David Erler

Hans Jorg Mammel

Daniel Ochoa

Alexander Grychtolik


2015年11月22日日曜日

Stefan Temmingh, Dorothee Mields『Birds』

Stefan Temmingh, Dorothee Mields
シュテファン・テミング、ドロテー・ミールズ
Birds
~バロック時代の鳥の標題音楽


Jean-Philippe Rameau (1683-1764)
ジャン=フィリップ・ラモー
Nouvelles Suites De Pieces De Clavecin
新クラヴサン組曲集第2番
01、V. La Poule
    雌鶏

George Frideric Handel (1685-1759)
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
Rinaldo, Hwv 7
歌劇『リナルド』
02、Augelletti Che Cantate (Adagio)
    さえずる小鳥達よ

作者不詳
03、This Merry Peasant Spring

Pietro Torri (CA. 1650-1737)
ピエトロ・トッリ
Ismene
歌劇『イスメーネ』
04、Son Rosignolo
  息子ナイチンゲールよ

Giuseppe Fedeli (CA. 1680-1733)
ジュセッペ・フェデリ
The Temple Of Love: Warbling The Birds Enjoying
  愛の寺院~楽しむ鳥のさえずり
05、Largo -Adagio -Largo -Allegro -
     Vivace -Adagio -Allegro -Slow

Thomas Augustine Arne (1710 – 1778)
トマス・オーガスティン・アーン
As You Like It
喜劇『お気に召すまま』
06、The Cuckoo (When daisies pied)
    カッコウ (まだらのヒナギクが)

Alessandro Poglietti (Early17th-1683)
アレッサンドロ・ポリエッティ
Rossignolo
イル・ロシニョーロ
07、Imitatione Del Medesimo Uccello
   夜鳴きうぐいす~鳥の模倣

Antonio Vivaldi (1678-1741)
アントニオ・ヴィヴァルディ
Flute Concerto In D Major, Op. 10 No. 3,"Il Gardellino"  Rv 428
フルート協奏曲 ニ長調 Op.10 - 『ごしきひわ』
08、I. Allegro
09、II. Cantabile
10、III. Allegro
   
作者不詳
Melismata
メリスマータ
11、The Three Ravens
    3羽のカラス

Michel Pignolet de Monteclair (1667-1737)
ミシェル・ピニョレ・ド・モンテクレール
Concerts Pour La Flute Traversiere Avec La Basse Chiffree: Les Tourterelles
   フリュート・トラヴェルシエールと通奏低音のためのコンセール
12、Tendrement

Reinhard Keiser (1674-1739)
ラインハルト・カイザー
Ulysses
ユリシーズ
13、Du Angenehme Nachtigall
    快いナイチンゲール

Francois Couperin (1668-1733)
フランソワ・クープラン
 Pieces De Clavecin II
クラヴサン曲集第2巻
14、Le Gazoüillement
     さえずり

MR.Quignard  (18th Century)
キニャール
Printemps
  春
15、tendrement
   恋するうぐいす

Louis-Claude Daquin (1694-1772)
ルイ=クロード・ダカン
Premier livre de pieces de clavecin, Suite No. 1
クラヴサン曲集 第1巻
16、Le Coucou  -rondeau
    かっこう

George Frideric Handel (1685-1759)
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
L’Allegro, Il Penseroso Ed Il Moderato, Hwv 55
オラトリオ『快活の人、沈思の人、温和の人』
Sweet Bird
甘き鳥
17、andante
    
John Bartlett (16th & 17th Century)
ジョン・バートレット
A Book Of Ayres (1606)
Sweet Birdes Deprive Us Never
優しい鳥達よ、奪わないで欲しい
18、PartI
19、PartII
20、PartIII



演奏
Stefan Temmingh (リコーダー)
シュテファン・テミング
Dorothee Mields (ソプラノ)
ドロテー・ミールズ


The Gentleman's Band(古楽合奏団)
ザ・ジェントルマンズ・バンド

Saskia Fikentscher(リコーダー)
サスキア・フィケンチャー
Wiebke Weidanz(ハープシコード、リコーダー)
ヴィプケ・ヴァイダンツ
Elisabeth Seitz(プサルタリー)
エリーザベト・ザイツ
Johanna Seitz(ハープ)
ヨハンナ・ザイツ
Axel Wolf (リュート、テオルボ)
アクセル・ヴォルフ
Domen Marincič (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ドーメン・マリンチッチ


La Folia Baroque Orchestra(古楽合奏団)
ラ・フォリア・バロックオーケストラ


演奏時間
72:30


録音
Himmelfahrtskirche, Munchen-Sendling, Germany
昇天教会 、ミュンヘン=ゼンドリング (ドイツ)
2015年2月24 -27日


DHM Deutsche Harmonia Mundi   88875141202
2015年11月13日

バロック時代の鳥の標題音楽集。
世界的に注目されるリコーダー奏者シュテファン・テミング氏と、ソプラノ歌手ドロテー・ミールズ氏の共演。


鳥の声を音楽で表現した作品を集めたもの。ナイチンゲールとかカッコウの鳴き声なんかをモチーフにして、美しい愛や春の訪れと裏切りなんかを象徴してゆく。
リコーダーを中心とした楽器や歌声で模倣された、甘美な響きが心地いい。

 ” これは違うな、すごいな  " と感じたのは、シュテファン・テミング氏の演奏するリコーダーの踊る音色。聴いていると本当に楽しくなってくる。もちろん、技術の優劣のことだけじゃあない。聴き手を高揚させる気持ちのこもった演奏ということ。ツマラナイから ” 先送りして次の曲へ " なんてことは、けっしてない。

ドロテー・ミールズ氏の歌唱がこれまたいい。その歌声は透き通るように美しいし、時には、茶目っ気たっぷりに歌う。絶妙なリコーダーとのかけ合いなんかも素晴らしい。

特に、楽しげな言葉遊びで皮肉を隠した、トマス・オーガスティン・アーン作「 The Cuckoo ( When daisies pied )〜カッコウ(まだらのヒナギクが)」なんかがそうだけど、堅苦しいクラシック音楽じゃあなくて、創造力に富んだ、きれいで愉快な曲たちを収めた音楽集なのが気に入った。聴いていると、思わず、心がほのぼのとしてくる。


2015年11月1日日曜日

L'Arpeggiata『Cavalli : L’amore innamorato』

L'Arpeggiata, Christina Pluhar
プルハール&ラルぺッジャータ
Cavalli : L’amore innamorato 
カヴァッリ歌劇『恋に恋して』





Francesco Cavalli (1602-1676)
フランチェスコ・カヴァッリ
L'Amore Innamorato , 1642
歌劇『恋に恋して』(プルハールによる再構築版)



from ‘L’Ormindo’ ,  初演 Teatro San Cassiano 1644 
歌劇『オルミンド』から
01、L'Armonia (Prologo)

extract of ‘Il Giasone’ ,  初演 Teatro San Cassiano, 1649
歌劇『ジャゾーネ』の再編曲
02、Sinfonia

from ‘La Calisto’ ,  初演 Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
03、Act 1: " Piante ombrose "

from ‘La Calisto’ ,  初演 Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
04、Act 3: " Restino imbalsamate "

from ‘La Rosinda’ , 初演  Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『ロジンダ』から
05、Act 3: " Vieni, vieni in questo seno "

from ‘La Calisto’ , 初演  Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
06、Act 1: " Verginella io morir vo '"

from ‘La Calisto’ , 初演  Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
07、Act 1: " Ninfa bella "

from ‘La Calisto’ ,  初演 Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
08、Act 1: "Non è maggior piacere"

from ‘L’Artemisia’ ,  初演 Teatro San Giovanni e San Paolo, 1657
歌劇『アルテミジア』から
09、Act 3: " Dammi morte "

extract of ‘L’Eliogabalo’,  作曲 1667
歌劇『エリオガバロ』の再編曲
10、Sinfonia

from ‘L’Artemisia’ ,  初演 Teatro San Giovanni e San Paolo, 1657
歌劇『アルテミジア』から
11、Act 2: " Affliggetemi, guai dolent i"

from ‘L’Ormindo’ ,  初演 Teatro San Cassiano 1644 
歌劇『オルミンド』から
12、Act 2: "Che città"

Giovanni Girolamo Kapsberger (1580-1651)
ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー
Libro Quarto d'Intavolatura di Chitarrone, 刊行 Roma 1640
キタローネのためのタブラチュア曲集 第4巻 より
13、Toccata prima

from ‘La Didone’,  初演 Teatro San Cassiano, 1641
歌劇『ディドーネ』から
14、Act 1: " Alle ruine del mio regno "

from ‘La Didone’, 初演 Teatro San Cassiano, 1641
歌劇『ディドーネ』から
15、Act 1: "L'alma fiacca svanì"

Andrea Falconieri (1585 -1656)
アンドレア・ファルコニエーリ
Il primo libro di canzone, sinfonie, fantasie, capricci, brandi, correnti, gagliarde, alemane, volte: ,刊行 Napoli 1650
カンツォーナ、シンフォニア、ファンタジア、カプリッチョ、ブランド、コレント、ガリアルド、アルメイン、ヴォルテ集 第1巻 より
16、sinfonie: " La suave melodia "








演奏
Hana Blažíková(ソプラノ)
ハナ・ブラシコヴァ
Nuria Rial(ソプラノ)
ヌリア・リアル

L'Arpeggiata (古楽合奏団)
ラルぺッジャータ
Christina Pluhar ( テオルボ, バロックハープ)
Doron David Sherwin (コルネット)
Veronika Skuplik(バロックバイオリン)
Judith Steenbrink(バロックバイオリン)
Eero Palviainen (アーキリュート, バロックギター)
Marcello Vitale(バロックギター)
Sarah Ridy (バロックハープ)
Margit Übellacker (プサルタリー)
Elisabeth Seitz (プサルタリー)
Lixsania Fernandes (ヴィオラ ダ ガンバ)
Rodney Prada (ヴィオラ ダ ガンバ)
Paulina van Laarhoven (リローネ)
Josetxu Obregon (バロックチェロ)
Rüdiger Kurz (ヴィオローネ)
Boris Schmidt (ダブルベース)
Haru Kitamika (ハープシコード, オルガン)
Francesco Turrisi (ハープシコード, オルガン)
David Mayoral (パーカッション)

Christina Pluhar (指揮)
クリスティーナ・プルハール



演奏時間
01:06:45

録音
Institut Culturel Roumain, Salle Byzantine (パリ)
2015年1月



WARNER ERATO  2564616643  (DVD付き限定デラックス・エディション)
2015年10月23日

17世紀のヴェネチアにおいて、新しいオペラの世界を創り出したカヴァッリ。多くの作品が公共のオペラ劇場で上演された記録が残る。全てが現代に伝わっているわけではなく、忘れ去られ、幾つかの作品は不完全なものとなっている。
音楽が失われてしまった歌劇『恋に恋して』を、古楽合奏団ラルぺッジャータを率いる クリスティーナ・プルハール氏が再構築。



なんの知識もなく聴き始めたら、どこかで耳にした旋律が流れてきた。
それもそのはず、歌劇『恋に恋して』を再現するために、他の作曲家の作品やカヴァッリの他の歌劇の曲などが、使われているんだから当然。のちのパスティッチョ・オペラみたいなもの。

なぁんだ、と少しばかりがっかりしたけれど、瑞々しい躍動感の溢れる音楽が楽しいもんだから、そんなことはすぐに忘れてしまう。
かつてのヴェネチアの響きを蘇らせる甘い旋律と、ラルぺッジャータ流に、少しばかり現代的に崩された演奏が、心地いい。

ここで展開される音楽は、退屈なものじゃあないのは確か。
伝統を引き継ぎつつ、ドラマチックな美しさが際立つものとなっているから、刺激的で飽きさせない。 どこか新しい音楽の響きがする。

二人のソプラノ、チェコ出身の ハナ・ブラシコヴァ氏と、カタルーニャ出身の ヌリア・リアル氏の、歌唱の素晴らしさも魅力の一つ。

特に、ハナ・ブラシコヴァ氏の、しなやかな歌声の神々しい美しさと、優しく彩りをちりばめた装飾歌唱が素晴らしい。こんなに、細やかな情感を込めた歌い方する歌手だとは思っていなかったので、驚いた。
もちろん、ヌリア・リアル氏の、力強く清澄な響きに満ちた歌唱は、古楽の楽しみを伝えてくれ、なんだかウキウキしてくる。

歌劇がどうのこうのより、何を置いても、この甘美な競演を大いに味わうべきかもしれない。



限定デラックス・エディションに付属されたDVD。たかがおまけだと思っていたら大間違い。
古楽合奏団ラルぺッジャータのいままでの音楽を巡るもので、フランスのカウンターテナー歌手 フィリップ・ジャルスキー氏も登場したりする。収録時間は2時間近く。

本作の収録風景も含まれる。近所にでも買い物へ行くような格好をして可愛らしいヌリア・リアル氏。あまりにも歌唱に迫力があるもんだから、その、ちょっとしたギャップが新鮮に感じられたりして面白い。







2015年6月28日日曜日

Michiko Hayashi 『 Belle Excentrique』

Michiko Hayashi
林美智子
Belle Excentrique
ベル・エキセントリック
〜ベル・エポック歌曲集


作詞:Bible - New Testament
    新約聖書
作曲:Igor Stravinsky (1882-1971)
    イーゴリ・ストラヴィンスキー
01、Ave Maria
  アヴェ・マリア

作詞:Guillaume Apollinaire (1880-1918)
   ギョーム・アポリネール
作曲:Francis Poulenc ( 1899 - 1963 )
    フランシス・プーランク
02、Voyage à Paris
   パリへの旅(Banalités , FP 107 歌曲集「月並み」)

作詞:Guillaume Apollinaire (1880-1918)
   ギョーム・アポリネール
作曲:Francis Poulenc ( 1899 - 1963 )
    フランシス・プーランク
03、Hôtel
   ホテル(Banalités , FP 107 歌曲集「月並み」)

作詞:Loise de Vilmorin (1902-1969)
    ルイーズ・ドゥ・ヴィルモラン
作曲:Francis Poulenc (1899-1963)
   フランシス・プーランク
04、C'est ainsi que tu es
   おまえはこんな風なのだ

作詞:Alfred de Musset(1810-1857)
   アルフレッド・ドゥ・ミュッセ
作曲:Pauline Viardot (1821-1910)
    ポリーヌ・ヴィアルド
05、Les filles de Cadix
   カディスの娘たち

作詞:Xavier de Maistre (1763-1852)
    グザヴィエ・ドゥ・メストル
作曲:Pauline Viardot-Garcia (1821-1910)
    ポリーヌ・ヴィアルド
06、Hai luli!
   アイ・リュリ

作詞:Victor Hugo  (1802-1885)
    ヴィクトル・ユゴー
作曲:Reynaldo Hahn (1874-1947)
     レイナルド・アーン
07、Quand la nuit n'est pas étoilée
      星のない夜は

作詞:Victor Hugo  (1802-1885)
   ヴィクトル・ユゴー (1802-1885)
作曲:Reynaldo Hahn (1874-1947)
    レイナルド・アーン
08、Si mes vers avaient des ailes
     わが詩に翼ありせば

作詞:Alfred de Musset(1810-1857)
   アルフレッド・ドゥ・ミュッセ
作曲:Léo Delibes  (1836-1891)
    レオ・ドリーブ
09、Les filles de Cadix
   カディスの娘たち

作詞:Traditional
作曲:Maurice Ravel (1875-1937)
   モーリス・ラヴェル
10、Chanson italienne
    イタリアの唄

作詞:Louis Gallet (1835-1898)
   ルイ・ガレ
作曲:Jules Massenet (1842–1912)
   ジュール・マスネ
11、Élégie
   エレジー

作詞:Jacques Larue (1906-1961)
    ジャック・ラリュー
作曲:Georges Auric (1899-1983)
   ジョルジュ・オーリック
12、Moulin Rouge
   ムーラン・ルージュ

作詞:Henry Pacory  (1873-?)
        アンリ・パコリ
作曲:Eric Satie (1866-1925 )
   エリック・サティ
13、Je te veux
  ジュ・トゥ・ヴ

作詞:西條八十 (1892-1970)
作曲:橋本國彦 (1904-1949)
14、お菓子と娘




演奏
林美智子(メッゾ・ソプラノ)
河原忠之(ピアノ)
大萩康司(ギター)Track05
三浦一馬(バンドネオン)Track13


演奏時間
00:35:45


録音
Wangan Onkyo Studios Tokyo
湾岸音響スタジオ、東京
2011年8月24, 26, 28日、9月18日、10月2, 9日


BounDEE Jazz Library    DDCB-13021
2012年02月22日

20世紀初頭、華やかな庶民文化が花開き、成熟した芸術は最高の時を迎え、悦楽に満ちたフランス・パリ。そんな時代の、機知に富み、愛と皮肉に溢れた甘美な歌曲集。
数々のオペラやコンサートで活躍する、埼玉県出身のメッゾ・ソプラノ歌手、林美智子氏 が心に響く歌を聴き手のもとに届ける。


聴き始めると、迫力のある堂々とした歌唱に少し安心する。
メッゾ だから落ち着いた優しい響きになるのだけれど、その甘い歌声がとても心地いい。

オペラのように劇的に表現された優雅な歌唱は、作品の魅力を再認識させてくれるような気がする。音楽は、血の通った響きとなり、ときには、不条理な現実感を伴った物語として展開してゆく。

お気に入りは、とても短い曲なんだけれど、パリへの旅に浮かれた気持ちを大袈裟に描く、フランシス・プーランク作『 Voyage à Paris 〜パリへの旅 』。聴いているだけで、楽しくなってくる。躍動感がいい。

フランス歌曲、シャンソンはフランス人の歌唱で聴きたい。" 日本人が歌ったものなんて聴こうとも思わない " とか云ったことは、単なる思い込み、つまらない、偏見なのかもしれない。





2015年6月7日日曜日

Dorothee Mields『 Joseph Haydn:Anne Hunter's Salon 』

Dorothee Mields
ドロテー・ミールズ
Joseph Haydn:Anne Hunter's Salon 
アン・ハンターのサロン
Scottish Folk Songs, English Canzonettas
スコットランド民謡集、英語によるカンツォネッタ集




Franz Joseph Haydn (1732-1809)
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン

Canciones folclóricas escocesas Hob. XXXIa (selección)
スコットランド民謡集 (抜粋)
English Canzonettas Hob. XXVIa
英語によるカンツォネッタ集



6 Original Canzonettas, Book 2, Hob.XXVIa:31-36: No. 2.
6つの創作されたカンツォネッタ 第2集
作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
01、The Wanderer , Hob. XXVIa:32
   さすらい人

作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
02、The Spirit's Song , Hob. XXV1a:41
   精霊の歌

6 Original Canzonettas, Book 2, Hob.XXVIa:31-36: No. 34.
6つの創作されたカンツォネッタ 第2集
作詞 : William Shakespeare (1564-1616)
03、She never told her Love , Hob. XXVIa:34
   彼女は決して愛を語らなかった

作詞 : Susanna Blamire (1747–1794)
04、The Waefu' Heart , Hob. XXXIa:9
    悲惨な心

作詞 : Anonymous
05、John Anderson , Hob. XXXIa:2
    ジョン・アンダーソン

作詞 : Alexander Lowe  (1750–1798)
06、Mary's Dream ,  Hob.XXXIa:1bis
   メアリーの夢

作詞 : Allan Ramsay (1686 - 1758)
07、The Boatman , Hob. XXXia:246
   ボートの男

作詞 : John Tait (1748-1817)
08、Langolee , Hob. XXXIa:235

作詞 : Robert Burns (1759-1796)  
09、Sensibility , Hob. XXXIa:173
    感性

作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
10、O Tuneful Voice , Hob. XXVIa:42
    おお、麗しの声

作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
11、A Pastoral Song , Hob, XXVIa:27
    田園の歌

作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
12、Fideliy , Hob. XXVIa:30
    誠実 

作詞 : Robert Burns (1759-1796)
13、Jackie and Sandy , Hob. XXXIa:91
    ジョッキーとサンディ

作詞 : Robert Burns (1759-1796)
14、I Love My Love in Secret , Hob. XXXIa:3
   私は秘かに私の愛を愛する

作詞 :  Traditional
15、Gramachree , Hob. XXXIa:13

作詞 : Lady Anne Barnard (1750–1825)   
16、Auld Robin Gray , Hob. XXXIa:168
   老いたロビン・グレイ 

作詞 : Robert Burns (1759-1796)
17、What can young lassie do with an auld man
       何ができる若い娘さん

作詞 : Alexander Boswell (1775-1822)
18、Jenny's Bawbee, Hob.XXXIa:252
   ジェニーのボービー





演奏
Dorothee Mields(ソプラノ)
ドロテー・ミールズ


Les Amis de Philippe (古楽アンサンブル)
レサミ・ド・フィリッペ

Ludger Remy (フォルテピアノ)
ルドガー・レミー
Eva Salonen (ヴァイオリン)
エヴァ・サロネン
Gregor Anthony (チェロ)
グレゴール・アンソニー



演奏時間
62:00

録音
Sendesaal Bremen, Germany
February 2013


CPO  7778242
2014年06月02日
ハイドンがロンドン滞在中に知り合い交際した、アン・ハンター(Anne Hunter 、1742–1821) 。解剖学者、外科医であった ジョン・ハンター(John Hunter、1728 - 1793)の未亡人で、詩人でもあった 。
ハイドンが作曲、編曲し、彼女が自身の詩や選び出した詩を付ける、共同作業で生まれたとも云える、スコットランド民謡をもとにした歌曲と英語によるカンツォネッタ集。

バッハ・コレギウム・ジャパンとの活動でも知られる、ドイツのソプラノ歌手、ドロテー・ミールズ氏の透き通るような歌声と情感豊かな歌唱は冴え、その美しく甘い響きは聴くものに静かな幸福感を与える。



聴き始めてみると、牧歌的な魅力が溢れる音楽が心地いい。ゆったりとした優美な響きに満たされる。まさにサロンの雰囲気。

詩は土着的な悲劇と憂いを帯び ” 愛する人はもういない ” とか " 家族のために好きでもない人と結婚しなければならない ” だとか " 愛と金どちらを選ぶのが幸せか " と云ったものが続く。
戒めや風刺が含まれ、ちょっと哲学的でこむずかしかったりして、説教臭いような気もするけれど心配無用。

スコットランド民謡の旋律を、ハイドンはすべてを包み込むように、軽やかに清々しく彩り、メランコリーな詩情を、素朴な美しさとして心に響かせる。悩みや悲しみと云った、人間の自然な感情と純粋な力強さを、郷愁を込めた甘美な歌曲として、優しく表現してゆく。

なかでも、民謡とカンツォネッタに付けられた アン・ハンター作の詩は深遠で、そこに表現されたものを、理解するのは簡単ではないのだけれど、展開されるハイドンの音楽は、ひときわロマンチック。
ふたりの極めて親密な関係を想像させる、幸福感に溢れた響きは魅力。

ソプラノ歌手、ドロテー・ミールズ氏の歌唱がこれまた巧い。
寂しく悲しげだったり、ときには楽しげにと、曲ごとに、また場面ごとに表情を変える柔らかな歌声に、心を奪われてしまう。
                                  ドロテー・ミールズ

ルドガー・レミー

グレゴール・アンソニー / エヴァ・サロネン  

2015年5月10日日曜日

Claudine Ansermet / Paolo Cherici 『Chansons au Luth: Songs and Instrumental Pieces from the Renaissance』

Claudine Ansermet / Paolo Cherici
クロディーヌ・アンセルメ / パオロ・ケリーチ
Chansons au Luth: 
Songs and Instrumental Pieces from the Renaissance
歌とリュート: 
ルネサンス時代の歌曲と器楽小品集




作曲、作詞:Anonymous
       不詳
01、J’ay pris amour
   私は愛を得た
 
         
作曲:Pierre Attaingnant  (ca.1494-1551)
   ピエール・アテニャン   
02、L'espoir
   希望
 
    
作曲:Guillaume Morlaye (1510-1558)
   ギヨーム・モレイユ               
03、Fantasie
  ファンタジー
  
      
作曲:Thomas Crecquillon (1505 – ca. 1557?)
    トマ・クレキヨン
作詞:Mellin de Saint-Gelais (1491-1558)
   メラン・ド・サン=ジュレ
04、A vous en est
   あなたのもの
 
     
作曲:Francesco Canova da Milano (1497 - 1543)
   フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ
05、Ricercare (N. 45 - C. 31)
  リチェルカーレ
 
    
作曲:Jacobus Clemens Non Papa  (ca. 1510-ca. 1556)
   ヤコブス・クレメンス・ノン・パパ
作詞:Anonymous
     不詳
06、Misericorde
    慈悲
 
    
作曲:Pierre Attaingnant (ca.1494-1551)
   ピエール・アテニャン
07、La roque
  ラ・ロック


作曲:Claudin de Sermisy (ca. 1490-1562)
   クローダン・ド・セルミジ
作詞:Clement Marot (1496-1544)
   クレマン・マロ
08、J'atens secours
   ラテンス・スクール


作曲:Claudin de Sermisy (ca. 1490-1562)
   クローダン・ド・セルミジ
作詞:Pierre de Ronsard  (1524 – 1585)
   ピエール・ド・ロンサール
09、Las je m'y plains mauldicte soit fortune (arr.  F. da Milano)
    ああ、悲しいかな


作曲:Pierre Attaingnant (ca.1494-1551)
   ピエール・アテニャン
10、La Magdelena
   ラ・マグダレーナ


作曲:Francesco Canova da Milano (1497 - 1543)
    フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ
11、Fantasia
  ファンタジア


作曲:Jacobus Clemens Non Papa  (ca. 1510-ca. 1556)
   ヤコブス・クレメンス・ノン・パパ
作詞:Anonymous
     不詳
12、Aymer est ma vie
   愛こそ我が命


作曲:Francesco Canova da Milano (1497 - 1543)
   フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ
13、Ricercare (N. 16 - C. 16)
  リチェルカーレ


作曲:Jacobus Clemens Non Papa  (ca. 1510-ca. 1556)
   ヤコブス・クレメンス・ノン・パパ
作詞:Anonymous
     不詳
14、Puisque voulez que je vous laisse
    あなたが旅発つというので


作曲:Thomas Crecquillon (1505 – ca. 1557?)
   トマ・クレキヨン
作詞:Clement Marot (1496-1544)
   クレマン・マロ
15、Je suis aymé de la plus belle
    美しく愛されて


作曲:Francesco Canova da Milano (1497 - 1543)
   フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ
16、Ricercare (N. 63 - C. 30)
  リチェルカーレ


作曲:Claudin de Sermisy (ca. 1490-1562)
   クローダン・ド・セルミジ
作詞:Clement Marot (1496-1544)
   クレマン・マロ
17、Secoures moy
   私を揺さぶって


作曲:Pierre Attaingnant (ca.1494-1551)
   ピエール・アテニャン
18、La brosse
  ラ・ブロス


作曲:Claudin de Sermisy (ca. 1490-1562)
   クローダン・ド・セルミジ
作詞:Clement Marot (1496-1544)
   クレマン・マロ
19、Tant que vivray en aage florissant  (arr. Pierre Attaingnant)
     花咲く頃に


作曲:Francesco Canova da Milano (1497 - 1543)
   フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ
20、Ricercare (N. 31 - C. 11)
  リチェルカーレ


作曲:Thomas Crecquillon (1505 – ca. 1557?)
   トマ・クレキヨン
作詞:Anonymous
     不詳
21、L'ardant amour souvent
    燃えるような愛が


作曲:Francesco Spinacino (fl.1507)
   フランチェスコ・スピナチーノ
22、Ricercare
  リチェルカーレ


作曲:Pierre Attaingnant (ca.1494-1551)
   ピエール・アテニャン
作詞:Anonymous
    不詳
23、Fortune laisse moy la vye
   運命よ、私の人生を放っておくれ


作曲:Thomas Crecquillon (1505 – ca. 1557?)
   トマ・クレキヨン
作詞:Anonymous
    不詳
24、Quand me souvient de ma triste fortune
    私が覚えているとき


作曲:Francesco Canova da Milano (1497 - 1543)
   フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ
25、Ricercare (N. 70 - C. 44)
  リチェルカーレ




演奏
Claudine Ansermet(ソプラノ)
クロディーヌ・アンセルメ
Paolo Cherici(リュート、ビウエラ)
パオロ・ケリーチ



演奏
57:33

録音
Pugnano (Pisa, Italy)
プニャノ(ピサ、イタリア)
March, 1999

Glossa Cabinet   GCDC80002
2011年07月15日


繊細に語られるフランス語による愛の詩がつけられた、リュートを伴奏とするソプラノ独唱の美しく甘い響き。素朴なメロディを持つ情緒豊かな シャンソンとリュート音楽集。
ジュネーヴのソプラノ歌手クロディーヌ・アンセルメ氏とイタリアのリュート奏者パオロ・ケリーチ氏が世間から忘れ去られた ルネサンスの響きをいまに鮮やかに蘇らせる。


聴き始めると、甘く透明な響きに満たされる。
ごく自然に聴き手を包み込むノンビリとした旋律が心地よい。
よく表現として ” 静寂な響き " 何て云われることがあるけれど、まさにそんな雰囲気でもある。

また、ルネサンス時代の、クレマン・マロと云ったフランスの詩人の洗練された表現に驚かされる。たしかに、古めかしい言葉なんかもあるのだけれど、恋しく、愛おしく想う心は今とさほど変わらない。
繊細に研ぎ澄まされた言葉は、裏に隠された "あなた" への感情を意識させる。

優しく語りかけるようなクロディーヌ・アンセルメ氏の歌唱と、親密な息づかいが感じられるパオロ・ケリーチ氏の演奏も美しい。淡々としていても退屈じゃあない。

二人の紡ぎ出す牧歌的な響きは、いにしえの風を聴き手の心にとどけてくれるようだ。


パオロ・ケリーチ / クロディーヌ・アンセルメ