ドロテー・ミールズ
Joseph Haydn:Anne Hunter's Salon
アン・ハンターのサロン
Scottish Folk Songs, English Canzonettas
スコットランド民謡集、英語によるカンツォネッタ集
Franz Joseph Haydn (1732-1809)
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
Canciones folclóricas escocesas Hob. XXXIa (selección)
スコットランド民謡集 (抜粋)
English Canzonettas Hob. XXVIa
英語によるカンツォネッタ集
6 Original Canzonettas, Book 2, Hob.XXVIa:31-36: No. 2.
6つの創作されたカンツォネッタ 第2集
作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
01、The Wanderer , Hob. XXVIa:32
さすらい人
作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
02、The Spirit's Song , Hob. XXV1a:41
精霊の歌
6 Original Canzonettas, Book 2, Hob.XXVIa:31-36: No. 34.
6つの創作されたカンツォネッタ 第2集
作詞 : William Shakespeare (1564-1616)
03、She never told her Love , Hob. XXVIa:34
彼女は決して愛を語らなかった
作詞 : Susanna Blamire (1747–1794)
04、The Waefu' Heart , Hob. XXXIa:9
悲惨な心
作詞 : Anonymous
05、John Anderson , Hob. XXXIa:2
ジョン・アンダーソン
作詞 : Alexander Lowe (1750–1798)
06、Mary's Dream , Hob.XXXIa:1bis
メアリーの夢
作詞 : Allan Ramsay (1686 - 1758)
07、The Boatman , Hob. XXXia:246
ボートの男
作詞 : John Tait (1748-1817)
08、Langolee , Hob. XXXIa:235
作詞 : Robert Burns (1759-1796)
09、Sensibility , Hob. XXXIa:173
感性
作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
10、O Tuneful Voice , Hob. XXVIa:42
おお、麗しの声
作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
11、A Pastoral Song , Hob, XXVIa:27
田園の歌
作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
12、Fideliy , Hob. XXVIa:30
誠実
作詞 : Robert Burns (1759-1796)
13、Jackie and Sandy , Hob. XXXIa:91
ジョッキーとサンディ
作詞 : Robert Burns (1759-1796)
14、I Love My Love in Secret , Hob. XXXIa:3
私は秘かに私の愛を愛する
作詞 : Traditional
15、Gramachree , Hob. XXXIa:13
作詞 : Lady Anne Barnard (1750–1825)
16、Auld Robin Gray , Hob. XXXIa:168
老いたロビン・グレイ
作詞 : Robert Burns (1759-1796)
17、What can young lassie do with an auld man
何ができる若い娘さん
作詞 : Alexander Boswell (1775-1822)
18、Jenny's Bawbee, Hob.XXXIa:252
ジェニーのボービー
演奏
Dorothee Mields(ソプラノ)
ドロテー・ミールズ
Les Amis de Philippe (古楽アンサンブル)
レサミ・ド・フィリッペ
Ludger Remy (フォルテピアノ)
ルドガー・レミー
Eva Salonen (ヴァイオリン)
エヴァ・サロネン
Gregor Anthony (チェロ)
グレゴール・アンソニー
演奏時間
62:00
録音
Sendesaal Bremen, Germany
February 2013
CPO 7778242
2014年06月02日
ハイドンがロンドン滞在中に知り合い交際した、アン・ハンター(Anne Hunter 、1742–1821) 。解剖学者、外科医であった ジョン・ハンター(John Hunter、1728 - 1793)の未亡人で、詩人でもあった 。
ハイドンが作曲、編曲し、彼女が自身の詩や選び出した詩を付ける、共同作業で生まれたとも云える、スコットランド民謡をもとにした歌曲と英語によるカンツォネッタ集。
バッハ・コレギウム・ジャパンとの活動でも知られる、ドイツのソプラノ歌手、ドロテー・ミールズ氏の透き通るような歌声と情感豊かな歌唱は冴え、その美しく甘い響きは聴くものに静かな幸福感を与える。
聴き始めてみると、牧歌的な魅力が溢れる音楽が心地いい。ゆったりとした優美な響きに満たされる。まさにサロンの雰囲気。
詩は土着的な悲劇と憂いを帯び ” 愛する人はもういない ” とか " 家族のために好きでもない人と結婚しなければならない ” だとか " 愛と金どちらを選ぶのが幸せか " と云ったものが続く。
戒めや風刺が含まれ、ちょっと哲学的でこむずかしかったりして、説教臭いような気もするけれど心配無用。
スコットランド民謡の旋律を、ハイドンはすべてを包み込むように、軽やかに清々しく彩り、メランコリーな詩情を、素朴な美しさとして心に響かせる。悩みや悲しみと云った、人間の自然な感情と純粋な力強さを、郷愁を込めた甘美な歌曲として、優しく表現してゆく。
なかでも、民謡とカンツォネッタに付けられた アン・ハンター作の詩は深遠で、そこに表現されたものを、理解するのは簡単ではないのだけれど、展開されるハイドンの音楽は、ひときわロマンチック。
ふたりの極めて親密な関係を想像させる、幸福感に溢れた響きは魅力。
ソプラノ歌手、ドロテー・ミールズ氏の歌唱がこれまた巧い。
寂しく悲しげだったり、ときには楽しげにと、曲ごとに、また場面ごとに表情を変える柔らかな歌声に、心を奪われてしまう。
ドロテー・ミールズ
ルドガー・レミー
グレゴール・アンソニー / エヴァ・サロネン