2015年11月1日日曜日

L'Arpeggiata『Cavalli : L’amore innamorato』

L'Arpeggiata, Christina Pluhar
プルハール&ラルぺッジャータ
Cavalli : L’amore innamorato 
カヴァッリ歌劇『恋に恋して』





Francesco Cavalli (1602-1676)
フランチェスコ・カヴァッリ
L'Amore Innamorato , 1642
歌劇『恋に恋して』(プルハールによる再構築版)



from ‘L’Ormindo’ ,  初演 Teatro San Cassiano 1644 
歌劇『オルミンド』から
01、L'Armonia (Prologo)

extract of ‘Il Giasone’ ,  初演 Teatro San Cassiano, 1649
歌劇『ジャゾーネ』の再編曲
02、Sinfonia

from ‘La Calisto’ ,  初演 Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
03、Act 1: " Piante ombrose "

from ‘La Calisto’ ,  初演 Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
04、Act 3: " Restino imbalsamate "

from ‘La Rosinda’ , 初演  Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『ロジンダ』から
05、Act 3: " Vieni, vieni in questo seno "

from ‘La Calisto’ , 初演  Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
06、Act 1: " Verginella io morir vo '"

from ‘La Calisto’ , 初演  Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
07、Act 1: " Ninfa bella "

from ‘La Calisto’ ,  初演 Teatro San Apollinare, 1651
歌劇『カリスト』から
08、Act 1: "Non è maggior piacere"

from ‘L’Artemisia’ ,  初演 Teatro San Giovanni e San Paolo, 1657
歌劇『アルテミジア』から
09、Act 3: " Dammi morte "

extract of ‘L’Eliogabalo’,  作曲 1667
歌劇『エリオガバロ』の再編曲
10、Sinfonia

from ‘L’Artemisia’ ,  初演 Teatro San Giovanni e San Paolo, 1657
歌劇『アルテミジア』から
11、Act 2: " Affliggetemi, guai dolent i"

from ‘L’Ormindo’ ,  初演 Teatro San Cassiano 1644 
歌劇『オルミンド』から
12、Act 2: "Che città"

Giovanni Girolamo Kapsberger (1580-1651)
ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスベルガー
Libro Quarto d'Intavolatura di Chitarrone, 刊行 Roma 1640
キタローネのためのタブラチュア曲集 第4巻 より
13、Toccata prima

from ‘La Didone’,  初演 Teatro San Cassiano, 1641
歌劇『ディドーネ』から
14、Act 1: " Alle ruine del mio regno "

from ‘La Didone’, 初演 Teatro San Cassiano, 1641
歌劇『ディドーネ』から
15、Act 1: "L'alma fiacca svanì"

Andrea Falconieri (1585 -1656)
アンドレア・ファルコニエーリ
Il primo libro di canzone, sinfonie, fantasie, capricci, brandi, correnti, gagliarde, alemane, volte: ,刊行 Napoli 1650
カンツォーナ、シンフォニア、ファンタジア、カプリッチョ、ブランド、コレント、ガリアルド、アルメイン、ヴォルテ集 第1巻 より
16、sinfonie: " La suave melodia "








演奏
Hana Blažíková(ソプラノ)
ハナ・ブラシコヴァ
Nuria Rial(ソプラノ)
ヌリア・リアル

L'Arpeggiata (古楽合奏団)
ラルぺッジャータ
Christina Pluhar ( テオルボ, バロックハープ)
Doron David Sherwin (コルネット)
Veronika Skuplik(バロックバイオリン)
Judith Steenbrink(バロックバイオリン)
Eero Palviainen (アーキリュート, バロックギター)
Marcello Vitale(バロックギター)
Sarah Ridy (バロックハープ)
Margit Übellacker (プサルタリー)
Elisabeth Seitz (プサルタリー)
Lixsania Fernandes (ヴィオラ ダ ガンバ)
Rodney Prada (ヴィオラ ダ ガンバ)
Paulina van Laarhoven (リローネ)
Josetxu Obregon (バロックチェロ)
Rüdiger Kurz (ヴィオローネ)
Boris Schmidt (ダブルベース)
Haru Kitamika (ハープシコード, オルガン)
Francesco Turrisi (ハープシコード, オルガン)
David Mayoral (パーカッション)

Christina Pluhar (指揮)
クリスティーナ・プルハール



演奏時間
01:06:45

録音
Institut Culturel Roumain, Salle Byzantine (パリ)
2015年1月



WARNER ERATO  2564616643  (DVD付き限定デラックス・エディション)
2015年10月23日

17世紀のヴェネチアにおいて、新しいオペラの世界を創り出したカヴァッリ。多くの作品が公共のオペラ劇場で上演された記録が残る。全てが現代に伝わっているわけではなく、忘れ去られ、幾つかの作品は不完全なものとなっている。
音楽が失われてしまった歌劇『恋に恋して』を、古楽合奏団ラルぺッジャータを率いる クリスティーナ・プルハール氏が再構築。



なんの知識もなく聴き始めたら、どこかで耳にした旋律が流れてきた。
それもそのはず、歌劇『恋に恋して』を再現するために、他の作曲家の作品やカヴァッリの他の歌劇の曲などが、使われているんだから当然。のちのパスティッチョ・オペラみたいなもの。

なぁんだ、と少しばかりがっかりしたけれど、瑞々しい躍動感の溢れる音楽が楽しいもんだから、そんなことはすぐに忘れてしまう。
かつてのヴェネチアの響きを蘇らせる甘い旋律と、ラルぺッジャータ流に、少しばかり現代的に崩された演奏が、心地いい。

ここで展開される音楽は、退屈なものじゃあないのは確か。
伝統を引き継ぎつつ、ドラマチックな美しさが際立つものとなっているから、刺激的で飽きさせない。 どこか新しい音楽の響きがする。

二人のソプラノ、チェコ出身の ハナ・ブラシコヴァ氏と、カタルーニャ出身の ヌリア・リアル氏の、歌唱の素晴らしさも魅力の一つ。

特に、ハナ・ブラシコヴァ氏の、しなやかな歌声の神々しい美しさと、優しく彩りをちりばめた装飾歌唱が素晴らしい。こんなに、細やかな情感を込めた歌い方する歌手だとは思っていなかったので、驚いた。
もちろん、ヌリア・リアル氏の、力強く清澄な響きに満ちた歌唱は、古楽の楽しみを伝えてくれ、なんだかウキウキしてくる。

歌劇がどうのこうのより、何を置いても、この甘美な競演を大いに味わうべきかもしれない。



限定デラックス・エディションに付属されたDVD。たかがおまけだと思っていたら大間違い。
古楽合奏団ラルぺッジャータのいままでの音楽を巡るもので、フランスのカウンターテナー歌手 フィリップ・ジャルスキー氏も登場したりする。収録時間は2時間近く。

本作の収録風景も含まれる。近所にでも買い物へ行くような格好をして可愛らしいヌリア・リアル氏。あまりにも歌唱に迫力があるもんだから、その、ちょっとしたギャップが新鮮に感じられたりして面白い。