2015年12月23日水曜日

遊佐未森『カリヨン・ダンス』


番外編 レビュー


遊佐未森
カリヨン・ダンス


作詞、作曲:遊佐未森
編曲:遊佐未森、Watusi
01、カリヨン・ダンス
(NHKみんなのうた ’15年12月~ ’16年1月O.A. 予定)

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:鹿島達也
02、クロ
(NHK みんなのうた ’05年12月~ ’06年1月 O.A. )

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:渡辺等
03、I’m here with you
(NHKみんなのうた ’09年6月~7月 O.A. )

04、カリヨン・ダンス(オリジナル・カラオケ)




演奏
「カリヨン・ダンス」
楠 均(ドラム、パーカッション、ヴォイス)
Watusi(プログラミング、ベース)
西海 孝(アコースティックギター、エレクトリックギター、ヴォイス)
遊佐未森(ヴォックス、バッキングヴォーカル、ピアノ)


「クロ」
楠 均(ドラム)
鹿島達也(エレクトリックベース、パーカッション)
上田 禎(エレクトリックギター、アコースティックギター)
西海 孝(バンジョー)
阿部尚徳(オリジナルビート)
遊佐未森(ヴォックス、バッキングヴォーカル、ピアノ)


「 I’m here with you 」
楠 均(ドラム)
渡辺 等(アコースティックベース、ブズーキ、マンドリン、プサルタリー、プログラミング)
西海 孝(アコースティックギター)
高田 漣(ペダルスティールギター)
藤原道山(尺八)
寺田創一(プログラミング)
遊佐未森(ヴォックス、バッキングヴォーカル)


演奏時間
18:56


Yamaha Music  YCCW-30047
2015年12月09日

すべてを包み、空高く鳴り響く、カリヨンの福音。
NHK『みんなのうた』のために書かれた「カリヨン・ダンス」を中心に、過去の作品も収録したシングル盤。


忘れられた音楽の山の中から、ふと手にした遊佐未森氏の一枚のCD。これがきっかけとなって、この一年間、過去の作品から最新作まで聴いてきた。音楽にも奇跡的な出会いがあるのかもしれない。
とは云っても、新たに購入したのは『淡雪』(2012)と数本の映像作品のみ。感謝の気持ちを込めて、シングル盤『カリヨン・ダンス』を購入してみた。


NHK『みんなのうた』のために書かれた3曲が収められる。
『みんなのうた』と云えば、幼稚な感じなんて思うかもしれない。たしかに正しい。分かりやすさは、幼稚に映る。みんな、気取った言葉で強がって、本心なんて覆い隠して生活しているんだから。
嬉しかったり、楽しかったり、時には悲しかったりする、素直な気持ちの歌。飾り立てた言葉なんかじゃあなくて、心にぬくもりを伝えるシンプルな言葉。そんな歌が、新鮮で魅力的に感じられる。


時を告げる鐘の音が鳴り響き、優しい調べが街全体を包み込む、「 カリヨン・ダンス 」。ひとたび耳にすれば、すっかり幸せな気分。 喜びに溢れた軽快な音楽が、とにかく心地いい。「 街角 」や「 ブルッキーのひつじ 」みたいな雰囲気。

この、民族チックで不思議な舞踊曲。いつのまにか、訳もわからず心が弾み、楽しくなってゆく。チラッと間奏に現れたりするコーラスの甘美な響きが、心に潤いを取り戻す。

好みじゃあないと思っていたけれど、贅沢なひとときのプレゼント。もうすっかり、満たされた気分。


「 クロ 」、「 I’m here with you 」の2曲。
改めて聴いてみると、やっぱり、グッとくる、いい曲。

独特な美しい世界観を持つ歌が、豊かな感情を与えてくれた気がする。





以前購入した、『 Rondo Piccolo ~ロンド・ピッコロ~scene from Language of Flowers  』(1992年)。再発DVD版 MHBL-109(2008年)

~雲と風とダンス〜
遊佐未森氏の心象風景を描いたドキュメンタリー作品。
美しい波の音とともに、静かに心の声が聞こえてくる印象的なシーンから始まる。
アルバム『モザイク』に収録された組曲「Language of Flowers」を映像で表現したものなんだけど、なんとも不思議で幸福感に満ちた世界が展開してゆく。


突き抜けた甘美な表現。豊かな創造力。
もしかしたら、「カリヨン・ダンス」の世界と、根っこでは繋がっているのかもしれない。

2015年12月13日日曜日

Sabine Devieilhe『Mozart: The Weber Sisters』

Sabine Devieilhe 
サビーヌ・ドゥヴィエル
Mozart: The Weber Sisters
モーツァルト・アリア集~ウェーバー三姉妹



Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト


I  Prologue : La confidence naïve,  ou  l'attente
  プロローグ:純情なる打明け話、または期待

Les petits riens, K. 299b
「レ・プティ・リアン」
01、Overture
    序曲
02、Ah, vous dirais-je maman, K. 265
     ああ、お母さん聞いて
03、Dans un bois solitaire, K. 308
    人里離れた森の中で
Pantomime Pantalon and Columbine, K. 446
パントマイム劇「パンタロンとコロンビーネ」
04、Adagio
   アダージョ


 II  Aloysa,  mia carissima amica
 アロイジア 我が親愛なる友

05、Alcandro, lo confesso... Non so d'onde viene, K. 294
 アルカンドロよ、私は告白しよう、どこより訪れるのか私は分からぬ
06、Vorrei spiegarvi, oh Dio, K. 418
   ああ、できるならあなた様にお教えしたいものです
07、Popoli di Tessaglia... Io non chiedo, eterni dei, K. 316
   テッサリアの民よ!私は求めはいたしません、不滅の神々よ
08、Nehmt meinen Dank, K. 383
   わが感謝をうけたまえ、やさしき保護者よ


III  Josepha,  ou l’entrée dans la Lumière
 ヨゼーファ、または光の中に入って

09、Adagio  K. 410, en fa majeur
  2つのバセット・ホルンとファゴットのためのアダージョ ヘ長調
10、Schon lacht der holde Frühling, K. 580
   すでにやさしき春はほほえみ
Die Zauberflöte, K. 620
  歌劇「魔笛」
11、Der Hölle Rache (Königin der Nacht)
  復讐の炎は地獄のように我が心に燃え <夜の女王のアリア>
Thamos, König in Aegypten, K. 345
 英雄劇「エジプトの王ターモス」
12、n° 5  Allegro vivace assai
 第5番 間奏曲 アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ


 IV  Per mia cara Constanze
 私の愛しいコンスタンツェのために

Die Zauberflöte, K. 620
  歌劇「魔笛」
13、March of the Priests
    神官の行進
14、Solfeggio, K. 393 n° 2 en fa Majeur
   ソルフェッジョ K.393 No.2 ヘ長調
Mass in C minor, K. 427
  ミサ曲 ハ短調
15、Et incarnatus est
   肉体をとりたまいし者




演奏
Sabine Devieilhe (ソプラノ)
サビーヌ・ドゥヴィエル
Arnaud De Pasquale (フォルテピアノ、オルガン)
アルノー・ディ・パスカル
Raphaël Pichon (指揮)
ラファエル・ピション
Pygmalion Baroque Ensemble (古楽器オーケストラ)
アンサンブル・ピグマリオン


演奏時間
01:12:16


録音
パリ、ノートルダム・デュ・リバン教会
2015年1月


Erato  2564601625
2015年11月06日

モーツァルトの複雑に絡み合う愛の関係と、その音楽に影響を与えるフリーメイソンの存在。謎を紐解くかのように構成された、ウェーバー三姉妹のための歌曲集。


新譜が出ると気になって買ってしまう、モーツァルトの歌曲集。
はじめて、『 Rita Streich singt Opern-Arien 』に収録された「夜の女王のアリア」を聴いたときの衝撃が忘れられなくて、買い続けている。演奏が巧いなとか、歌声が美しいなとか思うのだけど、いつもどこか満たされない。でも、そろそろ、良い頃かもしれない。

フランスのソプラノ歌手、サビーヌ・ドゥヴィエル 氏の甘美な歌声は、新世代の幕開けを宣言するかのように、高らかに響き渡る。

リタ・ シュトライヒ 氏の歌唱とは違うけれど、心に迫る美しさがある。その、魔力とも云える音楽の精神性は、もはや、比べるものなど存在しない。内面から溢れ出す巧みな表現は、まやかしではなく、人間の魂を感じさせてゆく。

魅力をうまく引き出しているのが、アンサンブル・ピグマリオンを率いる、フランスの若手指揮者、ラファエル・ピション 氏。
モーツァルトの旋律の美しさや情感の躍動。長い眠りから覚め、本来の輝きを取り戻したかのような、新鮮な音楽を届けてくれる。

モーツァルトとウェーバー三姉妹の物語。映画なんかもあった気がするけれど、実際はどうだったのか ? この歌曲集は、そんな興味を抱かせる。そして、フリーメイソンとの関係にも。すべて謎。

隠された謎。突如聞こえてくる " Leck mich im Arsch 〜 " 。こちらは、なぜかうれしいけれど。

Raphaël Pichon & Sabine Devieilhe

Pygmalion Baroque Ensemble




2015年12月9日水曜日

Meredith Hall『My Love is Like a Red, Red Rose』

Meredith Hall / La Nef
メレディス・ホール/ラ・ヌフ
My Love is Like a Red, Red Rose
恋人は赤いバラのよう
〜ロバート・バーンズの詩によるシャンソン集




01、Craigieburn Wood
 クレイギーバーンの木

02、Charlie, he's my darling
  私の最愛のチャーリー
  
03、Comin Thro' the Rye (Air : Miller's Wedding)
    ライ麦畑で出逢ったら

作曲:John Playford(1623-1686)
04、Grimstock/ The Old Mole/ Cuckolds All a Row  (from  Dancing Master, 1651)

05、When O'er the Hill the E'ening Star (Air : The Lea-Rig/ My Ain Kind Dearie, O)

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
06、Hugh O'Donnell
  ヒュー・オドネル

07、Simmer's a Pleasant Time (Air : Ay Waukin' O)

08、What Can a Young Lassie (Air : What Shall I Do with an Auld Man)

09、My Tocher's the Jewel (Air : The Mucking of Geordie's Byre)

10、She's Fair and Fause (Air : The Lads of Leith)

11、Gloomy Night Is Gath'ring Fast (Air : Roslin Castle)
   
作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
12、Carolan's Dream
      カロランの夢

13、My Love Is Like a Red, Red Rose (Air : Low Down in the Broom)
    恋人は赤いバラのよう

14、Last May, A Braw Wooer (Air : The Lothian Lassie)

Traditional / Welsh Traditional
15、Welsh Dance "pwt-Ar-Y-Bys"

16、My Love Was Born in Aberdeen (Air : The White Cockade)

17、O Let Me In This Ae Night (Air : Will You Lend Me Your Loom, Lass)

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
18、Lament for Owen Roe O'Neill
   オウェン・ロー・オニールへの悲歌

19、John Anderson, My Jo
   ジョン・アンダーソン、我がジョー

20、Ye Banks and Braes(Air :  Caledonian Hunt's Delight)
   美しいドゥーン川の岸辺

21、Now Nature hangs her mantle green (Air : Mary Queen of Scots, Lament)
  
作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
22、Sheebeg and Sheemore (Sí Beag is Sí Mór)
      シーベグとシーモア

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
23、Bumper Squire Jones
  バンパー・スクワイア・ジョーンズ

作曲:Turlough O'Carolan (1670-1738)
24、Carolan's Favorite Jig
  カロランのお気に入りのジグ

25、Should auld acquaintance be forgot (Air : Auld Lang Syne)
             古き友は忘れられて







演奏
Meredith Hall(ソプラノ)
メレディス・ホール

La Nef(古楽アンサンブル)
ラ・ヌフ
Sylvain Bergeron (バロックギター、テオルボ、指揮)
Claire Gignac (リコーダー)
Elise Guay (リコーダー、バグパイプ)
Betsy MacMillan (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
Robin Grenon (ケルティック・ハープ)
Patrick Graham (パーカッション)




演奏時間
01:11:18




ATMA Classique  ACD22336
2004 年08月12日

歌に込められた郷愁に満ちた人々の想い。スコットランドの詩人ロバート・バーンズの詩による歌曲集。
日本で唱歌として親しまれる、大和田 建樹 氏(1857-1910)が日本語の詞を付けた「 故郷の空 」の原曲「 Comin' Thro' the Rye 」、稲垣千頴 氏(1845 - 1913) 作詞の「 蛍の光 」の原曲「 Auld Lang Syne 」収録。



スコットランドの伝承歌に手を加え、蘇らせた詩人ロバート・バーンズ(1759-1796)。370ほどあると云われる中から、15のバーンズの歌が選ばれている。
おもに、いろいろな愛の歌が展開されてゆく。幸せであったり、悲しみであったり、簡単であったり、複雑であったり、男であったり、女であったり。
2つの政治的な内容の歌「Charlie, he's my darling」、「Now Nature hangs her mantle green」が含まれるのも興味深い。


知らないはずの異国のメロディが、なぜか心地いい。郷愁に満ちた響き。

美しい音楽に、ただ身をまかせれば、それでいいと思う。
たくさん出てくるスコットランド方言。言葉がわからなくても気にする必要はない。幼い頃に教わり歌った、日本語の童謡や唱歌でも、わからない ” 古い言葉 " が使われているんだから、同じじゃあないかと、勝手に納得したりする。音楽は言葉を超えることだってある。

好みの問題だけど、ロバート・バーンズ の歌曲集の中で、このCDが一番お気に入り。
ケルティック・ハープの優しい音色に誘われ、とてもリラックスした雰囲気で進んでゆく。歌の合間に収録される、Welsh Dance「 pwt-Ar-Y-Bys 」や ターロック・オキャロラン (1670-1738) 作曲の「 Hugh O'Donnell 」、「 Carolan's Favorite Jig 」なんかの演奏が、これまた楽しい。

カナダ出身のソプラノ歌手、メレディス・ホール氏と古楽アンサンブル、ラ・ヌフによって紡がれる澄みきった音楽は、忘れがたい心の安らぎを与えてくれる。

Meredith Hall

La Nef

2015年12月5日土曜日

ALEXANDER GRYCHTOLIK『 J.S.Bach: Köthener Trauermusik BWV 244a 』

ALEXANDER GRYCHTOLIK
アレクサンダー・グリヒトリーク
J.S.Bach: Köthener Trauermusik  BWV 244a
バッハ:レオポルト侯のための葬送音楽



Johann Sebastian Bach (1685-1750)
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
台本:Christian Friedrich Henrici < Picander > (1700 – 1764)
クリスティアン・フリードリヒ・ヘンリーツィ <ピカンダー>
Köthener Trauermusik  BWV 244a
『 レオポルト侯のための葬送音楽 』
(アレクサンダー・グリヒトリークによる復元版)


Erste Abteilung・Part One
01、Chorus:  Klagt, Kinder, klagt es aller Welt
02、Recitativo:  Oh Land! Bestürztes Land
03、Aria:  Weh und Ach
04、Recitativo:  Wie wenn der Blitze Grausamkeit
05、Aria:  Zage nur, du treues Land
06、Recitativo:  Ah ja! Wenn Tränen oder Blut
07、Chorus:  Komm wieder, teurer Fürsten-Geist

Zweite Abteilung・Part Two
08、Chorus:  Wir haben einen Gott, der da hilft
09、Recitativo:  Betrübter Anblick voll Erschrecken
10、Aria:  Erhalte mich
11、Recitativo:  Jedoch der schwache Mensch erzittert nur
12、Aria:  Mit Freuden sei die Welt verlassen
13、Recitativo:  Wohl also dir
14、Repetatur dictum (Wiederholung Chorus Nr.8/repeat of no.8)

Dritte Abteilung・Part Three
15、Chorus: Aria:  Laß, Leopold, dich nicht begraben
16、Aria:  Wie könnt es möglich sein
17、Aria:  Wird auch gleich nach tausend Zähren
18、Recitativo:  Und, Herr, das ist die Spezerei
19、Aria:  Geh, Leopold, zu deiner Ruhe

Vierte Abteilung・Part Four
20、Aria:  Bleibet nur in eurer Ruh
21、Recitativo:  Und du, betrübtes Fürstenhaus
22、Aria:  Hemme dein gequältes Kränken
23、Recitativo:  Nun scheiden wir
24、Chorus:  Die Augen sehn nach deiner Leiche




演奏
Gudrun Sidonie Otto(ソプラノ)
グズルン・シドニー・オットー
David Erler(アルト)
ダーフィト・エーラー
Hans Jorg Mammel(テノール)
ハンス・イェルク・マンメル
Daniel Ochoa(バス)
ダニエル・オチョア

Deutsche Hofmusik Chor
ドイツ・ホーフムジーク合唱団
Deutsche Hofmusik(ピリオド楽器オーケストラ)
ドイツ・ホーフムジーク

Alexander Grychtolik(チェンバロ、オルガン、指揮)
アレクサンダー・グリヒトリーク


演奏時間
01:13:28


録音
ケーテン、聖ヤコプ教会
2014年9月


DHM Deutsche Harmonia Mundi 88875164222
2015年12月04日

独自のアプローチを加えたバッハのカンタータ復元、演奏で知られる、ドイツのチェンバロ奏者、音楽学者のアレクサンダー・グリヒトリーク氏による、『 Köthener Trauermusik  BWV 244a 〜レオポルト侯のための葬送音楽 』の復元版。


こういったCD、一曲目がイマイチだと聴く気が起こらないけれど、これはいい。
もう一気に、合唱「Klagt, Kinder, klagt es aller Welt 〜嘆け、子らよ、全世界に向って嘆け」から、心震わせる音楽に引き込まれる。
” Klagt, Kinder, klagt es aller Welt "と歌われるたびに、鳥肌が立つような感動を覚える。言葉では表しにくいけれど、なにか不思議な力の宿る、素晴らしい音楽が展開されてゆく。

バッハが慕い、最大の理解者であった、領主アンハルト=ケーテン侯レオポルトに捧げた葬送音楽。楽譜が消失しているこの作品。『 Matthäus-Passion BWV244 〜マタイ受難曲 』から転用した音楽で復元されたと云うことだ。

大雑把に云うと、”国民の哀悼”、”魂の救い”、”輝かしき功績”、”永遠の休息と別れ” みたいな流れで進んでゆく。
葬送音楽だから悲しい音楽だとは思うけれど、光に満ちた心地よい安らぎが溢れ、その透明な響きは甘く美しい。曲が同じ、マタイ受難曲とは違って神聖な感じはないけれど、それがかえっていい。

もしかすると、アレクサンダー・グリヒトリーク氏が率いる、優しくて、心地よさを感じる、みずみずしい演奏は、このCDの一番の 魅力かもしれない。


Leopold von Anhalt-Köthen (1694-1728)


Gudrun Sidonie Otto

David Erler

Hans Jorg Mammel

Daniel Ochoa

Alexander Grychtolik


2015年11月22日日曜日

Stefan Temmingh, Dorothee Mields『Birds』

Stefan Temmingh, Dorothee Mields
シュテファン・テミング、ドロテー・ミールズ
Birds
~バロック時代の鳥の標題音楽


Jean-Philippe Rameau (1683-1764)
ジャン=フィリップ・ラモー
Nouvelles Suites De Pieces De Clavecin
新クラヴサン組曲集第2番
01、V. La Poule
    雌鶏

George Frideric Handel (1685-1759)
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
Rinaldo, Hwv 7
歌劇『リナルド』
02、Augelletti Che Cantate (Adagio)
    さえずる小鳥達よ

作者不詳
03、This Merry Peasant Spring

Pietro Torri (CA. 1650-1737)
ピエトロ・トッリ
Ismene
歌劇『イスメーネ』
04、Son Rosignolo
  息子ナイチンゲールよ

Giuseppe Fedeli (CA. 1680-1733)
ジュセッペ・フェデリ
The Temple Of Love: Warbling The Birds Enjoying
  愛の寺院~楽しむ鳥のさえずり
05、Largo -Adagio -Largo -Allegro -
     Vivace -Adagio -Allegro -Slow

Thomas Augustine Arne (1710 – 1778)
トマス・オーガスティン・アーン
As You Like It
喜劇『お気に召すまま』
06、The Cuckoo (When daisies pied)
    カッコウ (まだらのヒナギクが)

Alessandro Poglietti (Early17th-1683)
アレッサンドロ・ポリエッティ
Rossignolo
イル・ロシニョーロ
07、Imitatione Del Medesimo Uccello
   夜鳴きうぐいす~鳥の模倣

Antonio Vivaldi (1678-1741)
アントニオ・ヴィヴァルディ
Flute Concerto In D Major, Op. 10 No. 3,"Il Gardellino"  Rv 428
フルート協奏曲 ニ長調 Op.10 - 『ごしきひわ』
08、I. Allegro
09、II. Cantabile
10、III. Allegro
   
作者不詳
Melismata
メリスマータ
11、The Three Ravens
    3羽のカラス

Michel Pignolet de Monteclair (1667-1737)
ミシェル・ピニョレ・ド・モンテクレール
Concerts Pour La Flute Traversiere Avec La Basse Chiffree: Les Tourterelles
   フリュート・トラヴェルシエールと通奏低音のためのコンセール
12、Tendrement

Reinhard Keiser (1674-1739)
ラインハルト・カイザー
Ulysses
ユリシーズ
13、Du Angenehme Nachtigall
    快いナイチンゲール

Francois Couperin (1668-1733)
フランソワ・クープラン
 Pieces De Clavecin II
クラヴサン曲集第2巻
14、Le Gazoüillement
     さえずり

MR.Quignard  (18th Century)
キニャール
Printemps
  春
15、tendrement
   恋するうぐいす

Louis-Claude Daquin (1694-1772)
ルイ=クロード・ダカン
Premier livre de pieces de clavecin, Suite No. 1
クラヴサン曲集 第1巻
16、Le Coucou  -rondeau
    かっこう

George Frideric Handel (1685-1759)
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
L’Allegro, Il Penseroso Ed Il Moderato, Hwv 55
オラトリオ『快活の人、沈思の人、温和の人』
Sweet Bird
甘き鳥
17、andante
    
John Bartlett (16th & 17th Century)
ジョン・バートレット
A Book Of Ayres (1606)
Sweet Birdes Deprive Us Never
優しい鳥達よ、奪わないで欲しい
18、PartI
19、PartII
20、PartIII



演奏
Stefan Temmingh (リコーダー)
シュテファン・テミング
Dorothee Mields (ソプラノ)
ドロテー・ミールズ


The Gentleman's Band(古楽合奏団)
ザ・ジェントルマンズ・バンド

Saskia Fikentscher(リコーダー)
サスキア・フィケンチャー
Wiebke Weidanz(ハープシコード、リコーダー)
ヴィプケ・ヴァイダンツ
Elisabeth Seitz(プサルタリー)
エリーザベト・ザイツ
Johanna Seitz(ハープ)
ヨハンナ・ザイツ
Axel Wolf (リュート、テオルボ)
アクセル・ヴォルフ
Domen Marincič (ヴィオラ・ダ・ガンバ)
ドーメン・マリンチッチ


La Folia Baroque Orchestra(古楽合奏団)
ラ・フォリア・バロックオーケストラ


演奏時間
72:30


録音
Himmelfahrtskirche, Munchen-Sendling, Germany
昇天教会 、ミュンヘン=ゼンドリング (ドイツ)
2015年2月24 -27日


DHM Deutsche Harmonia Mundi   88875141202
2015年11月13日

バロック時代の鳥の標題音楽集。
世界的に注目されるリコーダー奏者シュテファン・テミング氏と、ソプラノ歌手ドロテー・ミールズ氏の共演。


鳥の声を音楽で表現した作品を集めたもの。ナイチンゲールとかカッコウの鳴き声なんかをモチーフにして、美しい愛や春の訪れと裏切りなんかを象徴してゆく。
リコーダーを中心とした楽器や歌声で模倣された、甘美な響きが心地いい。

 ” これは違うな、すごいな  " と感じたのは、シュテファン・テミング氏の演奏するリコーダーの踊る音色。聴いていると本当に楽しくなってくる。もちろん、技術の優劣のことだけじゃあない。聴き手を高揚させる気持ちのこもった演奏ということ。ツマラナイから ” 先送りして次の曲へ " なんてことは、けっしてない。

ドロテー・ミールズ氏の歌唱がこれまたいい。その歌声は透き通るように美しいし、時には、茶目っ気たっぷりに歌う。絶妙なリコーダーとのかけ合いなんかも素晴らしい。

特に、楽しげな言葉遊びで皮肉を隠した、トマス・オーガスティン・アーン作「 The Cuckoo ( When daisies pied )〜カッコウ(まだらのヒナギクが)」なんかがそうだけど、堅苦しいクラシック音楽じゃあなくて、創造力に富んだ、きれいで愉快な曲たちを収めた音楽集なのが気に入った。聴いていると、思わず、心がほのぼのとしてくる。


Cara Dillon『Hill of Thieves』

Cara Dillon
カーラ・ディロン
Hill of Thieves


作詞、作曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
01、The Hill of Thieves

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
02、Johnny, Lovely Johnny

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
03、The Parting Glass

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
04、Spencer the Rover

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
05、False, False

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
06、Jimmy Mó Mhíle Stór

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
07、She Moved Through the Fair

作詞、作曲:Traditional、Cara Dillon 、Sam Lakeman
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
08、P Stands for Paddy (Lament for Johnny)

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
09、The Verdant Braes of Skreen

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
10、The Lass of Glenshee

作詞、作曲:Traditional
編曲:Cara Dillon、Sam Lakeman
11、Fil, Fil a Run Ó




演奏
Cara Dillon(ヴォーカル、ホイッスル)
カーラ・ディロン
Sam Lakeman (ギター、ピアノ、バウロン、パーカッション)
サム・レイクマン
James O'Grady (イーリアン・パイプス、ロー・ホイッスル)
ジェームス・オグラディ
Ben Nicholls (ダブルベース)
ベン・ニコルズ
Zoe Conway(フィドル)
ゾーイ・コンウェイ
Eamon Murray (バウロン)
イーモン・マレー
Brian Finnegan (ホイッスル)
ブライアン・フィネガン
Seth Lakeman (ヴォーカル、テナーギター、フィドル)
セス・レイクマン 
John Smith (ギター、マンドラ)
ジョン・スミス
Sean Lakeman (ギター)
シーン・レイクマン
James Fagan (ブズーキ、ギター)
ジェームス・ファーガン
Ed Boyd (ギター)
エド・ボイド


プロデューサー:Sam Lakeman
        サム・レイクマン



演奏時間
45:06


録音
AT HOME IN SOMERSET
サマセットの自宅 (イングランド)


Charcoal Records ‎  CHARCD002
2009年1月26日

心に浮かぶ、緑に包まれたアイルランドの牧歌的風景。音楽の美しさを純粋に極めた、北アイルランド出身のフォーク歌手カーラ・ディロン氏の4作目。


『 Cara Dillon 』(2001年)、『 Sweet Liberty 』(2003年)しか持っていないので、海外のファンがオススメのアルバム『 Hill of Thieves 』を聴いてみることにした。
デジタル時代だけど、直接、イギリスのお店から購入しようと云うことで、注文から2週間ほどで到着。


まず、このCD。ジャケットがいい。この写真、一緒に音楽活動をする相棒であり旦那さんでもあるサム・レイクマン氏の手によるもの。ほのぼのとした愛情溢れる雰囲気。もうそれだけで十分満足。

カーラ・ディロン氏の故郷、北アイルランドのダンギブン(Dungiven)周辺に広がる、さまざまな物語が古くから伝わるベンブラダ山(Benbradagh mountain)のことを歌うオリジナル曲、「 Hill of Thieves」から始まる。

この曲、シンプルで力強いメロディーが、とにかく美しい。買って良かったと心底思える。
” この土地にかえっておいで ” みたいに語りかける歌は、どこか懐かしく心に響く。ベンブラダ山なんて行ったことがないけれど、目の前に、鮮やかな景色が浮かんでくる。透明感溢れる故郷の歌は、疲れを心地よく癒してゆく。

アレンジされた伝承曲も、素晴らしく楽しい。
ホイッスルやイーリアンパイプスと云った楽器で奏でる、アイルランド丸出しのイキイキとした音楽は、心から晴れ晴れとした気分にしてくれる。

安らぎに満ちた歌声。人なつっこい表情をたたえた上質な演奏。広がる音楽の喜び。その素朴で美しい響きは、人種なんて関係なく、甘く魅了し続けるのかもしれない。




2015年11月10日火曜日

湯川潮音『湯川潮音』

湯川潮音
湯川潮音


作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
01、渡り鳥の3つのトラッド

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
02、鏡の中の絵描き

作詞:湯川潮音
作曲:岸田繁
編曲:鈴木惣一朗
03、裸の王様 (Album mix)

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
04、HARLEM

作詞:湯川潮音
作曲:ジェームス・イハ、湯川潮音
編曲:ジェームス・イハ
05、蝋燭を灯して (Album mix)

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
06、聖堂の隅で

作詞:湯川潮音
作曲:永積タカシ
編曲:鈴木惣一朗
07、緑のアーチ (Album mix)

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗
08、海の上のパイロット

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:ジェームス・イハ
09、エデンの園 (Album mix)

作詞:湯川潮音
作曲:湯川潮音
編曲:鈴木惣一朗、橋本和昌
10、キルト




演奏
湯川潮音(ヴォーカル、クラシックギター)
鈴木惣一朗(ドラム、パーカッション)
青梅拓次(クラシックギター、マンドリン)
James Iha(ギター、キーボード)
ジェームス・イハ
Kevin March(ドラム)
ケビン・マーチ
Adam Schlesinger(ベース、キーボード)
アダム・シュレシンジャー
伊賀 航(ウッドベース)
影山敏彦(クラシック&エレクトリックギター)
吉野友加(アイリッシュハープ、チェレスタ)
藤原マヒト(ウーリッツァー、ピアノ、チェレスタ、アコーディオン、オルガン)
ヤマカミヒトミ(フルート)
田村玄一(スティールパン)
中島久美(ヴァイオリン、ヴィオラ)
末永千湖(ヴァイオリン)
山本哲也(ストリングスアレンジ)


Produced by 鈴木惣一朗 
Mixed by Kazuyuki Matsumura a.k.a.ZAK
  

演奏時間
47:39


録音
aLIVE RECORDING STUDIO 、AVACO CREATIVE STUDIO、rad 2000 studio、
STRATOSPHERE SOUND, NYC、HeartBeat.RECORDING STUDIO


TOSHIBA EMI / Capitol Rocords   TOCT-25889 (初回限定 : 紙ジャケット仕様)
2006年01月25日

どこまでも美しく、独創的な牧歌世界を展開する湯川潮音氏のメジャー1作目。


カーラ・ディロン氏のアイリッシュ・フォークがあんまり心地よいもんだから、こんどは日本のフォークが聴きたくなってきた。
秋から冬へと季節が向かっているこの時期、心にあたたかなぬくもりを伝えてくれる音楽、湯川潮音氏のメジャー・デビュー作『湯川潮音』(2006年)を持ち出した。


聴き始めてすぐに、もうすっかり、不思議な安心感に包まれる歌声に魅了される。ソプラノの美声とか云った感じじゃあなくても、甘く優しい響きは間違いなく美しい。
もしかしたら、どこかで聴いた懐かしい天使の歌声。片田舎の。

独特な詞の表現は、ちょっとした混乱を生むかもしれないけれど、秘めた熱情が溢れ始める。ゆったりとした時の流れの中で、迷いなく、心のひだが言葉を紡いでゆく。

この、おとぎ話のような牧歌世界。次第に姿をあらわす、人のあたたかみに満ちた理想郷。
気がつくと、まるで魔法にかけられたように音楽に身をまかせている。

目には見えないけれど、" 想い " は確かにここにある。そんな世界を豊かに表現する湯川潮音氏の歌が素晴らしく魅力的に感じられた。


骨太なサウンドがカッコよかったりして、どの曲も存在感がある。そんな中で気に入ったのはアイリッシュハープの響きが美しい『 鏡の中の絵描き 』。遊佐未森氏の『淡雪』(2012年)にも参加している吉野友加氏が奏でるハープの旋律が、歌に鮮やかな色彩を与え、聴いていると新鮮な気持ちになってゆく。