2015年8月28日金曜日

波多野睦美&つのだたかし『アルフォンシーナと海』

Mutsumi Hatano & Takashi Tsunoda
波多野睦美&つのだたかし
Alfonsina y el Mar 
アルフォンシーナと海


作詞:Félix Luna (1925 - 2009)
   フェリックス・ルナ
作曲:Ariel Ramirez ( 1921 - 2010 )
   アリエル・ラミレス
01、Alfonsina y el Mar
   アルフォンシーナと海

作曲:Astor Piazzolla (1921-1992)
   アストル・ピアソラ
02、La Muerte del angel
     天使の死

作詞:David McNeil (1946 - )
   デイヴィッド・マクニール
作曲:Astor Piazzolla (1921-1992)
   アストル・ピアソラ
03、Oblivion
   オブリヴィオン -忘 却-

作詞:Fernan Silva Valdes (1887-1975)
   フェルナン・シルバ・バルデス
作曲:Alberto Ginastera (1916-1983)
   アルベルト・ヒナステラ
04、Canción al arbol del olvido
      忘れる木

作詞:Francisco Silva
   フランシスコ・シルバ
作曲:Carlos Guastavino(1912 - 2000)
   カルロス・グアスタビーノ
05、La Rosa y el Sauce
   ばらと柳

作曲:Heitor Villa-Lobos(1887-1959)
   エイトル・ヴィラ=ロボス
06、Preludo
   プレリュード

作詞 : Dora Vasconcelos  (1910–1973)
   ドーラ・ヴァスコンセロス
作曲:Heitor Villa-Lobos(1887-1959)
   エイトル・ヴィラ=ロボス
07、Melodia Sentimental
   メロディア・センティメンタル

作詞 : Michel Dimitri Calvocoressi (1877-1944)
   ミシェル・ディミトリー・カルヴォコレッシ
作曲:Maurice Ravel (1875-1937)
    モーリス・ラヴェル
08、Là‑bas, vers l'église
    向こうの教会へ

作曲:Francis Poulenc (1899-1963)
   フランシス・プーランク
09、Sarabande
   サラバンド

作詞 : Jean Anouilh (1910-1987)
   ジャン・アヌイ
作曲:Francis Poulenc (1899-1963)
   フランシス・プーランク
10、Les Chemins de l'amour
      愛の小径

作詞:Paul-Marie Verlaine (1844-1896)
   ポール・ヴェルレーヌ         
訳詞:Mabel Dearmer(1872-1915)
   メイベル・ディアマー
作曲:Ralph Vaughan Williams(1872-1958)
   レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ
11、The Sky above the Roof
     屋根の上の空

作詞:Traditional
    伝承
作曲:Ralph Vaughan Williams(1872-1958)
   レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ
12、Searching for Lambs
    仔羊をさがして

作詞 : William Barnes (1801-1886)
   ウィリアム・バーンズ
作曲: Ralph Vaughan Williams(1872-1958)
   レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ
13、Linden Lea
   リンデン・リー

作詞、作曲: 武満徹(1930 - 1996)
14、小さな空

作詞 : 谷川 俊太郎(1931- )
作曲: 武満徹(1930 - 1996)
15、三月のうた



演奏
波多野睦美(歌)
つのだたかし(リュート、ギター)


演奏時間
49:26

録音
秩父ミューズパーク音楽堂(埼玉)
2002年4月30-5月2日/7月30-8月1日


ワーナーミュージック・ジャパン   WPCS-11475
2003年01月22日

深い海へと身を沈め苦悩の人生を終わらせたアルゼンチンの女性詩人アルフォンシーナ・ストルニ(Alfonsina Storni 、1892 – 1938) を歌った、『Alfonsina y el Mar  アルフォンシーナと海』から始まる、場所と時間を越え集められた哀愁と郷愁に満ちた歌曲集。
リュート奏者、つのだたかし氏とメッゾ・ソプラノ歌手、波多野睦美氏が、静かに優しく語りかけ、心の琴線に触れる音楽を紡ぐ。


" パリ、ロンドン、ブエノスアイレス、東京。静かなため息の歌が流れる"
CD帯コピーに、このように書かれているけれど、収められた作品が違和感なく調和しているのが面白い。20世紀に生まれた叙情的な歌の、ジャンルを越えた美しい音楽集となっている。

静かで悲しげな歌が多く、" なかなか甘美な雰囲気を醸しだしていて良いな " などと聴いているうちに思えてくる。けっして憂鬱にも退屈にもならないのは、つのだたかし氏と波多野睦美氏が、聴き手の心を包み込み、優しく紡ぐ音楽の力だろうか。

『アルフォンシーナと海』なんかは、本当に悲しい歌なんだけれど、どこか未来への希望を感じさるような気もする。本当に、歌の通り、アルフォンシーナ・ストルニは故郷の海へ帰り、新たな詩を探しに行っただけかもなんて思わせる。牧歌的な感覚が満ちてゆく。

収録曲はどれもお気に入り。なかでも、武満徹氏が作詞作曲した、憧憬と郷愁溢れる『小さな空』での波多野睦美氏の自然で美しい歌唱が素晴らしい。その深く透き通る歌声にすっかり心を奪われてしまう。

波多野睦美

つのだたかし

2015年6月28日日曜日

Michiko Hayashi 『 Belle Excentrique』

Michiko Hayashi
林美智子
Belle Excentrique
ベル・エキセントリック
〜ベル・エポック歌曲集


作詞:Bible - New Testament
    新約聖書
作曲:Igor Stravinsky (1882-1971)
    イーゴリ・ストラヴィンスキー
01、Ave Maria
  アヴェ・マリア

作詞:Guillaume Apollinaire (1880-1918)
   ギョーム・アポリネール
作曲:Francis Poulenc ( 1899 - 1963 )
    フランシス・プーランク
02、Voyage à Paris
   パリへの旅(Banalités , FP 107 歌曲集「月並み」)

作詞:Guillaume Apollinaire (1880-1918)
   ギョーム・アポリネール
作曲:Francis Poulenc ( 1899 - 1963 )
    フランシス・プーランク
03、Hôtel
   ホテル(Banalités , FP 107 歌曲集「月並み」)

作詞:Loise de Vilmorin (1902-1969)
    ルイーズ・ドゥ・ヴィルモラン
作曲:Francis Poulenc (1899-1963)
   フランシス・プーランク
04、C'est ainsi que tu es
   おまえはこんな風なのだ

作詞:Alfred de Musset(1810-1857)
   アルフレッド・ドゥ・ミュッセ
作曲:Pauline Viardot (1821-1910)
    ポリーヌ・ヴィアルド
05、Les filles de Cadix
   カディスの娘たち

作詞:Xavier de Maistre (1763-1852)
    グザヴィエ・ドゥ・メストル
作曲:Pauline Viardot-Garcia (1821-1910)
    ポリーヌ・ヴィアルド
06、Hai luli!
   アイ・リュリ

作詞:Victor Hugo  (1802-1885)
    ヴィクトル・ユゴー
作曲:Reynaldo Hahn (1874-1947)
     レイナルド・アーン
07、Quand la nuit n'est pas étoilée
      星のない夜は

作詞:Victor Hugo  (1802-1885)
   ヴィクトル・ユゴー (1802-1885)
作曲:Reynaldo Hahn (1874-1947)
    レイナルド・アーン
08、Si mes vers avaient des ailes
     わが詩に翼ありせば

作詞:Alfred de Musset(1810-1857)
   アルフレッド・ドゥ・ミュッセ
作曲:Léo Delibes  (1836-1891)
    レオ・ドリーブ
09、Les filles de Cadix
   カディスの娘たち

作詞:Traditional
作曲:Maurice Ravel (1875-1937)
   モーリス・ラヴェル
10、Chanson italienne
    イタリアの唄

作詞:Louis Gallet (1835-1898)
   ルイ・ガレ
作曲:Jules Massenet (1842–1912)
   ジュール・マスネ
11、Élégie
   エレジー

作詞:Jacques Larue (1906-1961)
    ジャック・ラリュー
作曲:Georges Auric (1899-1983)
   ジョルジュ・オーリック
12、Moulin Rouge
   ムーラン・ルージュ

作詞:Henry Pacory  (1873-?)
        アンリ・パコリ
作曲:Eric Satie (1866-1925 )
   エリック・サティ
13、Je te veux
  ジュ・トゥ・ヴ

作詞:西條八十 (1892-1970)
作曲:橋本國彦 (1904-1949)
14、お菓子と娘




演奏
林美智子(メッゾ・ソプラノ)
河原忠之(ピアノ)
大萩康司(ギター)Track05
三浦一馬(バンドネオン)Track13


演奏時間
00:35:45


録音
Wangan Onkyo Studios Tokyo
湾岸音響スタジオ、東京
2011年8月24, 26, 28日、9月18日、10月2, 9日


BounDEE Jazz Library    DDCB-13021
2012年02月22日

20世紀初頭、華やかな庶民文化が花開き、成熟した芸術は最高の時を迎え、悦楽に満ちたフランス・パリ。そんな時代の、機知に富み、愛と皮肉に溢れた甘美な歌曲集。
数々のオペラやコンサートで活躍する、埼玉県出身のメッゾ・ソプラノ歌手、林美智子氏 が心に響く歌を聴き手のもとに届ける。


聴き始めると、迫力のある堂々とした歌唱に少し安心する。
メッゾ だから落ち着いた優しい響きになるのだけれど、その甘い歌声がとても心地いい。

オペラのように劇的に表現された優雅な歌唱は、作品の魅力を再認識させてくれるような気がする。音楽は、血の通った響きとなり、ときには、不条理な現実感を伴った物語として展開してゆく。

お気に入りは、とても短い曲なんだけれど、パリへの旅に浮かれた気持ちを大袈裟に描く、フランシス・プーランク作『 Voyage à Paris 〜パリへの旅 』。聴いているだけで、楽しくなってくる。躍動感がいい。

フランス歌曲、シャンソンはフランス人の歌唱で聴きたい。" 日本人が歌ったものなんて聴こうとも思わない " とか云ったことは、単なる思い込み、つまらない、偏見なのかもしれない。





遊佐未森 『 ハルモニオデオン 』

遊佐未森
ハルモニオデオン


作詞:工藤 順子
作曲:外間 隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
01、暮れてゆく空は

作詞:工藤 順子
作曲:外間 隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
02、ふたりの記憶  [ Man & Iron ]

作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
03、ハルモニオデオン [ 機械 ]

作詞:工藤順子
作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
04、時の駅

作詞:工藤順子
作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、中原信雄
05、僕の森

作詞:工藤順子
作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
06、M氏の幸福

作詞:工藤順子
作曲:遊佐未森
編曲:外間隆史、中原信雄
07、街角

作詞:工藤順子
作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
08、山行きバス [ 道草ノススメ ]

作詞:遊佐未森
作曲:遊佐未森
編曲:遊佐未森 & 空耳楽団 with 佐橋佳幸
09、WATER

作詞:工藤順子
作曲:太田裕美
編曲:外間隆史、中原信雄
10、空色の帽子

作詞:工藤順子
作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
11、0の丘∞の空 ( versionII )

作曲:外間隆史
編曲:外間隆史、中原信雄
12、ハルモニオデオン [ 言葉 ]




演奏
遊佐未森 ( ヴォーカル、ヴォックス、バッキングヴォーカル、キーボード )
中原信雄 ( ベース、キーボード )
外間隆史 ( シンセサイザー、パーカッション )
寺谷誠一 ( ドラムス、パーカッション )
青山純 ( ドラムス、パーカッション )
鶴来正基 ( ピアノ )
土岐幸男 ( コンピューター、シンセサイザープログラミング )
佐橋佳幸 ( ギター、マンドリン )
渡辺等 ( ベース、ブズーキ、マンドチェロ ) Track05
土屋昌巳 ( ギター ) Track10
古賀森男 ( ギター ) Track01、02、08、11
森岡賢 ( キーボード ) Track01、11
近藤研二 ( ギター ) Track01、02、03、09
金子飛鳥グループ ( ストリングス ) Track01


演奏時間
52分17秒


録音
STUDIO FARM、アオイSTUDIO、AVIC STUDIO、ZERO STUDIO、
一口坂STUDIO、 STUDIO CITY、 CBS/SONY六本木STUDIO

MIXED at MANTA SOUND COMPANY (TORONTO 、CANADA)


EPIC/SONY RECORDS    ESCB-1006
1989年9月21日
現実と幻想の狭間で展開される、郷愁に満ちた遠い記憶の物語。
人間と自然の対話から生まれた、美しき言葉で紡ぐ抒情音楽集。第3作目。


聴き始めると、感情を次々と湧き起こす音楽に魅せられる。
ちょっとした出来事が大切な物として魅力的に描かれ、自然との繋がりを交え、時間と場所を越えた、幻のような物語として次々と展開されてゆく。

この映像が想い浮かぶような音楽は、掴みどころがない。でも、それが面白い。めまぐるしく展開する、細密画のような物語は、なんだか青臭い学生演劇を観ているように楽しい。あまりに凝りすぎている。
幼稚な感じがしないわけじゃあないけれど、この独特な 世界観に惹かれてしまう。

" 僕 " と "一本の樹 " の静かな時空を超えた対話が綴られる『 僕の森 』。これがまた、心震わす美しさ。名曲じゃないかと勝手に思っている。

愛らしく澄み渡る歌声の甘美な響きに包まれるうちに、心に確かな郷愁の記憶が呼び覚まされ、はるか昔に忘れてしまった大切な物に再会した気持ちにもなる。

そうして、だんだん、とても魅力的な音楽に思えてくるから不思議。

2015年6月7日日曜日

Dorothee Mields『 Joseph Haydn:Anne Hunter's Salon 』

Dorothee Mields
ドロテー・ミールズ
Joseph Haydn:Anne Hunter's Salon 
アン・ハンターのサロン
Scottish Folk Songs, English Canzonettas
スコットランド民謡集、英語によるカンツォネッタ集




Franz Joseph Haydn (1732-1809)
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン

Canciones folclóricas escocesas Hob. XXXIa (selección)
スコットランド民謡集 (抜粋)
English Canzonettas Hob. XXVIa
英語によるカンツォネッタ集



6 Original Canzonettas, Book 2, Hob.XXVIa:31-36: No. 2.
6つの創作されたカンツォネッタ 第2集
作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
01、The Wanderer , Hob. XXVIa:32
   さすらい人

作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
02、The Spirit's Song , Hob. XXV1a:41
   精霊の歌

6 Original Canzonettas, Book 2, Hob.XXVIa:31-36: No. 34.
6つの創作されたカンツォネッタ 第2集
作詞 : William Shakespeare (1564-1616)
03、She never told her Love , Hob. XXVIa:34
   彼女は決して愛を語らなかった

作詞 : Susanna Blamire (1747–1794)
04、The Waefu' Heart , Hob. XXXIa:9
    悲惨な心

作詞 : Anonymous
05、John Anderson , Hob. XXXIa:2
    ジョン・アンダーソン

作詞 : Alexander Lowe  (1750–1798)
06、Mary's Dream ,  Hob.XXXIa:1bis
   メアリーの夢

作詞 : Allan Ramsay (1686 - 1758)
07、The Boatman , Hob. XXXia:246
   ボートの男

作詞 : John Tait (1748-1817)
08、Langolee , Hob. XXXIa:235

作詞 : Robert Burns (1759-1796)  
09、Sensibility , Hob. XXXIa:173
    感性

作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
10、O Tuneful Voice , Hob. XXVIa:42
    おお、麗しの声

作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
11、A Pastoral Song , Hob, XXVIa:27
    田園の歌

作詞 : Anne Hunter (1742–1821)
12、Fideliy , Hob. XXVIa:30
    誠実 

作詞 : Robert Burns (1759-1796)
13、Jackie and Sandy , Hob. XXXIa:91
    ジョッキーとサンディ

作詞 : Robert Burns (1759-1796)
14、I Love My Love in Secret , Hob. XXXIa:3
   私は秘かに私の愛を愛する

作詞 :  Traditional
15、Gramachree , Hob. XXXIa:13

作詞 : Lady Anne Barnard (1750–1825)   
16、Auld Robin Gray , Hob. XXXIa:168
   老いたロビン・グレイ 

作詞 : Robert Burns (1759-1796)
17、What can young lassie do with an auld man
       何ができる若い娘さん

作詞 : Alexander Boswell (1775-1822)
18、Jenny's Bawbee, Hob.XXXIa:252
   ジェニーのボービー





演奏
Dorothee Mields(ソプラノ)
ドロテー・ミールズ


Les Amis de Philippe (古楽アンサンブル)
レサミ・ド・フィリッペ

Ludger Remy (フォルテピアノ)
ルドガー・レミー
Eva Salonen (ヴァイオリン)
エヴァ・サロネン
Gregor Anthony (チェロ)
グレゴール・アンソニー



演奏時間
62:00

録音
Sendesaal Bremen, Germany
February 2013


CPO  7778242
2014年06月02日
ハイドンがロンドン滞在中に知り合い交際した、アン・ハンター(Anne Hunter 、1742–1821) 。解剖学者、外科医であった ジョン・ハンター(John Hunter、1728 - 1793)の未亡人で、詩人でもあった 。
ハイドンが作曲、編曲し、彼女が自身の詩や選び出した詩を付ける、共同作業で生まれたとも云える、スコットランド民謡をもとにした歌曲と英語によるカンツォネッタ集。

バッハ・コレギウム・ジャパンとの活動でも知られる、ドイツのソプラノ歌手、ドロテー・ミールズ氏の透き通るような歌声と情感豊かな歌唱は冴え、その美しく甘い響きは聴くものに静かな幸福感を与える。



聴き始めてみると、牧歌的な魅力が溢れる音楽が心地いい。ゆったりとした優美な響きに満たされる。まさにサロンの雰囲気。

詩は土着的な悲劇と憂いを帯び ” 愛する人はもういない ” とか " 家族のために好きでもない人と結婚しなければならない ” だとか " 愛と金どちらを選ぶのが幸せか " と云ったものが続く。
戒めや風刺が含まれ、ちょっと哲学的でこむずかしかったりして、説教臭いような気もするけれど心配無用。

スコットランド民謡の旋律を、ハイドンはすべてを包み込むように、軽やかに清々しく彩り、メランコリーな詩情を、素朴な美しさとして心に響かせる。悩みや悲しみと云った、人間の自然な感情と純粋な力強さを、郷愁を込めた甘美な歌曲として、優しく表現してゆく。

なかでも、民謡とカンツォネッタに付けられた アン・ハンター作の詩は深遠で、そこに表現されたものを、理解するのは簡単ではないのだけれど、展開されるハイドンの音楽は、ひときわロマンチック。
ふたりの極めて親密な関係を想像させる、幸福感に溢れた響きは魅力。

ソプラノ歌手、ドロテー・ミールズ氏の歌唱がこれまた巧い。
寂しく悲しげだったり、ときには楽しげにと、曲ごとに、また場面ごとに表情を変える柔らかな歌声に、心を奪われてしまう。
                                  ドロテー・ミールズ

ルドガー・レミー

グレゴール・アンソニー / エヴァ・サロネン  

2015年5月17日日曜日

遊佐未森 『水色』

遊佐未森
水色
Water Blue


作詞:工藤順子
作曲:遊佐未森
編曲:Nightnoise、遊佐未森
01、合歓の木陰で

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:Nightnoise、遊佐未森
02、大きな靴

作詞、作曲:遊佐未森
編曲:Nightnoise、遊佐未森
03、水色

作詞:工藤順子
作曲:高野寛
編曲:Nightnoise、遊佐未森
04、緑の絵

作詞:工藤順子
作曲:遊佐未森
編曲:Nightnoise、遊佐未森
05、夢でいいから

作詞、作曲:Tríona Ní Dhomhnaill
日本語詩:遊佐未森
編曲:Nightnoise、遊佐未森
06、Island of Hope and Tears



演奏
遊佐未森(ヴォーカル、バッキング·ヴォーカル、シンセサイザー)

Nightnoise
ナイトノイズ
Tríona Ní Dhomhnaill(ピアノ、バッキング·ヴォーカル)
トゥリオーナ・ニ・ドーネル
Mícheál Ó Domhnaill(ギター、バッキング·ヴォーカル)
ミヒャエル・オ・ドーネル
Brian Dunning(フルート、ペニーホイッスル)
ブライアン・ダニング
Johnny Cunningham(バイオリン)
ジョニー・カニンガム

Jami Sieber(チェロ)
ジミ・シーバー
Bob Stark(シンセサイザー・プログラミング)
ボブ・スターク


演奏時間
30:16


EPIC / SONY RECORDS ESCB-1428
1994年3月21日


輪廻する慕情。夢と郷愁の甘き香り。
ケルトの伝統的な音楽を現代的なアプローチで展開させるナイトノイズと、遊佐未森氏の澄み渡る歌声の、幸せな響演。


ナイトノイズと云うグループの作品は、テレビやラジオ、店舗のBGMとして意外と耳にする機会がある。
かつて ” ニューエイジ・ミュージック " ブームのとき、ウィンダム・ヒル・レコードが注目され、ナイトノイズも所属し作品を発表していたのだから、もう随分と昔のことになってしまった。でも、普遍的な魅力をもつ音楽は輝きを失わない。


自然に包まれているように優しい音楽が、心に響く。

ナイトノイズ独特の、懐かしさを感じさせる清んだ空気、儚く舞い散るような叙情的な音風景。これがなんとも、心地いい。遊佐氏の歌声とは絶妙なバランス。天上の響。

この甘美で不思議な音世界は、しだいに、忘れていた" あの日 " を呼び覚ます。よみがえる幸せなトキメキ。輪廻する記憶。

初めて聴いた時、言葉にできないくらい心魅かれ、安らぎに満たされていた。

もう、遊佐未森氏とナイトノイズの、新たな音楽は生まれない。
この先が聴きたくて、チョット残念な気がする。


2015年5月10日日曜日

Claudine Ansermet / Paolo Cherici 『Chansons au Luth: Songs and Instrumental Pieces from the Renaissance』

Claudine Ansermet / Paolo Cherici
クロディーヌ・アンセルメ / パオロ・ケリーチ
Chansons au Luth: 
Songs and Instrumental Pieces from the Renaissance
歌とリュート: 
ルネサンス時代の歌曲と器楽小品集




作曲、作詞:Anonymous
       不詳
01、J’ay pris amour
   私は愛を得た
 
         
作曲:Pierre Attaingnant  (ca.1494-1551)
   ピエール・アテニャン   
02、L'espoir
   希望
 
    
作曲:Guillaume Morlaye (1510-1558)
   ギヨーム・モレイユ               
03、Fantasie
  ファンタジー
  
      
作曲:Thomas Crecquillon (1505 – ca. 1557?)
    トマ・クレキヨン
作詞:Mellin de Saint-Gelais (1491-1558)
   メラン・ド・サン=ジュレ
04、A vous en est
   あなたのもの
 
     
作曲:Francesco Canova da Milano (1497 - 1543)
   フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ
05、Ricercare (N. 45 - C. 31)
  リチェルカーレ
 
    
作曲:Jacobus Clemens Non Papa  (ca. 1510-ca. 1556)
   ヤコブス・クレメンス・ノン・パパ
作詞:Anonymous
     不詳
06、Misericorde
    慈悲
 
    
作曲:Pierre Attaingnant (ca.1494-1551)
   ピエール・アテニャン
07、La roque
  ラ・ロック


作曲:Claudin de Sermisy (ca. 1490-1562)
   クローダン・ド・セルミジ
作詞:Clement Marot (1496-1544)
   クレマン・マロ
08、J'atens secours
   ラテンス・スクール


作曲:Claudin de Sermisy (ca. 1490-1562)
   クローダン・ド・セルミジ
作詞:Pierre de Ronsard  (1524 – 1585)
   ピエール・ド・ロンサール
09、Las je m'y plains mauldicte soit fortune (arr.  F. da Milano)
    ああ、悲しいかな


作曲:Pierre Attaingnant (ca.1494-1551)
   ピエール・アテニャン
10、La Magdelena
   ラ・マグダレーナ


作曲:Francesco Canova da Milano (1497 - 1543)
    フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ
11、Fantasia
  ファンタジア


作曲:Jacobus Clemens Non Papa  (ca. 1510-ca. 1556)
   ヤコブス・クレメンス・ノン・パパ
作詞:Anonymous
     不詳
12、Aymer est ma vie
   愛こそ我が命


作曲:Francesco Canova da Milano (1497 - 1543)
   フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ
13、Ricercare (N. 16 - C. 16)
  リチェルカーレ


作曲:Jacobus Clemens Non Papa  (ca. 1510-ca. 1556)
   ヤコブス・クレメンス・ノン・パパ
作詞:Anonymous
     不詳
14、Puisque voulez que je vous laisse
    あなたが旅発つというので


作曲:Thomas Crecquillon (1505 – ca. 1557?)
   トマ・クレキヨン
作詞:Clement Marot (1496-1544)
   クレマン・マロ
15、Je suis aymé de la plus belle
    美しく愛されて


作曲:Francesco Canova da Milano (1497 - 1543)
   フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ
16、Ricercare (N. 63 - C. 30)
  リチェルカーレ


作曲:Claudin de Sermisy (ca. 1490-1562)
   クローダン・ド・セルミジ
作詞:Clement Marot (1496-1544)
   クレマン・マロ
17、Secoures moy
   私を揺さぶって


作曲:Pierre Attaingnant (ca.1494-1551)
   ピエール・アテニャン
18、La brosse
  ラ・ブロス


作曲:Claudin de Sermisy (ca. 1490-1562)
   クローダン・ド・セルミジ
作詞:Clement Marot (1496-1544)
   クレマン・マロ
19、Tant que vivray en aage florissant  (arr. Pierre Attaingnant)
     花咲く頃に


作曲:Francesco Canova da Milano (1497 - 1543)
   フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ
20、Ricercare (N. 31 - C. 11)
  リチェルカーレ


作曲:Thomas Crecquillon (1505 – ca. 1557?)
   トマ・クレキヨン
作詞:Anonymous
     不詳
21、L'ardant amour souvent
    燃えるような愛が


作曲:Francesco Spinacino (fl.1507)
   フランチェスコ・スピナチーノ
22、Ricercare
  リチェルカーレ


作曲:Pierre Attaingnant (ca.1494-1551)
   ピエール・アテニャン
作詞:Anonymous
    不詳
23、Fortune laisse moy la vye
   運命よ、私の人生を放っておくれ


作曲:Thomas Crecquillon (1505 – ca. 1557?)
   トマ・クレキヨン
作詞:Anonymous
    不詳
24、Quand me souvient de ma triste fortune
    私が覚えているとき


作曲:Francesco Canova da Milano (1497 - 1543)
   フランチェスコ・カノーヴァ・ダ・ミラノ
25、Ricercare (N. 70 - C. 44)
  リチェルカーレ




演奏
Claudine Ansermet(ソプラノ)
クロディーヌ・アンセルメ
Paolo Cherici(リュート、ビウエラ)
パオロ・ケリーチ



演奏
57:33

録音
Pugnano (Pisa, Italy)
プニャノ(ピサ、イタリア)
March, 1999

Glossa Cabinet   GCDC80002
2011年07月15日


繊細に語られるフランス語による愛の詩がつけられた、リュートを伴奏とするソプラノ独唱の美しく甘い響き。素朴なメロディを持つ情緒豊かな シャンソンとリュート音楽集。
ジュネーヴのソプラノ歌手クロディーヌ・アンセルメ氏とイタリアのリュート奏者パオロ・ケリーチ氏が世間から忘れ去られた ルネサンスの響きをいまに鮮やかに蘇らせる。


聴き始めると、甘く透明な響きに満たされる。
ごく自然に聴き手を包み込むノンビリとした旋律が心地よい。
よく表現として ” 静寂な響き " 何て云われることがあるけれど、まさにそんな雰囲気でもある。

また、ルネサンス時代の、クレマン・マロと云ったフランスの詩人の洗練された表現に驚かされる。たしかに、古めかしい言葉なんかもあるのだけれど、恋しく、愛おしく想う心は今とさほど変わらない。
繊細に研ぎ澄まされた言葉は、裏に隠された "あなた" への感情を意識させる。

優しく語りかけるようなクロディーヌ・アンセルメ氏の歌唱と、親密な息づかいが感じられるパオロ・ケリーチ氏の演奏も美しい。淡々としていても退屈じゃあない。

二人の紡ぎ出す牧歌的な響きは、いにしえの風を聴き手の心にとどけてくれるようだ。


パオロ・ケリーチ / クロディーヌ・アンセルメ